パッチムの発音

韓国語にはパッチムという音が存在している。パッチムとは、1つの文字に含まれる3つ目の音である。韓国語では1つの文字の音の組み合わせとしては「母音」、「子音+母音」、「子音+母音+パッチム」の3種類がある。

パッチムを発音毎に分類すると以下の種類がある(2つパッチムが並ぶ形もあるが、どちらか片方のパッチムを発音するだけなので、ここでは割愛する)。

* ㄱ(k)
        * ㄱ, ㅋ, ㄲ
* ㄷ(t)
        * ㄷ, ㅌ, ㅅ, ㅆ, ㅈ, ㅊ, ㅎ
* ㅂ(p)
        * ㅂ, ㅍ
* ㅇ(ng)
        * ㅇ
* ㄴ(n)
        * ㄴ
* ㅁ(m)
        * ㅁ
* ㄹ(l)
        * ㄹ

ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅇ,ㄴ,ㅁ,ㄹの7つが代表パッチムであり、代表パッチム以外のパッチムをパッチムとして読む場合には、そのパッチムがどの代表パッチムに属しているかを意識しなければならない。さて、パッチムをパッチムとして読むとはどういうことか?それはつまりパッチムをパッチムとして読まないケースがあるということである。

例えば、パッチムの次に母音が来ると連音化という現象が発生する。これは、前の文字のパッチムが脱落し、次の母音にくっつくという現象である。日本語という意味の韓国語「일본어」は2文字目のパッチム「ㄴ」が脱落し3文字目の母音「어(韓国語で母音は「ㅇ」で表される)」とくっつき、発音は[일보너(イルボノ)]となる。

※本記事ではハングルのヨミにカタカナを併記することがあるが、このカタカナはあくまで読めない人用のための便宜上のものなので、正確な発音ではないことに注意。

この連音化が発生するとき、パッチムは元の子音で発音する。例えば、笑いという意味の「웃음」は1番目の文字のパッチム「ㅅ」とその次の母音がくっつき[우슴]となるが、この2番目は「ㅅ」の代表パッチム「ㄷ」ではなく元の「ㅅ」の子音(これは「s」のような音)で発音する。つまり、「ウトゥム」ではなく「ウスム」となる(上述したが、カタカナはあくまで便宜上の表記、実際の発音ではない)。

なお、パッチムをパッチムとして読む場合であっても鼻音化(ex. 작년)などパッチムとして発音するが別のパッチムの発音になるケースがあるが、そういう話をしていくとキリが無いので割愛する。

さて、先日韓国語のレッスンをしていたときに「目上の人」という意味の「웃어른」という単語に出会った。この単語の1番目の文字は「웃」とパッチム「ㅅ」があり、2番目の文字は母音(「ㅇ」)である。つまり上記規則においては、1番目のパッチム「ㅅ」と2番目の母音がくっついて[우서른](ウソルン)と読むのだろうと思っていたのだが、この単語の正式な発音は[우더른](ウドルン)である。つまり、「ㅅ」の代表パッチム「ㄷ」で連音化している。

ここで「웃어른」の単語は「웃」と「어른」に分解される。「웃」は正式には「윗」という名詞の前に付与される接頭辞であり「上」の意を表す。「어른」は大人という意味である(この単語だけでも目上の人という意味もあるようだ)。

まとめると以下のようになる。

1. 後に意味を持つ単語が来る場合 → 代表パッチムで連音化する
웃어른      →     욷어른     →     [우더른]
      ( 代表パッチム)      (連音化)
2. 後に実質的な意味のない助詞が来る場合 → 元のパッチムで連音化する
옷이   →   [오시]
     (連音化)
3. 元々1つの単語 → 元のパッチムで連音化する
웃음    →   [우슴]
      (連音化)

きっと上記以外にも例外ありそうだし、まだモヤモヤしている状態だ。韓国語は学習を初めたときはパズルみたいな感覚なのだが、学習が進むにつれて不規則活用やら思ってもみないルールがあり一筋縄ではいかない。パッチムは奥深い。

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