
人間は悪なのか?日本はもう終わりなのか?
物騒なタイトルでごめんなさい。
今回はあえて主語を大きくしました。
残念なことに、現状では刺激的なタイトルの方がページビューやシェアは増えやすい傾向にあります。
解決の兆しが見えないようなら何らかの規制が行われるかもしれない、
とわたしは危惧していますが…その話は後に回すとして。
実際にタイトルのような考えになってしまう方が少なからずいらっしゃいます。
なんなら、わたしもそうでした。
HSPな気質がそうさせているかもしれないし、別の要因があるのかもしれません。
というわけで、なぜそうした考えを抱きやすいのか、考えてみました。
要因1. 行き過ぎた一般化
多くの人間の脳に潜む重大なバグ(欠陥)である「認知のゆがみ」の1つです。
人間は、1つ、あるいは少数の人やモノから、それらが所属するグループ全体のイメージを決めつけてしまいます。
たとえば、1人が不祥事を起こすと、その人が属している組織全体にマイナスイメージを持ってしまいます。
やらかした人数が増えれば増えるほどそのイメージは強くなりますが、
3人もいれば「その組織は悪の組織だ」と思うには十分なほどでしょう。
それが、仮に1億分の3だったとしても…
そうした結果、「○○な人は悪だ」と、その人が属する属性にマイナスイメージをつけ、
それが差別となってしまうのです…。
その属性は次第に広がり、主語は大きくなり、
最終的に行き着く先が「人間は悪だ」なのでしょう。
「そんな重大バグ、神がいるなら早く直せよ!」と思う方もいるかもしれませんが…
実は、神様でさえも「行き過ぎた一般化」をしていた時期があったのです。
主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、
地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。
主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」
──創世記 6章4~7節
神様が「地上に人の悪が増した」と思われた背景には、
3つの事件がありました。
・失楽園事件(アダムとエバが、蛇にそそのかされたことで「善悪の知識の実」を食べてしまう禁忌を犯した)
・カインとアベル事件(供え物を見てくれなかったことに激怒か嫉妬したカインが、アベルを殺害した)
・ネフィリム事件(神の子らが人間の娘たちと結婚し、ネフィリムを産んだ。ネフィリムは「みな仲違いをして共食いをした」といわれている)
神様はこれらを見て心を傷められたのだと思いますが、
この3つの事件(と、聖書に載っていないものの発生したであろういくつもの事件)だけで「人間が例外なく常に悪を企んでいる」と捉えるのは、
まさに行き過ぎた一般化といえるでしょう。
なんなら、人間が悪を企んでいるのに家畜も這うものも空の鳥も含めて滅ぼそうとしています。
これを行き過ぎた一般化と言わずして、なんと言うでしょうか…。
まあ、神様でさえ認知のゆがみを抱えていたのですから、
神をかたどってつくられたとされるヒトに認知のゆがみがあるのは必然なのかもしれませんね。
しかし、神様はノアという善き心を持つ人間を見つけ、自ら起こした40日も続く大洪水から彼らを避難させたのです。
その後、神様はもう二度と大洪水を起こさないと契約しました。
ノアの方舟と呼ばれる話ですが、これは神様が
「行き過ぎた一般化」を克服した話でもあるとわたしは思っています。
行き過ぎた一般化を食い止めるには、ノアのような反例が必要なのかもしれません。
要因2. 心のフィルター
これもまた「認知のゆがみ」の1つです。
物事には良いことも悪いこともあるのですが、
心のフィルターが動いてしまうと「良いこと」をシャットアウトしてしまいます。
テレビで良いニュース(例えば、危機に陥っている人を助けて感謝状が贈られたとか)が流れていても、殺人事件などの悪いニュースばかりに気を取られ、良いニュースがあったことすら忘れていたりするのです。
なんなら、報道する側がこれにとらわれてしまい、悪いニュースばかりを流すようになってしまっているのかもしれません。
そうして悪いニュースばかりが印象に残り、
人は悪いことをするものだ、と学習してしまうのです。
これがある以上、良い出来事は積極的に拾っていかなくてはなりません。
要因3. マイナス化思考
これも「認知のゆがみ」の1つです。
人間とは、本当に不具合の多い生き物なのですね…
おっと、これも行き過ぎた一般化でしょうか。
心のフィルターと似ていますが、マイナス化思考の場合は
「良いこと」に適当な理由をつけて悪く見せてしまうのです。
例えばさっきの話でいうと、「危機に陥っている人を助けて感謝状が贈られた」ニュースに対し、
「良い人アピールをするためにやった偽善だ」と根拠なく理由付けしてしまうとかですね。
こうなると、せっかくの良いニュースも「人間は悪だ」と思わせる悪いニュースになってしまうのです。恐ろしいですね…
ポイントは、その理由付けに根拠がないことです。
それを見破ることで、マイナス化思考を退治できるかもしれません。
要因4. 結論への飛躍(先読みの誤り)
またしても「認知のゆがみ」の1つです。
神様、お願いですからこのバグの修正パッチを出していただけませんか…?
