トーキョーデイズ

二日間上京してました。本来ならアートフェアにどっぷり浸かっていたと思うのですが、結果的には美術館とギャラリーをじっくり見て回れたので良かったかなと。フェアが中止になった関係でビューイング展を行うところも多かったですね。

一日め。
まずは「第23回岡本太郎現代芸術賞」川崎市岡本太郎美術館へ向かう道すがら、生田緑地の真っすぐ伸びるメタセコイアを眺め(この時期にしか来ないから葉を落とした寒々しい景色しか見たことがない)、慰霊碑を見てはWikipediaで読んだ斜面崩壊実験事故の現場がここなのだと思うのはいつものこと。加えて今年は池の水を抜く作業が見られました。桜はまだまだ。

小田急に乗って都心へ向かう途中、ふと思い立って東北沢で下車。社食堂でお昼ご飯をいただきました。

社食堂は谷尻誠さんと吉田愛さん率いるSuppose Design Officeの東京オフィス内にあります。名前の通り社食でありながら一般にも開放しているというスタイルです。
Supposeは名古屋のgallery Nさんを建てた事務所です。斬新なアイデアでありながらとても居心地の良い空間は何回お邪魔しても新鮮な発見があって、にわかではありますがSupposeのファンです。

本日のランチ。おかずは鶏の南蛮漬けにしたのですが、結構ボリュームがあってお腹いっぱいになりました。幸せです。

表参道で降りて、MASAHIRO MAKI GALLERY(exonemo「Slice of the universe」)EUKARYOTE(「ギャルだからって入りやめてくれ 軽率なギャルはギャルをリスペクトするならやめるべき」)MAHO KUBOTA GALLERY(「TOKYO 2X2X」)
何だか京都のARTZONEで見てから頻繁に見かけるようになった印象のエキソニモ。昨年は「あいちトリエンナーレ2019」にも参加されていましたね。

その出品作「The Kiss」の小さいバージョンがずらっと並んでいたのは壮観でした。ひとつひとつ手の部分の仕上がりが異なっていて「自分だったらこれが…」なんて考えながら見てました。
ユーカリオは門田光雅さんと藍嘉比沙耶さんの二人展。飯島モトハさんが購入したとツイッターに上げていた藍嘉比さんの作品がとても良かった。下描きの部分と色塗りの部分のバランスの塩梅が最高です。側面もいいですねえ。側面だけで何時間も過ごせそうです。

続いては江戸川橋〜市ヶ谷方面。
WAITINGROOM(「ビューイング展」)√K contemporary(原口典之「wall to wall」)ミヅマアートギャラリー(水野里奈「みてもみきれない。」)
√K contemporaryは加島美術さんのコンテンポラリーアート部門で、今回が柿落としの展示でした。作品はもちろんのこと、空間がとても格好良くて大満足でした。地下のオイルプールと今回の個展のタイトル作品が特に空間と相まって非常に見応えがありました。

ミヅマさんは状況を鑑みて事前アポイント制でのオープン。大丈夫かなと思いつつ一時間ほど前に電話したら無事OKをいただいて拝見することができました。

水野さんは壁面と地つづきになったペインティングも良いですが、細いペンで細かく描いたドローイングもまた良かった。額縁にもドローイングが施されているのもいいですね。

新宿三丁目のKEN NAKAHASHI(佐藤雅晴・大垣美穂子「尾行ー不在の存在/存在の不在」)。京都に続いて佐藤さんの作品を見られる機会が続いていてうれしい。佐藤さんの「calling」はまったく人が出てこない(それでいて人の気配は濃厚に漂っている)景色のなかでふと誰かの携帯や固定電話の呼出音が鳴る。日常の風景なのにやけにドラマティックのような、いろんな想像ができて好きな作品です。

この日の最後は3331アーツ千代田へ。「3331 ART FAIR」がもちろん目的だったのですが、入場時間までにはまだ時間があったのでまずはギャラリーを一通り見て回りました。Bambinart gallery(南谷理加「WONDERLAND」)、3331 Gallery(「アーリー90’sトーキョーアートスクアッド」)、Gallery OUT of PLACE TOKIO(Houxo Que「Proxy」)、ARTDYNE(「Spring Show 2020」)、nap gallery(「春の雷」)、KIDO PRESS(束芋「Ghost Running Vol.2」)、ex-chamber museum(田島大介「This is My Territory」)
会期が合わずに見られないと思っていた田島大介さんの個展も、フェアがなくなった関係で延長オープンになったので見ることができました。田島さんの作品を見るのは久しぶり。相変わらず細かく描いていて、高層ビルが林立する街並みを空から見下ろした構図の作品はくらくらと目眩しそうになるほど。
今はアジア圏で人気があって活躍されているんじゃないかな。私も小さな作品&ドローイングを持っていますが、どんどんビッグになって欲しいです。
「3331 ART FAIR」は18時〜20時の回を選んだのですが、何だかんだで2時間滞在していました。楽しかった。

2日め。

上野駅に到着。地下鉄ユーザーだから全然知らなかったのですが、翌日から公園側の改札が新しくなって目の前の道路を横断する必要がなくなるそうで。全然気づいていなかったので今度チェックしてみます。

この日はまず上野の森美術館「VOCA 2020」、「石川順惠展」を。
東京は14日に開花宣言が出て観測史上最も早い開花になりましたが、上野の桜はまだ咲きはじめたばかり。

今年は花見の宴席も自粛が求められているから例年とは違う景色になりそうですね。次に上京するのは来月頭になるから満開の桜は拝めそうにないですが。
上野ではもうひとつ、みんなのギャラリーにて「佐藤誠高展」。佐藤さんのことは昨年だったかここでの個展を見て知ったのですが、今やすっかり人気作家ですねえ。台湾のフェアに出してたギャラリーもありましたしね。作品が格好よいので私も好きです。
ここに来たらつい通りたくなる踏切。

