料理人週報:2022年5月第4週

近況

今週もそこそこの活況でした。

最近マスクを取る・取らないについての話題を耳にすることが多くなったような気がします。
個人の判断と別に、雇われの立場だと勤務中のマスク着用有無は基本的に世論の左右されます。
大半の料理人の切な願いだとは思いますが、早くマスクを外せる空気が醸成されることを願います。
夏場の調理場の暑さは尋常ではなく、マスクをしていると体感1.5倍暑い!

さて、今週は山菜について。
先週長野に行ってきて、大量の山菜を買って帰ってきたことを書きました。
場所によっては3月の終わり頃から取れ始めているようですが、長野はちょうど山菜のピーク頃だったようで、東北などでもまだたくさんとれているみたいです。

代表的な山菜といえば、タラの芽、コシアブラ、わらび、コゴミ、ウルイ、山うど、など。
だいたいこの辺が料理屋や天ぷら屋で目にする素材に思います。

調理方法はシンプルに揚げるのが一番美味しいと思います。
そういう意味で天ぷら屋で山菜が好まれるのも納得です。
基本的には油と相性が良く、タラの芽やコシアブラ、コゴミなどは素揚げして刻んで他の食材と合わせても美味しいです。

都内だと比較的希少価値の高いものとして喜ばれる山菜ですが、地方では道の駅などで山のように積まれていて、値段の安さにも驚きます。
以前食べに行ったお店では、土鍋ごはんに大量の素揚げしたコシアブラを入れていて、地域ならではの気前の良さを感じました。(めちゃうまでした!)

ちなみに最近はこういう食材をメルカリで販売する人も多く見かけます。
手数料は10%だし、取引のやり取りとか面倒ではないかと思いますし、食材をメルカリで売るイメージが無かったので意外なことでした。
しかしよくよく考えると、EC開設の手間、決済手数料、購入トラブルの仲裁、検索されやすさ、配送の簡易さなどを考えると、少量を手軽にはじめるには充分ですね。
メルカリからのし上がっていく隠れた山菜採り名人なんかが今後現れるのかもしれません。

ついついいつまでも使いたくなってしまう山菜ですが、気がつけば季節は暦の上でも気候的にも完全に夏にシフトしているように感じます。
実際市場でも走りの夏野菜が続々と姿を現してきています。

夏が本格化する前に名残の山菜を楽しみ、体内の解毒に努め、夏の暑さを乗り越える準備をしていかねばと感じる今日このごろです。

今週の賄いと雑記

火曜日

・兼ねてからお誘いいただいていた近所の常連の方のお宅に、急遽遊びにいってきた
色々学びになるお話を聞けてとても楽しかった
カウンター越しだと聞けないようなお話をフラットにお客さんから聞ける機会というのはなかなか無く、貴重な機会だった

□賄い
・春蕪と鶏ひき肉のそぼろあえ
・鶏ひき肉のおやき
・ケールと新玉ねぎのサラダ

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水曜日

・昨日お酒をいただきすぎて少し頭が重い
よく営業後に飲みに行く料理人は多いけど、よくやれるよなあと関心する
お酒に依存体質じゃなくてよかったなとつくづく思う
・金婚式で北海道から旅行で夫婦がいらした
金婚式=結婚から50年、途方も無い、すごいことだ
割合お客さんでくるご夫婦は仲の良い方が多く、見ていてほっこりする
逆に、会話もなくスマホいじっているカップルなんかを見ていると寂しくなる
・賄いは残り物をちょっと味付け変えて食べた

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木曜日

・今日はお昼が忙しくてお昼寝ができなかった
10分でも寝れると違うのだけど、まあそういう日もある
普通の会社に比べて飲食店はどこも昼寝を推奨している気がする
工事現場とかもそうだし、肉体労働職に昼寝は必須なんだろうか
・夜は近場の天ぷら屋のご主人がいらした
以前お客さんをご紹介したお礼にと
そういう持ちつ持たれつをちゃんとやられる方は案外少なく、そういうやり取りを見ていると勉強になる

□賄い
・里芋の煮っころがしと鶏こま肉のあん
里芋が余っていたので煮っころがしに
時間がなかったので強めに火を入れて味を入れる感じにした
グズグズにはなるけど、味がしみて美味しい感じになった
餡はもう少し工夫したかった
明日食べるときに蕪のみぞれ庵仕立てにして作り直す

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金曜日

・今日は昼も夜も満席ではあったけど、入り方が良かったので短期集中で効率よく終わった
入り方1つで疲労感もぜんぜん違う
お客さんに調整してもらえるような、人気のお店が強い理由の1つだと思う点
・前まで金曜日の夜は客入りが悪かった印象だったけど最近そうでもない
もともと鎌倉は夜が弱く、特に金曜は東京で飲んで帰ってくる人が多かったのが理由で、その習慣が無くなってきている故なのかもしれない
コロナは落ち着いても、一度変わった行動習慣が元に戻ることは無いだろうから、そういう変化を機敏に捉えられると商機に繋がるんだろう

□賄い
・昨日の里芋にかけていた鶏肉の餡を辛味噌に仕立て直したが、里芋の素朴な味わいが台無しになってしまった、改悪
まあそういうこともある

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土曜日

・お昼は8名の団体利用があった
団体利用は前後の予定が絡む関係上、予定が早まったり遅くなったり、ずれる確率が通常よりも高い
今回も案の定だった
作り込む料理屋だと柔軟な対応をしづらい面はあり、けっこうたいへん
つまるところサービス設計の話で、何を引き受けて何を断るのか、そしていかにそれをお客さんに丁寧にコミュニケーションするかが大事なのかなと思う

□賄い
・イノシシ肉の端材の牛丼風
牛丼風にしようと思ったけど、思ったより端材が無くて、すごく中途半端な料理になった
メインの具材の分量が一定ないとメニューが成り立たなくなるという典型
・尾長鯛のアラの味噌汁"

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日曜日

・今日は合間に由比ヶ浜をランニング
かなりの人出があった
夏の到来を感じる

□賄い
・里芋ハンバーグ
里芋、干しえび、ばんねぎでハンバーグを作ってみた
上は醤油味醂ソース
旨味が足りなそうな気はしていたけど、案の定だった
豆腐ハンバーグみたく肉を多少混ぜないとダメだな
反省
・ミネストローネ的なスープ あいなめ
ズッキーニ、湘南レッド玉ねぎ、蕪の皮、しいたけを煮詰めて塩、薄口で整える
アイナメはカタクリうって、バターでソテー
ちょっと蕪の皮の感じが強く出すぎて、意図しない味になった
・菊芋と新玉ねぎ、山芋
痛みかけの菊芋を醤油みりんで炒め、新玉ねぎと山芋をとろろ状にして合わせる
悪くはないけどうまくもない
今日はそんなんばっかだった
在庫整理だとそうなりがち

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