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我輩は猫である(最終回)

我輩は猫である。名前は無くは無い。
姓は眼(ガン)、名はタレオ。
ご主人様の隣の家に住む50代前半の前髪が白髪だらけの男が 我輩につけた名前だ。元々、猫に名前などなく人間様が勝手に我々に名前をつけてるだけで、我々は我々の世界で勝手にやっているだけなのだが、
人間様という我々が想像もできない強(つわ)者がいて 我々は従わざるを得ないのである。
我々、猫仲間で一番日本の人間社会で有名になったのは
そう100年前の夏目漱石先生の「吾輩は猫である」に出てくる猫であった。
我輩の祖先である。ご先祖様には名前が無かった、、、が、それで有名になったのである!
なんで、 ご主人様の隣の家に住む50代前半の前髪が白髪だらけの男は我輩に名前をつけてしまったのか!?
名前さえ無ければ我輩も有名になれたのに!!
それほど我輩の目つきはキツかった。単に視力が無く外界が眺めれなくて目を細めていただけだったのだが、、、
ご主人様に餌を毎日与えらえ、平々凡々な日々が過ぎていき
我輩は自分が野良であったことすら忘れてしまいそうになったある夜、事件が起きた。
夜も更けそうになった、深い深い深夜、人間様も猫も誰もが寝静まった頃
ご主人様の隣の家に住む50代前半の前髪が白髪だらけの男の家の角の道路に
下水道につながる穴があるのだが
そこにいつも我輩は 白髪だらけの男の目を盗み
ウンコやら小便やら垂れ流していた。ご主人様が用意してくれた家の便所じゃどうも落ち着かないのだ
この下水道につながる穴に勝手にウンコを垂れると、非常に便通がいいのである。
やはり野良の血がそんな人間様が用意してくれたトイレよりも外で空をみながらクソを垂れた方が気持ちいいのだ。
その穴からいつも臭いにおいがするので、 白髪だらけの男は穴をふさごうと
「島忠」(ホームセンターのチェーン店)から レンガを買ってきて置いていた。
その晩、深夜暗闇の中、ある男がそのレンガを盗もうとしたのだ
この男、見たことがある!
いつも白髪だらけの男の家の前を通る奴だ。
この男、人の良さそうな顔をして深夜、こんな我輩の小便やらウンコの臭いがついた (島忠でたった150 円だった)
レンガを盗もうというのか!?
我輩は思わず深夜にも関わらず、犬じゃないのだが吠えてしまった、”ニャー!!”と
するとこの男は、なんだ猫か、脅かすんじゃねえよと我輩をいきなり人間様の力で思いっ切り蹴り上げたのである!!!!
ガキッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

我輩は空を飛んだ。

アバラが2、3本折れている、、、脊髄もやられてしまった、、、内臓が喉から出そうだ、、、
なんか考えるのも面倒になって来た 、、、我輩死ぬのかな、、、
猫でいるのも楽じゃない、、、
もう 隣の前髪が白髪だらけの男が創った音楽を昼寝のお供に聞けないのかな、、、 (終わり)

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