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我輩は猫である 第6回(タレオのサングラス編)

”しまやん、しまやん、起きて。ご飯よ。”
、、、、ウムムム。誰かと思ったら、ご主人様ではないか。
我輩を飼う前にこの家にいた猫の名前なのだが、ご主人様はその猫と我輩をたまに勘違いして呼ぶことがある。
それもそのはず、''しまやん”と我輩は同じ縞柄(しまがら)の三毛猫で、''しまやん”が死んでしまったので 、その面影を求めてご主人様は野良猫だった我輩を飼い始めたのだと思っている。
しかしながら、二匹には決定的に違っている身体的特徴があって、
それは、我輩は目つきがとても悪い!という事だ。

申し遅ればせながら我輩は猫である。
名前は無くはないのだ。姓は 眼(ガン)、名はタレオと云う。
ご主人様の隣の家の前髪が白髪だらけの男が、目つきの悪い我輩に対してつけた名前だ。どれくらい目つきが悪いかと云うと通りすがりの人曰く、松方弘樹と梅宮辰夫を足して二で割ったほどの悪い目つきらしい。
元々、人間など信じちゃいないが 鼠がとれず、腹が減りすぎて、仕方なく、
同じ三毛猫なのでその”しまやん”と同じ姿勢で玄関前で餌乞いをしていると、面影が忘れられないのか?ご主人様が餌を与えてくれるようになった。

あまりの目つきの悪さに心配してか、この目つきがどうにかならないかとご主人様が隣の家の前髪が白髪だらけの男に相談に行ったらしい。
”サングラスかけたら、この目つきが隠れたりするのかしら?”
”どこかいい眼鏡屋さん知りません?”
”立川周辺に何かいいサングラス屋さんがあると訊いたりしたんですが?''
と、いろいろと相談したようだ。
我輩の名付け親でもある、この隣の家の前髪が白髪だらけの男もとてもいい奴らしく、懇切丁寧に相談にのってあげたらしい。
''駄目ですよ、奥さん。そのサングラス屋さんって検眼もしてくれて腕も確かなのですが、致命的な欠点があるのです。とても人前では言えませんが、もうちょっと耳をこちらに寄せてください。
誰かに聞かれるといけませんので。ヒソヒソヒソ。
奥さん。誰にも言っては駄目ですよ。実は彼はとてもケチなのです。''
”エーッ!?なんてことなの・・・(絶句)。”

なんでも、この隣の白髪だらけの男は自分でオリジナルのなかなかいい音楽を作ってCDで売っているのだが、立川周辺のサングラス屋さんはそのCDの値段を値切ってきたらしい。何万円する訳でもなく、たかだか千円か二千円なのに、お金の無い学生さんでもあるまいし、とてもケチらしいのだ。
腕は確かなのだがな。
みなさんも気をつけた方がいいゾ、いい音楽にはどんどんお金をつぎ込んだ方が宜しい。その方が幸せになれる。
特にこの隣の白髪だらけの男が作った音楽は格別だ。
我輩が保証する。

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