暗記以外のアプローチによる語学学習

はじめに

子どもを観察していると、大人がやるような、単語の暗記や文法の学習なんてしなくても言葉を習得していることが見てとれる。どうやって言語を習得してるのだろうかと不思議で仕方がない。特に、子どもは「勉強する」というような意識では取り組んでいない。

一般的な話として、年齢によって最適な勉強方法が異なるということは聞いたことはある。そして、大人の方が、今までの経験からより効率的に(つまり、学習にかける時間を少なくして)学習できるようだ。自分のことを振り返ってみると、2年以上韓国語に関する学習を続けているのだが、オンラインレッスンと共に、語彙や文法の暗記を中心にしてきた結果、ごく簡単なコミュニケーションをとれてはいる(と自分は思っている)が、しっかりとしたコミュニケーションがとれる自信が全くない。実際、意味が分かるときもあるが、想定していたのと全然違う意味だったというのが後から分かることもある。

自分の語学学習法の見直しと共に、単語や文法の暗記とは違うアプローチの語学学習の方法としてはどのようなものがあるのかを調査してみたので簡単にまとめておく。

音による学習

フォニックス(Phonics)

アルファベットの文字と音(代表的な発音)の対応を覚える方法。日本や諸外国でも有名な学習方法らしい。なお、 各文字には例外(Sight Words)があるため、基礎を覚えたら例外も覚えていくことになる。なお、聞いているだけではダメで、発声することも必要。YouTubeで「Phonics」や「フォニックス」で検索すると一杯動画が出て来る。

フォネミック・アウェアネス(Phonemic Awareness)

下記の書籍によるとアメリカの小学校ではPhonicsこちらで教えているらしい。

アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている

フォニックスとの違いは以下

・フォネミック・アウェアネス(Phonemic Awareness)は、話し言葉が音と音から成り立っているということをさまざまな角度から考察し、織んそ(phoneme)の認識に基づいて教える教育法
・フォニックスは、言葉の音と文字を結びつけて考え、アルファベットの文字(grapheme)と発音の関係を教える理論

フォネミック・アウェアネスは、子どもにフォニックスを紹介する前に言葉の音や、音のグループに焦点をあてさせようという理論である。これがしっかりできていると、フォニックスに入って文字を教えられたときに、文字と音の結びつけるのに苦労しないらしい。これにより単語を読む力、書く力をしっかり築くことができる。

英語の文字に慣れていない子どもには、フォネミック・アウェアネスを重視した方が良く、英語の文字を習い始めている子どもには、フォニックスとフォネミック・アウェアネスの両方の理論を並行して教えれば、より効果的。

フォネミック・アウェアネスは7つのステップに分けられる。

1: ライミング:単語の終わりの音に注目。同じ音で終わっている単語(所謂、韻)
2: アリタレーション:単語の始めの音に注目。同じ音で始まっている単語
3: シラブルとオンセット・ライム:単語の音をグループに分ける
        シラブル:単語を母音のグループで分ける(win/dow)
        オンセット・ライム:単語を始めの母音の前で分けて、母音の前の子音のグループがオンセット、母音とそれに続く音のグループがライム
    例:
        postならpがオンセット、ostがライム
        greenならgreがオンセット、eenがライム
4: ブレンディング:音をつなげて単語を作る
    例:  c+a+t = cat
5: 音の位置:始めの音、まん中の音、終わりの音に注目
    例: Boatなら、始めの音はb、まん中の音はoa、終わりの音はtというように、区切って考える
6: セグメンテイション・音を数える:単語の音をばらばらにして音を数える
    例: Pigなら、p/I/gという3つの音に分けられる
7: 音の操作:単語の始めや終わりの音を置きかえる
    例: manのmをpにかえると、pan、panの終わりの音をtにかえるとpat、など

特に最初の2つのステップのライミングとアリタレーションを重要視されている。これの教育の過程で、韻をふんだ歌などの言葉遊びに親しみ、無理なく文字を読めるようになる。そして、英語の音の法則をしっかりと観につけていくための基礎が出来る。

文字による学習

個人的に以前から気になっていた多読。怪しいと感じていた多読だが、調べてみると多読はやり方を間違えなければ良さそうだ。私の子どもの韓国語力の向上などの経験からも言える。

多読を効果的に進めていく3つの柱は以下。

・多読三原則
・大量の読みやすい本
・仲間

多読三原則は以下。

・辞書は捨てる
・分からないところは飛ばす
・合わないと思ったら投げる

今まで、多読は何となくしか知らなかった。例えば、辞書はひかないで読むべき、とかは知っていたのだが「辞書ひかなきゃ分からないじゃん、無理」という感想しかなかった。このため多読に取り組むことは無かった。

英語多読 すべての悩みは量が解決する

この本によると最初に選ぶべき本は以下のような本

・1冊当たり十数ページくらいまで
・文字は1ページに1、2行以下
・絵や写真など、ビジュアル部分が圧倒的に多い

そしてこの本をまず文字ではなく絵を読む、すなわち、絵だけで理解できるように絵をよく見ていく。このような本は絵がしっかりと描画されているので、絵だけでも伝わるように出来ているから。まずは絵を読む練習をする、ということが重要とのこと。そういう意味で、最初の本としては文字が一切ない「絵だけの絵本」から多読を始めても良いようだ。

個人的には、語学学習のための多読で文字のない絵本を読むという発想自体に結構な驚きがある。なお「学習」と思っている時点でダメかもしれない。純粋に楽しんでやる気持ちで取り組めないと。

また「絵を見てその絵に与えられている文を読む」ということを多くの本で実践していくことで、似たような状況の絵で同じような表現がよく出て来るようになる。これにより、状況と表現が紐付いて理解できるようになる。こうなってくると、理解できるようになった表現に出会ったときに、絵がなくても、絵本に出て来た絵が思い浮かび状況を理解できるようになってくる、ということだ。

これに関しては子どもに韓国語の絵本を読み聞かせてきた自身の経験からも理解できる。ハングルは表音文字なので、意味が分からなくても音にすることはできる。このため、意味は分からなくても読み聞かせは何とか出来る。従って、子どもが小さい頃に韓国語の絵本を良く読んでいた。読んでいるときは文章の意味は分からないのだが、絵の状況などから何となく意味を推測していた。その推測の結果は、合っているものもあれば間違えているものもあるのだが、そういう推測を幾度となく繰り返していると、全く別の場面でその表現に出たときに何となく理解が出来るということがある。生きた言語を学ぶという意味では、自分のレベルに合う多読本で多読をするならば、多読は良さそうだ。

効果的なAnkiデッキ(Ankiという単語帳アプリ)の作り方で紹介されていた方法が以下の本で紹介されている。

脳が認める外国語勉強法

この本では、Ankiに覚えたい単語を登録するとき、答を文字で登録するより、その単語を印象付ける画像を登録する、という方法を強く推奨している。

これを受け私も、なるべく画像を登録するようにしてAnkiを続けてきた。画像を登録する効果を実感している。人は文字だけではなくそれに紐付くビジュアルがあることで身に付きやすいということなのだろう。

暗記を非推奨としている多読の本と、暗記をするためのテクニックが紹介されている本とで、結果的に同じようなアプローチがされているというのも面白い。それだけ「状況を適切に説明した画像」と「それに対する文字表現」をセットするすることが、言葉を習得する近道ということなのだろう。

今後

今後、以下の方法を試してみたいと思う。
・英語、韓国語に関しては、基礎的なところから多読をやってみる。
・英語に関しては、フォネミック・アウェアネスをやって英語耳にしてみる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?