
新時代の音声SNS「Clubhouse」におけるリスクと懸念
音声SNSという新たなジャンルを開拓し、今もなお人気急上昇中の
Clubhouse。
読者の皆さんの中にも、早くも始めている行動力の高い方々もいれば、
招待待ちの方々、すぐに始めるほどではないが興味津々の方々もいることでしょう。
新しいものに触れることは本当にすばらしいことです。
ですが、大変申し訳ございません。
この記事はそんな方々に水を差す内容となるかもしれません。
それでも、Clubhouseのリスクを知っておくことで、
「そんなはずじゃなかった」をある程度防げますし、
対策も立てられることでしょう。
というわけで、この記事はClubhouseが抱えるであろうリスクや懸念についてのお話です。
Clubhouseの詳細な機能や魅力については、数多くのサイトや記事で紹介されていますので、興味のある方は各自で調べてみてください。
※なお、わたしは後述の理由からClubhouseに参加できていません。
各種サイトを参考にした上で執筆していますが、
一部的外れな内容が含まれる可能性や、今後のアップデートで変更される可能性があります。ご容赦ください。
Clubhouseって何?
Clubhouseは、2020年4月にサービス開始されたSNSです。
日本では2021年1月に爆発的な流行となり、今もなおユーザー数を拡大しています。
Clubhouseの最大の特徴は、音声を用いて交流するという点。
Clubhouse内では、会話のテーマなどを名付けたルームを作ったり入室したりすることができ、会話はそのルーム内で行われます。
ルーム内の参加者は、ルームを立てた人(モデレーター)に招待されたスピーカーとそれ以外のオーディエンスに分けられており、
発言ができるのは原則スピーカーのみ。オーディエンスは聴く側になります。
ただし、オーディエンスでも「挙手」を押してモデレーターに承認されれば一時的に発言権を得られます。
授業などに役立ちそうなシステムですね!
また、Clubhouseは招待制です。
さらに、1ユーザーが招待できるのは最初は2人まで。
(招待枠は、活動を続けていけば増えるようです)
間口が狭いように見えますが、招待制によって招待される特別感が演出され、結果的にユーザー数を伸ばしているようです。
Clubhouseが秘める可能性
Clubhouseのリスクやデメリットに触れる前に、可能性やメリットについても触れておきましょう。
まず、Clubhouseは多くの有名人・芸能人も登録しています。
そんな方々の、テレビなどでは聴けない生の声が聴けるというのも魅力です。
それ以外にも、会話ツールとしても有用です。
UIが洗練されているのでわかりやすく
(Clubhouseに携わったUIデザイナーを欲しい方々も多いことでしょう)、
Zoomなどと違って音声のみであるため、カメラのセットアップや身だしなみなどの準備が不要で始めやすいというのもあります。
ビジネス用途での活路も見いだされています。
YouTuberのように稼ぐ手法もありますが、音声・招待制SNSならではの新たな手法が生まれるかもしれません。
音声によってつながるSNSというのは今までにない新たなサービスであるため、その可能性は未知数。
わたしでは想像もできない使い方が生まれていくことでしょう。
始める前に
さて、ここからはClubhouseのリスクに関するお話…といきたいところですが、
リスク以前にそもそも参加できないというケースもあります。
まず、先述のようにClubhouseは招待制であるため、招待されなければ参加できません。
そして、Clubhouseは(2021年2月2日現在)iOSアプリでのみ提供されています。
Androidアプリはありませんし、PC版もありません。
そのため、現状ではiPhoneユーザー、あるいはAndroidスマホとは別にiPadを持っている方しか登録できません。
わたしもAndroidユーザーですので、参加したくてもお預けの状態です…。
また、Clubhouseは(2021年2月2日現在)日本語化されておらず、英語でのサービスとなります。
サポートも当然英語です。
ではいよいよ本題、Clubhouseのリスクについて。
リスク① 音声による誹謗中傷・嫌がらせ
