エビデンス過激派と標準偏差
私は小さい頃、白か黒か、0か100か、はっきりしていないと納得しない子供だった。
10代後半、「標準偏差」という物の考え方を知った私は、画期的に生きやすくなった。
「男か女か、男と女の中間か」みたいなテーマ。
どちらでもない人がそれなりに多数いる。
大多数の人は「男」または「女」の性自認の範囲に含まれる。
世の中の物事は、「こう」という決まった形があるように見える。
それは、ある程度の範囲に収まる多数派を抽出して、それについてだけまず言及し、話を単純化することでわかりやすく、伝わりやすくしている。
からに過ぎない。
「決まった形」に見える物事の両側には、
決まった形の範疇に収まっている個体と同数くらい多数の、
あちこちのパラメータにばらついて存在している個体がいる。
話を、現在の卑近な私の恋愛話に持ってこようかな。
誰かに「好きだ」と言われる。
「好きなら毎日LINEが来る。LINEの頻度が下がったら要注意」みたいな、PV稼ぎのどこかのブログによる仮説がある。
LINEは毎日来ない。
でもまぁ、どちらも仮説に過ぎない。
けど、「好きだ」という主張の
エ ビ デ ン ス が 無 い。
恐らく、「好きなら毎日LINE」は、ある程度多数派の、標準的なデータなんでしょう。
そこに収まる人は多く、無作為に誰かを抽出したとき、その人がそこに当てはまっている確率?可能性?は、高いんでしょう。
だけど、その両側には、その確からしさと同数くらいの、
それには当てはまらない色々なひとがいる。
……「マグロの遠洋漁業に出ているので」3ヶ月LINEが出来なくても好きじゃなくなった訳ではない、みたいなエビデンスが欲しいですね。
「「みなさん、ごぞんじでしょうか。
彼氏があなたをとても好きな場合、毎日LINEが来る可能性が高いです。
但し、彼氏が「マグロの遠洋漁業に出ている」「リリース直前のゲームが吹っ飛んだ」「元号改正直後のシステムエンジニア」等々の場合は、
この例に当てはまらないことも多いです。
その場合は、数週間後、数か月後、彼氏がほっとした瞬間に、思い出したようにLINEが来るでしょう。
ちなみに、あなたに連絡出来ない間も、彼氏は毎日モバゲーでガチャを回し、電書でロリマンガを読み、ツイ廃をしている可能性が高いですが、
それはもう、そういうものです。
生身の人間とのコミュニケーションコストは、比べものにならないくらい莫大に高いのです。
……………いかがでしたでしょうか。
これを参考にして、あなたも素敵な恋愛ライフを送ってくださいね。
(ライター:YUKIYA)」」
こんな感じ。(※文中の具体例はすべて(本当に)フィクションです。)
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