【読書】顧客起点の経営(西口一希)
起業の事業経営でバイブルにしている本を紹介します!
P&G出身で、ロート製薬「肌ラボ」や「スマートニュース」を大ヒットさせ、200社超の企業からの経営相談に答えてこられた西口一希さん。
その西口一希さん著・『顧客起点の経営』。
YouTubeでたまたまおすすめに出てきた動画で知り購入した本だが、ビジネス立ち上げ期に出会えて本当に良かったと思える1冊である。
この本は、経営者向けの実務書であり、「顧客起点の経営」について解説されている。
ここで言う「顧客起点の経営」とは、
という経営のことである。
この経営ができている企業だけが成長している、と西口さんは述べている。
自分に照らし合わせてみると、昨年度、組織長をやっていた時も、今年度、ビジネス立上げの準備をしていても、様々な意思決定が必要となったが、正直なところ明確な判断基準は持っておらず、自分の直感で決めることが多かった。
それがこの本を読んで、
「ビジネスの意思決定はすべて、"顧客"を軸に判断すること」
というシンプルかつ納得感のある判断基準を与えてもらえた。
これが本書からの最大の学びである。
それに加え、経営の様々な場面で活用すべき思考法も学べたので、これからの経営に活用すべく、自分なりの解釈も加えた形で記録しておく。
1.経営の目線の先は、常に"顧客"!
○ 経営する際、目線の先は必ず "顧客の価値" に向けること。
× 自社・上司・競合に目を向けがちなので注意。
また、"顧客の価値" に目線を向けるためのフレームワークとして「顧客起点の経営構造フレームワーク」があるので、自身の経営に組み入れること。
このフレームワークを使うことで、経営の視界に "顧客" を捉えることができるようになる。
どのような事業においても、経営活動は
まず顧客の心理状態に影響を与え、
↓
その顧客の購買行動を変化させ、
↓
それらが結果的に財務結果(売上・利益)へと繋がる。
この流れを踏まえて、何かしらの経営判断を行う場面を考えてみる。
よくやりがちなのが、上図一番上の"経営対象"と一番下の"財務結果"だけを見た意思決定をしてしまうことが多いが、その手法は推奨しない。
事業の成長戦略や投資戦略、人事・組織に関する意思決定をする時は、上図の流れを踏まえ、"顧客心理"と"顧客行動"の変化 を捉えた意思決定を行うこと。
2.どの顧客戦略から実行すべきか、投資の優先順位を決める際の判断基準
複数ある顧客戦略(WHO&WHAT)のうち、どの顧客戦略から実行していくか迷った時には、各顧客戦略について以下の3要素を算出し、それらを総合的に見た経営判断をすること。
-----------------------------------------------
【要素①】顧客戦略の潜在的規模
顧客戦略を実行することで獲得できる最大顧客数
【要素②】顧客戦略の顧客生涯価値(LTV)と実現速度
顧客戦略を実行することで得られるLTVの大きさと、実現までの期間(顧客の獲得効率と、短期・中期・長期の期間収益性)
【要素③】顧客戦略の実現可能性
顧客戦略の手段・方法(HOW)の存在と実行性
※LTV(Life Time Value):顧客が自社と取引を開始してから一定期間内に顧客がもたらす累計売上や利益。
-----------------------------------------------
× 自社でそれができるのか・できないのか、という「実現可能性」(要素③)だけを見て経営判断してしまうことが多いので注意!
○ その顧客戦略を行うことで獲得できる最大の顧客数(要素①)や、戦略による累計の投資回収(LTV)と実現までの期間(要素②)、そして実現可能性(要素③)を総合的に見て、どの顧客戦略を優先すべきかを判断すること。
3.事業成長を計測するKPIは、「顧客満足度」より「次回購買意向」を使う!
KPIと言うと、「顧客満足度」や「認知度」、「好感度」といった指標を使いがちだが、マーケットシェア拡大と強い相関があるのは「次回購買意向」(NPI:Next Purchase Intention)である。
なので、ビジネスの成長度合いを計測したい時には、「次回購買意向」を測る方法を考えること。
まとめ
「顧客起点の経営」
その大切さは感覚的にはわかってはいる。
だけど、ついつい自社都合の目線になってしまうこともあると思う。
そんな時は
というフレーズを思い出すようにしたい。
まずはこれから顧客起点の経営を継続実施していくために、本書をさらに読み込み、学びをしっかり経営に組み入れていこうと思う。
最後に
本書を読み終えたことで、"ビジネス書を読む目線が変わった"と感じている。
それは、本書により、ビジネス書を読むための根幹となる考え方、すなわち、「顧客起点の思考法」を手に入れられたからだと思う。
なので、経営者の方はもちろん、ビジネスパーソンの方にもぜひ読んでほしい1冊である。