SNSはもちろん、ユーザーが情報発信できるあらゆるサービスには常に誹謗中傷のリスクが付きまといます。
Clubhouseも例外ではありません。
ですが、Clubhouseは音声SNSであるため、その誹謗中傷を耳で聞くことになります。
個人差はありますが、誹謗中傷は文字で目にするより耳で聞くほうがダメージが大きいという方も多数いらっしゃいます。
対面や電話で怒鳴られたことがある方はよくわかると思います…
音声情報には内容だけでなく声量や声質といった情報も入るため、
ただの文章よりも感情を揺さぶられやすいのです。
誹謗中傷だけでなく、例えば大音量を流すことによる鼓膜への攻撃や、
生理的に不快に感じる音声を流す嫌がらせ、
外に漏れると誤解を生みかねない音声を大音量で流す嫌がらせなども考えられます。
リスク② 情報流出
Clubhouseでは、スピーカー全員からの同意がない限り
一切の録音・メモ行為が禁止されています。
講義では当たり前のノートを取る行為すら禁止されているのです。
(ただしスピーカーの同意があれば可能なため、Clubhouse内での講義は問題なく行えます)
さらにはスピーカーが「オフレコ」と明示した情報を、現在のルーム以外で(Clubhouse内外を問わず)共有することも禁止されています。
ですが、禁止行為を完全に行わせないことはできません。
殺人罪があらゆる国にあるにも関わらず殺人が後を絶たないのと同様に、
情報流出を禁止しても情報流出が起きない保証はありません。
誰でも閲覧・視聴可能な場で機密情報を扱うこと自体が危険であり、
それはClubhouseであっても変わりません。
リスク③ 招待する人、される人の責任
Clubhouseでは、そのユーザーが誰に招待されたかも公開されています。
つまり、招待した人が問題を起こせば招待者が責められる可能性もありますし、問題のある人を招待すればBANされる可能性もあるでしょう。
また、メルカリなどで招待枠を買うと、買ったことがバレるというのもあり得ます。
参加者側は正規の方法で招待されて参加する上で、
招待者に招待されて参加したという自覚を持つことが重要ですし、
招待する側も考え無しに招待するのは控える方が良いでしょう。
(そもそも招待枠には限りがありますし)
リスク④ 実名制・身バレ
ClubhouseはFacebookなどと同じく、実名制のSNSです。
実名を公開するリスクはもちろんありますが、
本名ではない名前を設定することでBANされるリスクもないとは言えません。
(Facebookではすでに、本名でない名前を登録したアカウントがBANされる事態が多発しています)
また、Clubhouseにはクリエイターアライアスというニックネームを登録する機能がありますが、
クリエイターアライアスは実名と併記されるため、これによって本名を隠すことはできません。
また電話番号を登録すると、その電話番号を電話帳に登録しているユーザーに自分の情報(実名やクリエイターアライアス、フォロー・フォロワー関係や肉声など)が知られるという、人によってはトラップと言ってもいい機能もあります…。
なお、実名の変更は一度だけ可能です。
2回目以降の変更には、サポートに英語で連絡する必要がありますのでご注意を。
リスク⑤ 未知のリスク
Clubhouseは音声SNSという新たなジャンルを創出しました。
そこには未来を開く未知の可能性がありますが、
それと同じくらい未知のリスクもあるのです。
今のわたしには想像のできない問題が発生する可能性もあるでしょう。
道具は、使い方次第で利器にも凶器にもなる
Clubhouseに限らず、あらゆるサービス、あらゆる道具は、
それを使うヒトや運用するヒトがすべての責任を負います。
道具に罪はありませんし、罪を押し付けてもいけません。
新たなツールやサービスが規制されるのは、使うヒト・運用するヒトが未熟であるからに他なりません。
(とはいえ、平和利用しようとすれば使用を封印するしかない残念な武器もありますが…)
新しいモノやサービスを知ることはとても重要ですし、それらを使うことはとても意義のあることではありますが、
道具やサービスを利用する者としての責任を忘れず、リスクを知った上で賢く使っていきたいところですね。
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