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ヘルウェグは秘密兵器となり得るか?

7月に広島に途中加入し、9月に1軍昇格を果たすと、その体格通りの力強いボールで相手打者を押し込み、ゴロ性の打球を量産しているのがヘルウェグです。

CSに向けてのテストとして、競った勝ち試合や走者を置いた場面での回途中から登板するなど、戦力としてはそれなりに期待されてそうです。

それでは、ヘルウェグはCSから日本シリーズに向けて戦力として機能しうるのかについて本noteでは分析していきます。

まずヘルウェグという投手の特徴ですが、何と言っても150キロオーバーで大きく動くツーシームでしょう。

ツーシームを投げる投手はNPBにも多くいますが、NPBの統一球でここまではっきりボールが動くのは中々お目にかかれません。

上記動画は初登板時のものですが、はっきりボールが変化しているのが見て取れます。

これほどのスピードでこれだけボールが動くと、NPBレベルだと余程の打者でない限りはバットをボールの下に潜り込ませて、強い打球のライナーやフライを打ち返すのは難しいでしょう。

それは数字にも表れており、打球に占めるゴロの割合を示すGB%は驚異の82.4%を誇ります。

セリーグの平均GB%が48.5%でパリーグの平均GB%は46.9%ですから、ヘルウェグの異常なGBP(グラウンドボールピッチャー)ぶりがよく分かりますね。

ただまだ登板数が7試合で投球イニングが8イニングと、サンプル数がまだ少ないので登板を重ねるとどうなるかは分かりませんが、それでもNPB屈指のGBPであることは間違いないでしょう。(ちなみに同じく150キロオーバーのよく動くツーシームを投じる中日・ロドリゲスのGB%は78.3%)

それに加え球威も十分なため、相手打者の打球も弱く、Hard%(強い打球が飛ぶ割合)はわずか5.9%というのも素晴らしいです。

セリーグ平均が31.4%でパリーグ平均が32.1%ですから、母数が少ないとはいえ異常な数値です。

これだけゴロ性かつ弱い打球を打たせることに長けているわけですから、当然長打を浴びるリスクを減らしており、その点は1点が重くなる試合終盤においては非常に重要な能力です。

また、奪三振奪取能力も高いのも特徴の一つです。

まだ8イニングの登板ですが、イニングを上回る10奪三振を記録しており、ツーシームだけでなく、スライダーも今のところは機能しています。

ただスライダーは130キロ前後で横に滑っていくタイプで、変化量はあるものの、いかにストレートと同じ軌道に見せるかという点が重要視される現代野球においては、あまり効果的なボールではなく、このボールの質は要改善でしょう。

2軍戦の投球を見ていると、135~140キロの球速帯のカットボールのようなボールを数球投じていたので、全く制御はできていませんでしたが、こちらを使えるようにすればもっと幅が広がるのではないでしょうか。(下記リンクの動画がその映像になります)

ここまでポジティブな要素について見てきましたが、一つ懸念点を挙げるならばやはりコントロールでしょう。

入団当初からその荒れ球具合を懸念されていましたが、8イニングで6四死球はやはり多いですね。(上記リンクの動画の2軍戦の登板時よりははるかにマシですが)

相手からすると、ここが攻め手となりそうですが、あまりにここを気にするとこの投手の良さは消えてしまうので、コントロールはあまり意識させずに投げさせたいところです。

ヘルウェグの特徴をまとめると、150キロオーバーのツーシームを主体としたGBPで奪三振奪取能力も水準以上と試合の終盤を任せうる投手の資質を兼ね備えているが、変化球の質とコントロールに難があり、そこが相手にとって攻め手となる可能性があるといったところでしょうか。

上記より、想像以上に相手打者を蹂躙できており、CS、日本シリーズでの起用も十二分に考えられる投球を披露していることが分かります。

また他の投手のタイプとの兼ね合いを見ても、ツーシーム主体でゴリゴリ押していく投手は他にいないため、状態次第ではジャクソンよりも優先されるべきではないでしょうか。

主な広島のリリーフ投手を大別すると、フォークやチェンジアップ等縦変化主体の投手(一岡・フランスア・アドゥワ・今村)、スライダー等横変化主体の投手(中崎・ジャクソン)の二つに分けられますが、ヘルウェグは後者に当てはまるでしょう。

しかしその中でもスライダー主体の中崎・ジャクソンに対し、ヘルウェグはツーシーム主体の投球で同じ横変化でも明確な違いを出すことができます。

同タイプの投手ばかりいても敵チームからしたら対応のしやすさはあるでしょうし、そう考えるとヘルウェグが一枚入ることで継投のパターンも増えるでしょう。

以上から、ヘルウェグは十分戦力になりえますし、ポストシーズンでの起用もアリではないかと考えます。

3連覇を達成した裏側で疲労度の濃いリリーフ陣において、比較的疲労度の薄いヘルウェグはポストシーズンで貴重な存在になるはずです。

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