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自己投資の落とし穴

今日は晴れていない。したがってひなたぼっこもできていない。しかしながら先日の地震を経験した私としては、書ける時に書いておこうという思考が働いたので今日はゆきたぼっこを綴ることにする。


自分への投資

よく“自分に投資しよう”というフレーズを耳にする。ともすると投資しないと損をする、という煽るような言葉も少なからず聞こえてくる。まるでお金を使えとストレートに言われているような気分になることさえある。しかし私はこういったフレーズにどうもピンと来ないのだ。

私としては自分への投資はすべきだと考えているし、実際自分への投資をしているつもりである。のだが、この場合は投資といえばすなわちすぐにお金をかける・使うことであるとは全く私は考えていないのだ。今日はその辺りについて話してみようと思う。


すでに投資している

一般的に投資といえば資金・資産を事業などに投じることだろうと思う。さてこの投資先である「事業」を「自分」に置き換えてみるとどうなるか。資金・資産を自分に投資する、ということになる。

ここで冷静に考えてみてほしいのだが、資金や資産はすでに自分のものである。私たちは生きているだけで様々なものを消費している。当然その中には資金や資産も含まれている。つまり何も考えなくても、私たちは常日頃から家族も含め自分たちに投資しているのである。

それがどんな目的にどれくらい有効かは別の問題として、だ。


投資の狙いは…

事業に対して投資をする場合、その目的の大半は資金・資産をさらに増やすことにあると思う。さて、自分に対しての投資の場合は目的はなんだろうか?もちろん資産や収入を増やすという目的があるのは間違いないと思うのだが、それは結果的に達成される目的であって、自己投資の直接の目的ではないと思うのだ。

単純に資産を増やしたければ事業に投資すれば良いし、収入を増やしたければ労働の比率を上げるだけで済むのである。それなのに投資のベクトルを自分に向けるというのは、“自分で”資産を増やす能力を身につけたいから、あるいは自身の収入の上限を引き上げたいからということなのだろうと思う。

もっと端的に言えば自分の変化、成長、進化といったことに対して可能性を見出したいのだ。人によっては自分の成長や変化自体を最終的な目的にしている場合もあるだろう。これがさらに発展すると、自分の生きたい生き方が目標になる人たちが現れ始める。

ここまでくると事業に対する投資と自分自身に対する投資が全く性質の違うものだということが整理されてくる。したがって私は両者が根本的に違うものであると認識している。


自分に資するべきもの

自分に対する投資の直接的な狙いが、自分自身の変化や成長、進化であることはすでに説明した。であれば、それを実現するものが必ずしも資金・資産ではないという発想に繋がった人もいるのではないだろうか。

まとまったお金を払ってスクールに通ったからといって、急にプログラミングできるようになるわけでもないし、確実にプログラマになれる訳でもないのである。この場合の対価はわかりやすいテキストと、集中して学習できる場所と、一緒に頑張る仲間と、教えてくれる人である。学習するための時間は自分で確保しなければならないし、モチベーションを自分で維持しなければならないということは対価に含まれないのだ。やり方によっては上の4つはまとまったお金がなくても揃えることもできる。しかしその場合はそれなりの手間と時間がかかる覚悟は必要だ。

ちょうど東京から九州へ向かうとき、徒歩や自転車や車ではなく新幹線や飛行機を使うのに似ている。新幹線や飛行機に乗ることで、手間と時間をお金で買っているのである。それでも移動時間は0にはならないのだ。ここに一つ目の落とし穴がある。どれだけお金を払っても0にできないものがある。

さらにもう一つ。上のたとえ話で言えば、目的が単に九州にいることであればこれで良い。ただ、歩いて九州へ行くことで得られる経験値は新幹線で行くそれに比べて量も質も比べ物にならないのだ。新幹線では車窓からしか見えない一瞬の景色も歩けばゆっくり堪能できる。道中出会う人とのつながりや食べるもの、そもそも歩くという体験には目的からみた価値はなかったのだろうか。実は価値のある体験を素通りしてしまっていないだろうか。


見極めが肝心

私は苦労を勧めているわけではない。楽できるとことは楽すべきだとさえ考えている。肝心なのは見極めなのだ。目的は何か、手段はこれで良いのか、得たい経験・体験はどれか、どこにどれだけの時間をかけるべきか、お金で解決できないか、対価として妥当か、私は何がしたいのか。

時々立ち止まってゆっくり自分と向き合う。自分の姿を確認する。そうして改めて自分を理解するために時間を使うことも自分への投資なのではないかと思うのだ。


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