結論への飛躍は「心の読みすぎ」と「先読みの誤り」の2つに分かれますが、ここでは「先読みの誤り」に注目します。
未来に100%の予測を立てることはできません。
もしできるならかんたんに大金持ちになれることでしょう…
しかし、先読みの誤りが起きると妥当な根拠なしに将来を悲観的に予想してしまいます。
①人間は悪だから、②日本は悪い国になり、③戦争が起き、④世界が滅びる…
前提の①からして言い過ぎで、そこに②③④がつながるのは現実的でないにも関わらず、
頭の中で勝手に①→②→③→④、とつなげてしまうのです。
わたしも、この世界はわたしが生きているうちに(主に戦争によって)滅びる、と思っていました。
いや、今でもその可能性はあると思っています。
ですがこれはあくまでも最悪の中の最悪の可能性。
ヒトの努力次第で回避できるものだとも思っています。
「その先読みはあくまで最悪の場合であり、回避できる可能性は十分ある」
という注釈をつけることで、誤りを修正できそうです。
要因5. 拡大解釈・過小解釈
案の定「認知のゆがみ」の1つです。はぁ…。
…と、落ち込むのはこのくらいにして、解説に入ります。
かんたんにいうと、我々は、
人間に対して厳しすぎる評価をしていませんか?
ということです。
たとえば、人を助けたら「それは当然」と言って褒めることをせず、
助けず素通りしたら「それは人としておかしい」と非難し、
うっかり人を傷つけようものなら…言うまでもありませんね。
ヒトは、マイナスやネガティブを強く、
プラスやポジティブを弱く考えがちです。
これは、狩猟時代に生き残るための戦略が今でも尾を引いているからではないかとわたしは思っています。
ヒトは、熊のような力持ちでもなければ、
馬のように早く走ることもできず、
鳥のように空を飛ぶこともできません。
自然界で脆弱なヒトが肉食動物などの危険に襲われずに生き残るには、
危険をいち早く察知することが重要だったと思います。
「ここは安全だろう」というポジティブな考え方ではなく、
「もしかしたらライオンが来るかもしれない」というネガティブな考え方のほうが生存率は高かったのだろう、と推測されます。
その通りであるのなら、この考え方を矯正するのは大変に難しそうです。
物事を様々な視点から多角的・客観的に見て、考え方のアンバランスに気づくことが、現時点でできる対症療法とでもいえましょうか。
認知のゆがみは、抑うつ・不安で強くなる?
さて、ここまで「認知のゆがみ」が元となっている要因を紹介してきました。
これらは精神疾患などで抑うつ・不安状態になるとより強く現れがちです。
もしそうした状態を抱えているなら、タイトルのようなネガティブな考え方をするのは当然なのかもしれません。
でもそれは、症状のせいです。
治療を続けるにつれ、そうした考え方は次第に落ち着いていくものと思われますので、「自分の考え方が悪い」と責めたりせず、ゆっくり休んで治療していきましょう。
さて、長くなってしまったのでここで一区切りにしようと思います。
続きはまた明日。それでは!
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