デス相撲

俺が土俵に上がれるのは一体何時までだろうか。

後10年(35歳は欲張り過ぎか?)それもいい。

後半年(結婚5周年。妻は相撲を早く辞めて欲しいと言う)それもいい。

後1週間(この場所まで。今場所優勝すれば横綱になれる)それもいい。

後5分(この取組まで。鉄塊山はそれに相応しい力士だ)それもいい。

後2秒(この命尽きるまで。尤もー

俺が鉄塊山の榴弾を避けそこねたらの話だ。

勿論俺は鉄塊山の主砲から放たれた榴弾をすばやく『変化』して躱す。仕切りから即主砲を撃つのは鉄塊山のいつもの立合だ。

主砲を撃ち損じ、頼るべき武器を無くした2km先の鉄塊山を俺は見据える。土俵は半径3km。鉄塊山は下がるか、上がるか。俺にとってはどちらでも良い。

「ふっー」

俺は息を止め両足に力を込める。『ぶちかまし』だ。大銀杏が空気の壁を叩き、破り、次の瞬間には鉄塊山の複合装甲を捉えて、ひしゃげさせる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?