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ポルトガルに新しくできた街中華の話(漫画付き)

今日はいつもと少し趣向が違うけれども、2ヶ月ほど前にできた新しいラーメン及び街中華のお店のことを書きたいと思う。
なぜなら、そのお店をオープンさせたのが、私たちが経営していた日本食料理店の料理長だからだ。

大野さんは、私たちがレストランTasca Komeを経営している時に、求人を見て、初めてポルトガルに足を踏み入れたという、和食出身の料理人。

ポルトガルに来る前は、イタリアのレストランで何年も寿司を作っていた。その前は京都などで20年ほど日本料理の修行をした、バリバリの職人さんだ。 そんな彼が、うちみたいなカジュアルなレストランにはるばる来てくれたということが奇跡みたいな出来事だった.
来てからも、とってもマイペースに見えるのに時間通りに仕込みをきちんと終えて、いつも一発で味をビシッと決める、すごい人だった。

一体何を考えているのかわからない、とても変わったところもあるので、店の他の従業員にコミュニケーションのことで相談されることもよくあったけど、結局は皆彼のその在り方に慣れて、親しくなるという感じだった。

私たちが店を他の人に譲って離れた時は、大野さんは厨房を支えるために2年ほど残ってくれた。

その彼が、つい先日ラーメン屋さんをポルトガルでオープンした。
やっと見つけた物件はリスボンからテージョ川を挟んだ町Almada(アルマダ)という、リスボンに住んでいる人からすればあまり気軽に行ける場所ではないけれど、私たちからはリスボンより行きやすい場所なのでとても嬉しい。

ラーメン屋をやるつもりだと少し前から聞いていたけど、この国で店を経営することの大変さを痛感していたので、本当にやるのだろうか?と半信半疑だった私は、実際に決まった時は、すごく嬉しい気持ちと、これから大変だぞぉ、という気持ちが混じっていた。

あの大野さんの作るラーメンだったら絶対美味しいだろうとわかっていた。何より、彼が話していた街中華のような店を目指しているというのが本当に楽しみで。

オープンして数日後に実際に友人たちと連れ立って食べに行ってみたら、期待を裏切らずに素晴らしく美味しい。メニューにある料理を最初から最後まで全部出してもらって食べた。ああ、久しぶりに食べる大野さんの安定感抜群の味。ほうれん草の胡麻和え一つとっても、なんか優しくて完成度高い。餃子は口に入れた瞬間肉汁が溢れだすジューシーさ。一緒に行った日本人の知り合いは、食べながら拍手していた。エビチリや油淋鶏はまさに街中華のそれ。こんな気さくな街中華的ラーメン屋がポルトガルにできる日が来るなんて。そして何より、うちの店で働くためにはるばるポルトガルの地にやってきた大野さんが、店を離れた今もなお、こうやってポルトガルにいて、しかも自分のお店まで構えることになったということが、嬉しくて、人生って面白いなと思う。

ここで、私の夫、福田雄一が書いたとても素敵なストーリーの、大野さんのラーメン屋の漫画がありますので、ご覧ください!



2回目に行った時に、店で一番人気だという味噌ラーメンを食べた。これが、旨みがすごく、甘みと深みがあって病みつきになる味。1番人気になる理由がよくわかる。ふと醤油ラーメンを食べているの雄一氏の麺を見ると、味噌ラーメンのと違う。ラーメンによって麺も変えてるんだ。一緒に頼んだ炒飯はパラパラで、わざわざラーメンと一緒に出すタイミングを合わせてくれていた。これって、こちらではなかなかないことなんです。

後から聞いたら、味噌ラーメンは、味噌を4種類も調合しているらしい。そして塩麹なども入れて旨みを作っているとのこと。近頃お湯で溶くだけの業務用スープを買ってラーメンを出しているところもすごく多いようだけど、ここは正真正銘、スープから手作り!安心して食べられる。

ポルトガル在住の日本人の胃のオアシスになってほしいことはもちろん、ラーメンが大好きな現地の人たちにも、こういう、店主自らが作っている、優しくてホッとする味をぜひ知ってほしいな。

ちなみに店名はなんと、アタオカラーメン。私はこの言葉の意味を知れなかったけど、日本にいる皆さんは誰もがとても驚く店名。そういう、とても変わった人物ですが、味はピカイチです!

ポルトガルに来る際は、一度だけでいいから食べに来てみませんか?

Ataoka Ramen インスタグラム


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