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売上は数字じゃなくて、人だ。

「会員が100人以下のサービスは売上にならから、何にもしなくていいよ」

前の会社で営業をしていた時、上司や先輩からよくこんなことを言われた。

以前まで働いていた会社では、Amazonプライムのような月額制サービスをクライアントに販売するビジネスをしていた。そのため、サービスの会員数が売り上げに直結していた。ある大手企業と組むサービスは会員数が100万人を超え、部の売り上げに大きく貢献していた。

一方で、会員獲得がうまくいかず、10人程度しか会員数がいないサービスも一部あった。仮に1人当たり200円の利益だとしたら、1か月でたったの2,000円。営業マン1日分の給料にも満たない。ビジネスとして全く成り立たない売上だった。

そのため上司や先輩たちは、費用対効果を考えて「売り上げのない案件は何もするな」と度々忠告した。先方から連絡が来たら失礼のないレベルで最低限の対応をし、基本は何も対応しない。儲けにつながっていないので、サービスが終了してもやむなし、といった方針だった。

会社として正しい判断だと思う。営業が効率的に売り上げをあげるためには、見込みのある案件に注力する。月2,000円しか稼がない案件に注力したって仕方がない。

それでも私は、この方針が納得いかなかった。

だって会員10人だけのサービスだって、「このサービスいいな」と思って身銭を切って利用してくれる人がいる。その人たちの思いが、売上を作っているから。

たとえ月2,000円の売上だろうと、そこには顧客一人一人のかけがえのない思いが詰まっている。それは100万人いるサービスだろうと、10人のサービスでも同じこと。売り上げの向こうには、ちゃんと人間がいる。

それでも営業職中心の会社は、売上を数字としてしか見ていなかった。だから10人の重みは見向きもされない。売上を支える「人」を重視すれば、案件に優劣なんてつけちゃいけない。

綺麗事なのは分かっているが、やはり私は売上は人として考えたい。そう考えたのもあり、わたしは別の企業に転職した。

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アクセスカウンターで表示される1PVは、ただの数字ではありません。その数字の向こうには、この世界に存在する「人」がいるのです。(『ブログ飯』)

これは、今読んでいる『ブログ飯』という本の一節だ。IT未経験の著者がイチからブログを作り、今ではブログの収入で妻と子どもを養えるようになるまでの過程を表現した本だ。

この本を読んでドキッとした。同じ考えのはずなのに、つい売り上げや読者を「数字」として考えてしまっていた。あんまり読まれないな~~とか、PV少ないな~~とか。

どんなに少ない人数しか読まれない記事でも、読んでくれる人にとっては大事な時間を使って読んでくれていることに変わりはない。

そういう大事なことを見失わないように、コツコツnoteを書いていきたい。

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