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【コメントの検証】バント成功とその後のイニングの展開

【コメントの検証】と題するnoteでは、前回投稿したnoteに戴いたコメントについて検証を行って参ります。今回は「バント成功とその後のイニングの展開」に頂いた以下のコメントについてです。

『バントの試行数が2回目の際に得点期待値が上がっている件ですが、一二塁からのバントがライン際を狙う関係で1回目にファールになりやすく、2回目で決めることが一塁からのバントに比べて多いからではないでしょうか
もしバントをするシチュエーションを統一にしたうえでのデータであればすみません』

検証

 打席の結果球(※)に対しバントの構えを行った打席に絞って、そのバント試行1回目の投球結果(打席結果)の集計を塁状況別に行う。塁状況は、バント試行数の多い一塁、二塁、一二塁の場面に絞った。

※結果球:安打、犠打など打席結果が記録された投球

 まずは見逃してボールになった投球も含めて何球目で犠打が成功しているか。走者が一塁または二塁の場合の確率分布は大きく変わらないが、一二塁では1回目成功割合が12%以上落ち、2~3回目で成功している割合が高い。

 次に見逃してボール判定となった場合を除くと、こちらでも同様な傾向を示すことができた。「特定場面ではバッテリーがボール攻めをする」などはあるのかもしれないが、一二塁の場面では他よりも有意に1回目でバントが決まった割合が低いことがわかる。

 最後にバント1回目でボールがバットに当たった場合の投球結果をクロス集計したものを紹介する。投球結果の上3つが犠打成功(ヒットの場合の打席結果は安打)、下3つが失敗、ファウルはもう1回遊べるドンと考えていただくとよいと思う。他に比べ一二塁でのバントの難しさが明らかであると、数値からも読み取れる。

 では2回目以降はどうなるかというと、走者二塁とそれ以外に分かれていて、特に一二塁では数値の改善が明らかである。投手の球に慣れるのか、カウントが進みバッテリーに選択肢が減って駆け引きが少なくなりバントがしやすくなるのか。多分両方なのだろう。
 しかし、二塁だけにいるとなんでこんなに数値悪化するのか…?新たな疑問が生まれてしまった。

まとめ

 ご指摘いただいた通り、1回目よりも2回目以降に得点期待値が上がる結果が得られたのは、一二塁の場面でのバントの難易度が影響しているだろうことがわかった。また、一二塁では野手への到達時間が長いコースに転がす技術が要求されることから、初回をファウルにしてしまう割合が高いことが数値から示すことができたように思う。
 となると、バントをする場合は「好球必打」の意識が必要なのではないだろうか。特に一二塁など難易度が高い場合は、試行1回目についてはもっと「敢えてファウルにする」意識もあって良いのでは。うーん、私の語彙力ではうまく言語化できず情報伝達に齟齬が発生するので強制終了。

 念のため補足しておくと、前回記事で用いた得点期待値は前後でのアウトカウントと塁状況しか考慮していないため、ファウルでは上下せず、今回の分析で言うところの「ゴロ+フライ+守備妨害」の打席結果が悪化をさせている。

 とても有意義なコメント、ご指摘の数々をありがとうございました。この記事に関して、あるいは他の内容でもご意見・ご質問などありましたら、是非お聞かせください。なお、ご提案頂いた内容について分析を行うかについては約束できかねますのであらかじめご了承ください。

筆者
有希っこ(https://twitter.com/YUKI_tigers0626)
阪神ファン。地元が北海道の為、日ハムも気になる。

主な分析参考元(50音順)
1.02 - Essence of Baseball:http://1point02.jp/op/index.aspx
FanGraphs Sabermetrics Library:http://www.fangraphs.com/library/
プロ野球 - スポーツナビ:https://baseball.yahoo.co.jp/npb/