東京メトロの上野検車区に銀座線の車両を運ぶための線路です。遮断機が下りて車両が地下から上がってくるところが見てみたいですが、そうした作業は夜間に行うんでしょうかね。

その銀座線に乗って上野から三越前へ。半蔵門線との連絡通路でも作品展示をやってました。

溝渕珠能さんは先日京都で作品を見たばかりだったので「おおー」と思いました。

そして日本橋三越本店。

美術フロアに新たにコンテンポラリーギャラリーがオープン。柿落としとなる展示は日比野克彦「Xデパートメント 2020」!、、、ってなんで日比野克彦なんじゃい、とニュースを見たときはずっこけそうになったんですが、展示見てもクエスチョンマークが頭から離れなかったですよね。デビューの頃はセンセーショナルだったんでしょうけど、当時を知らないからただただ謎。

八丁堀駅へ。乗ってきた次の電車が「試運転」という見たことのない種別だったので(行先案内板にも「試運転」って書いてあった)、ちょっと待って撮ってみました。

ドアが開いたらドア付近のサイズを定規で測っているのが見えました。ご苦労さまです。
八丁堀では美岳画廊津絵太陽「すなのうえのまち、」を。曽祖父のルーツを追って取材した街(かつて満洲と呼ばれていた土地)の景色。ちょっとソフトフォーカスがかかったかのような柔らかさが印象に残りました。

続いては銀座。まずはメグミオギタギャラリーにてチェン-ダオ・リー「Sleepless in Tokyo」。台湾の作家だそうですが、キャラクターを取り込んだ絵画は「確かに台湾の人が好みそう」という印象。台湾のフェアでも似たような印象を抱いたので。
同時開催の大森準平「解放と構築」。大森さんの作品は名古屋でも拝見したことがあってそのときも説明を聞いたのですがはっきり理解できておらず。一度割った壺を再びくっつけているのですが、色付けをどうやっているのか、何回聞いても分かってない。
ギャラリー小柳では杉本博司「Past Presence」を。杉本さんが撮ったジャコメッティ。格好よすぎる。原美術館のような美術館でゆったり見ていたくなりました。
その後和田画廊(中島麦「luminous dropping」)に寄ってから東京画廊+BTAP(SHIMURAbros「Evaculation」)に行ったのですが、スタッフの方に「弊社の都合でお休みにしています」と言われ、映像作品はちゃんと再生されているのに見ることはできませんでした。どうなってるんだ。

銀座SIXにも立ち寄りました。

天井には吉岡徳仁さんの作品「Prismatic Cloud」が展示されていました。
ここでは銀座蔦屋書店(スクリプカリウ落合安奈「Imagine Opposite Shoreー対岸を想う」)THE CLUB(猪瀬直哉「Romantic Depression」)を。

日比谷の帝国ホテル内にあるMEDEL GALLERY SHUへ。名古屋の気鋭・安井海洋氏がキュレーションしている松本和子「Echo」。フレスコの技法で制作している松本さんの作品は京都や岐阜で拝見していて今回も楽しみにしていましたが、入口にロープが張ってあって入ることができず。悲しい。
第一生命ギャラリーにも寄りましたが、コロナの影響で休館中。そう言えばSNSでそんなお知らせ見たわ。忘れてた自分が悪いけれど、空振りが続いたのでちょっとがっくり。

六本木はコンプレックスビルだけ。タカイシイギャラリー(「グループ展」)、ShugoArts(「ShugoArts Show」)、小山登美夫ギャラリー(大野智史「Sleep in jungle.」)。関西のビッグコレクター氏とたまたま同じタイミングで居合わせて、各ギャラリーのスタッフさんと親しく談笑している様子はさすが。格が違う、、、
更に中目黒のアートフロントギャラリーへ。アデル・アブデスメット「Play it Again」。越後妻有「大地の芸術祭」で一昨年に見ましたが台風の影響で閉館していて中に入れなかった思い出が。

「AFT Selection 2020」ではアートフェア東京に出すはずだったレアンドロ・エルリッヒや中谷ミチコさん、あと藤堂さんの作品が見られて良かった。藤堂さんの作品もっと見たかったなあ。

目黒川の桜もまだまだ。

ホームを滑る電車と桜の花。見頃がまだでもオープンテラスのお店にはそれなりにお客さんが入っていました。普段と比べたら少ないのかもしれないですが、端から見ていたら全然影響を感じさせない賑わいでした。

ラストスパート。恵比寿でMEM(「三島喜美代展」)Nadiff a/p/a/r/t(五月女哲平「our time」)を見てから天王洲へ。
KOSAKU KANECHIKA(青木豊「INTO THE AIR」鈴木親「東京の日常の断片」)、ANOMALY(淺井裕介「なんか/食わせろ」)、Takuro Someya Contemporary Art(「特別展示|大山エンリコイサム」)、Yuka Tsuruno gallery(「suspense」)、KOSAKU NUKAGA(「Alternative Show : ART FAIR TOKYO 2020」)、児玉画廊(木下理子/中川トラヲ「How I wonder what you are」)。充実していました。

今回の展示回りは以上。いろいろ見られて充実していました。
最後原宿駅でJRから地下鉄に乗り換えたのですが、数日後に新駅舎での営業がスタートしたというニュースを見てびっくり。建て替えになるとは知っていましたが、もっと先の話だと思ってた。最後だとわかっていたらもっと堪能していたのに。残念無念。

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