◉ばーちゃんの背中

『人の良い所を見つけなさい』

これは、私のばーちゃんから言われ続けてきた言葉だ。ばーちゃんは、人をそうそう怒らなかった。いつも笑顔で、一番笑って、一番抱きしめてくれていた。

ばーちゃんからの言葉といえば、何ならこれだけしか言われなかったくらい、ばーちゃんはひたすらこの事だけを私に伝え続けてくれていた。

私がまだ幼い頃からよく祖母のお家へ遊びに行っていた。じーちゃんは怖かったし、その上私は本当に弱虫だった為、夜中になると何だか寂しくなって、よく布団で泣いていたものだ。

そんな私を祖母は優しくおんぶして庭に行き、星空の下でよく子守唄を歌ってくれていた。

その時に祖母が必ず言っていた言葉。

『人の良い所を見つけなさい』

そう優しく呟いてくれていた。

そのお陰で私はいつの間にか、人の良いところを探す事がとても得意になっていたのだ。

小学生になった時、人の良い所を見つけて発表するという授業があり、その内容が、”誰のでも良いので前で発表して下さい”というものだった。

私の順番が来た時、こんな事が頭によぎった。

『何も言われなかった人がいたらいけない』

そう思った私は、席順にクラス全員の良い所をスムーズ言ったのを覚えている。

祖母のおかげで私は知らないうちに人の良いところを探す天才になっていたかもしれない。

２９歳になった今、世の中で生きて来た私はこう思う。

同じ状況だったとしても、”人の愚痴を言って終わる人””人を責める人””何かのせいにする人””陰口を叩く人”。そんな大人たちを見て思う。

『その先には一体何が残るのだろうか。』

おそらく人は人の悪いところを探すのは、努力せずに大抵の人は簡単に見つけれてしまうものなのだろう。

大人になった私は、あの頃の祖母からの言葉を、本当に心から感謝している。

人の良いところを探しながら生きる人生は、本当に面白いと心から思う。

『ばーちゃん。あの時は本当に有難う。ばーちゃんは今でも物凄く尊敬しているよ。』

いつも人の事を一番に考え、何に対しても一番辛抱強く、一番愛に溢れていた。ばーちゃんのお陰で人生の見え方が面白く幸せなものに見えるようになったんだよ。

最高の贈り物を本当にありがとう！

人の良いところを見つけなさい。そうすればあなたの人生はいつしか愛に溢れた世界になりますよ。