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月と狂気

このつまらない日常が、地球が、世界が、倫理が一斉に逆方向に廻り出し、全てに於いての常識は遠い宇宙へ消えて行き、目に見える全ての物が段々と見えなくなってゆく。
そして、逆の方向に居るべきものが此方へ轟音を立てながらやって来る。

そのような恐怖というのはこの世には存在しないはず。けれど私は微かに流れ出る電波に乗って、その薄っすらと世界の影に潜む非日常的空間へ脳内トリップしてみたい。

この世に存在し得ないであろう、蒼く深い空の色。
対比するように浮かぶは月。
まあるくその空に佇む月は大きく実った檸檬のよう。

その月に見とれているうちに、世界は逆回転する。落ちる、落ちてゆく。
見えるものは全て消える。見えなくなる。
この世に存在し得ないもの達が姿を現わす時。

時が経つにつれて自分も周りの人々も空に吸い込まれるように消えて行く。
砂漠の砂のように、この世の全てが砂になり世界の終焉を迎える。

檸檬の月。下には静かな蒼い海。
浮かぶ大きな鯨が水しぶきを立てながら、耳を劈くような大きな叫びを放つ。
そして世界は逆転していく。
ただ其処には青く透明な海と月が次の世界の構想を広げている。

数々の人間の愚行に自然が怒りをあらわす時、そんな人間世界の終わり方もあるかもしれない、と思った暑い夏の夜。


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詩を書いたり短歌書いてみたり。 甘い檸檬のvocalと作詞。 ポエトリーリーディングや朗読もやっています。

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