「月に一度は一緒に食卓を囲んで、酒を飲みながら直接話す」 これは、私を含め女3人(+猫1匹)が数年前にシェアハウスをしていたときの約束事だ。 金沢の中腹を流れる犀川沿いに建っていた、築50年は経つ古い一軒家が私たちの家。同居人たちは、普段の生活のなかから新しいものをつくりだすこと、昔から続く伝統を今の生活に取り入れることに長けていたひとたちだった。彼女たちが狭くて古い台所で響かせる包丁の音、干し柿にじゃれつく猫の前足。全てが生活に直結していて、同時になんだかずっと長い旅
昨年の夏、瀬戸内国際芸術祭2019に行ってきた。 まず高松に着いてから真っすぐ北に20分、フェリーに乗って鬼ヶ島と呼ばれている女木島を訪れた。 芸術祭出品作品も大変魅力的なものが多くあったが、何よりも鬼ヶ島大洞窟に心惹かれた。 その大洞窟は、1930年に小学校教師をしていた橋本仙太郎氏によって発見された。桃太郎伝説を研究していた橋本氏が当時瀬戸内海を荒らしていた海賊たち=鬼の根城が女木島の大洞窟だと発表した。 洞窟の内部は暗く湿っていて、低い洞穴形状が400mほど続いて