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長野久義が広島に加入することで生まれる効果

先日、FAにより巨人へ移籍した丸佳浩の人的補償として、長野久義が広島から指名されました。

日本ハム・ロッテのドラフト指名を拒否して、巨人への入団を熱望し、入団後は安定した打撃成績を残し続け、2012~2014のリーグ3連覇の際には、阿部慎之助・坂本勇人・村田修一とともに、原辰徳監督から「枢軸」と称された野手のコアプレイヤーだったため、プロテクト漏れは非常に衝撃的でした。

確かに、近年は膝の故障の影響もあり、また毎年繰り返される大型補強もあって、存在感が薄くなっていたのは否めませんが、それでも一定の結果は残し続けており、直近の戦力としては期待できると思いますし、個人的には下手に中途半端な若手を獲得に行くよりも、余程ベストチョイスなように思います。

球団としても、今季もリーグ4連覇プラス日本一を狙い引き続き勝負に行く中で、外野手の補強がなくピースが足りないとの判断での長野獲得だとの解説もあります。

そこで、本noteでは長野が広島に加入することで、どのような効果が生まれそうなのかについて、編成的な側面を中心に述べていきたいと思います。

①直近での戦力アップ+外野手プロスペクト台頭までの繋ぎ

丸は抜けたとはいえ、まだ優勝を目指すことのできる戦力を保持している中で、外野手に関しては何一つ補強の無い状況で大きな不安点の一つでした。

そこで、今季も優勝を目指すために取れる選択肢の中での最適解が、長野の獲得だったという事ではないでしょうか。

実際、昨季の長野の打撃成績を見ると、ここ5年で最も打撃成績の良かった2014年に近い水準まで戻ってきており、守備走塁面では大きな期待はできませんが、通年での活躍が計算できる選手のため、優勝へ向けては貴重な戦力を拡充できたと捉えるべきでしょう。

また、広島は若手育成に定評があるとは言いますが、それは良質な素材があってのことです。

実際、現状の広島に所属する一軍経験の少ない外野手で、将来的にレギュラーを張れそうなほどの良質な選手はいないというのが現実ではないかと思います。(強いて言えば高橋大樹か)

そこで、34歳ながらも毎年安定した打棒を発揮している長野は、まだまだ優勝を狙える位置にいる直近数年では貴重な戦力になるし、年齢的にその先も長くないため、プロスペクトが台頭してきた際にもそこまで邪魔にならないという点では、次の時代へと移るまでの繋ぎとしてはうってつけではないでしょうか。

②右打ち外野手の補充によるバランス改善

広島の外野陣を見てみると、野間峻祥・松山竜平ら主力級の選手は左打ちが多く、右打ちの主力級選手は鈴木誠也のみで、その他で実績があり、今季も一軍での出番のありそうな選手は下水流昴、強いて言えば高橋大樹くらいしかいません。

という観点から見ると、長野の加入は左右バランスを整えるという点では、非常に効果的と言えるのではないでしょうか。

③野間の経験不足をカバーする

今季、丸に代わって中堅手に入ることが予想される野間ですが、中堅手を一年間務めあげた実績はありませんし、通年で活躍したのは昨季だけと実績は少なく、今季も確実に計算できるとは言い難いでしょう。

また、その他にも一軍で中堅手の位置に入ったことのある選手は、2013年から丸が中堅手で出ずっぱりなこともあり、ベテランの赤松真人を除けばほぼ皆無な状況です。

そんな中で、昨季は304イニングで中堅手のポジションに入るなど、中堅手としての経験豊富な長野は、野間のバックアップ的な立ち位置にも使えるため、非常に有意義な存在となるのではないでしょうか。

④野手起用法の幅が広がる

②と多少被る部分もありますが、単純に外野手の駒が増えたことによって、当然ではありますが野手起用の幅は広がります。

長野加入前では、丸の移籍によって外野手の駒数が減ったことにより、松山とバティスタを共存させなければ、打線の迫力が大きく落ちてしまうため、共存させざるを得ませんでしたが、必ずしもそうはしなくても長野を左翼手or中堅手として起用すれば、片方を休ませながら起用できるという効果が生まれてきます。

野手陣の打撃成績のプラス要因として、野手の層の厚さからコアプレイヤー以外の選手を定期的に休ませながら起用できるという点があるはずなので、そのような点から見ると、長野の加入により、それ以外の選手の成績向上に寄与する可能性がありそうです。

不安な点としては、長野に左翼手としての経験がかなり浅いことでしょう。

プロ入りしてからは、右翼手と中堅手がメインで、広島では右翼手は鈴木誠也で埋まっており、出場するとしたら中堅手か左翼手となりますから、長野自身の守備力を考えても、守備面ではあまり期待できないかもしれません。

まとめ

このレベルの選手が、まだまだ活躍できる段階で他球団から広島に移籍してくることはそうはないことですので、戦力的にもそうですが、それ以外の部分でも様々な波及効果が生まれてくることが考えられます。

若手の出場機会を阻害するとの声も当然あるでしょうが、阻害の影響をモロに食らうほどの若手は現状おらず(外野挑戦を始めた坂倉くらいか?)、短期的にも長期的にも長野獲得は間違いなくプラスに働くはずです。

周囲から様々な声があるでしょうが、それを振り払うような活躍を長野には期待したいですね。

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