Yuki

東大院卒。大手電機メーカーを経て国家公務員に。関心は環境/経済/開発/外交/バイオなど多種多様。タイアップ、メディア化歓迎。

Yuki

東大院卒。大手電機メーカーを経て国家公務員に。関心は環境/経済/開発/外交/バイオなど多種多様。タイアップ、メディア化歓迎。

    最近の記事

    • 固定された記事

    コスト0!小説の作り方、売り方

    【要約】 コスト0でできます! 小説の書き方/表紙の作り方/電子書籍で気を付けること/紙媒体にするときの注意点/英語化するメリット/英語化の方法/販促の方法 拙著:amzn.to/2Q6G92W

    有料
    100
      • 衡平な選択⑮

        【もう1つの世界】   KEIはへとへとになりながら、北京国際空港からタクシーに乗った。まさか、あんなことがあるなんて。北京第一病院に着くと、KEIはふと立ち止まった。そういえばあの壁どうやって開くんだ?受付に言って聞いてみる。なんと聞こうか? 「あの…… 西太后さんはいますか?」 「西太后?お名前は?」 「KEIと言います」 「あ~少々お待ちを」  少しすると、この前の壮年の男性が出迎えてくれた。 「お待たせしました。どうぞこちらへ」  最上階まで登ると、例の壁が開く。中

        • 衡平な選択⑭

          【占い館】   とある商店街の一角で、十代と思しき女性が緊張した面持ちで両手を出している。その両手を握っているのが、これまた珍妙な風貌をした女性であった。鮮やかな色をした黄色の上物にその上に鮮やかな紫色のたすき帯があり、ハイウエストのロングスカートになっている。その上にピンクのもこもこのフリルダウンを前を開けて着ている。コンセプトが分からないが、寒さに負けたことは否めない。 「それで、先生どうですか?受験、まずはセンター試験上手くいくでしょうか?」  先生と呼ばれた女性が隣

          • 衡平な選択⑬

            【二〇二〇年にて】   気づくとそこは、病室だった。何の代わりもない。彼女が寝ている以外は。 「おい、起きろ」  KEIが再び彼女の身体を揺らす。先程よりはスムーズに起きる。 「なんじゃ、おまえさまがたはこんなあけがたに」 「私達は80年後の未来からやってきた。お前の力を借りてな」  Kが事情を話す。 「ほう、おまえさまがたはわらわのまつえいをたどることができるのか、じつにおもしろきことかな」  本当にできるのだろうか、KEIは不安になる。 「なに、このいいんのしゅっしょう

            衡平な選択⑫

            【潜入】   飛行機に乗って空を飛ぶのが夢だった。KEIは施設にいるとき、交代制で使えるエネフォンで見る飛行機の動画が好きだった。それは閉塞した世界からの脱出が、新たなる束縛でないことを意味していたからかもしれない。そして遂に空港に来てしまった。人はほとんどいない。 「K、ここからどうすればいいんだ」 「まずは荷物を預ける」 「荷物なんて持ってないじゃないか?」 「今に分かる」  二人は搭乗券を買い、荷物預かり所に向かう。 「お預かり荷物がある場合、こちらにお乗せ下さい」

            衡平な選択⑪

            【過去へ】  「国連へ行くぞ」  唐突な彼の言葉にKEIはなんとかついていく。もっともいつも唐突だが。  国連の本部はアメリカのニューヨークにある。国連は各国の拠出金により、複数の下部組織と共に運営されている。言わば、政府の中の政府である。そんな国連はいまや各国からの拠出金はなくなり、人員派遣という形で共同運営されている。いわばスパイで成り立っているのだ。つまり、幾度の非常事態環境に晒されて生まれた、自国優先的危機回避権により、国家間の移動と貿易が許可制になり、国際協調とい

            衡平な選択⑩

            【都にて】   寝ているNANOとALICEを伏し目に、そっとダイヤを手に取ったKEIは、一番近い都、オオミヤに向かう。ダイヤの売却手段は2つある。1つは店舗に赴いて鑑定してもらうこと、もう1つはネットを利用することだ。後者の方が高い額がつく可能性があるが、KEIはネットカフェの料金すら払えない。何より身分証明書もないのだ。そこで、KEIは価格調査のためにこうしている。 「こんにちは~」 「いらっしゃいませ、どのような御用で?」  口は笑っているが、目は笑っていない。いつも

            衡平な選択⑨

            【ある少女の物語】  「ようやくこのくるみ様の出番ってわけね。遥ちゃん、行くよ~!!」 遥の鼓動が高鳴る。くるみちゃんによってときめきを覚える。それは片思い相手の智也に対するものでも、この現状に対するものでもなかった。  ぱさぱさぱさ。  遥の脳裏に唯一の友人であった白い猛禽類が掠める。 「K、あなたは…… 幸喜」  こうして、遥の『二酸化炭素を固定化する能力』によって、二〇二〇年の三月、北京とニューヨークをダイヤモンドと同じ硬さの物質の雹が襲った。二〇三〇年の温室効果ガス

            衡平な選択⑧

            【余波】  都内某所にある施設にどこからかヒーリングミュージックが流れる。 「きゃっ、誰?いま私のお尻触ったの?」  職員の一人が悲鳴を上げる。誰かが通ったかのように空気が揺れ動く。しかし、その姿は誰にも捉えることはできない。三〇三号室のドアをガラッと開ける。車椅子に乗った少女が顔だけこちらを一瞥すると、再び窓の外を見やる。その視線は遥か遠くを見据えているようだ。 「やぁ遥ちゃん、お花ここに置いとくよ」  てんは向日葵の花を片手に持ち、少し萎れた向日葵と交換する。 「今日も見

            衡平な選択⑦

            【家族】 佐藤和美はシングルマザーである。大手損害保険会社で働いており、収入としては十分娘達を養っていける。長女の光は4月から同じ系列の大手の銀行に入社することになっている。親としては一安心である。問題なのは、次女の遥であった。勉強が決して苦手なわけではない。大学も選ばなければ進学できるであろうが、その後は一体彼女はどのような道を歩むのであろうか。大学と言えば、人生の夏休みとも言われる。授業の取り方は一定の裁量があり、長期休みもあるため、それぞれが自由に過ごせる時間が多い。こ

            衡平な選択⑥

            【革命】  灰色のフードを被った男が紺色の制服に身を包んだ女性に声をかける。タイトなミニスカートから覗く生脚が官能的だ。 「トマトジュースを」 男が注文する。飛行機が到着するまで残り一時間。男は一人で前祝いをする。くるみちゃんの方はどうなっているだろうか?  その前日、一人の女性がパステルカラーのフリフリのワンピースを翻し、赤いヒールをカツカツと鳴らす。くるみちゃんはタイムズスクエアに足を踏み入れた。アメリカが世界に誇る劇場が立ち並ぶ。「キャッツ」、「マンマミーア」、「レミ

            衡平な選択⑤

            【始動】  まだまだ冷たい空気が肌をなでる中、梅の花がぽつぽつと咲き始めている。黒のダッフ ルコートに身を包んだ少女が古びた工場の前に佇む。工場の入り口は土砂で汚れており、 それは車道にまで続いている。煙突からは黒い煙がもくもくと出ており、目には見えない もののこちらまで不快な空気が漂ってくるのを感じる。少女はいつも通り念じた。幸喜の ことを思い出す。すると煙突の上に巨大な玉が浮遊する。少女は一呼吸置くと、身を翻す。 目からは一筋の涙がこぼれている。ドンッと音がなり煙突がへ

            衡平な選択④

            【回顧】  たったったっ。少女が公園を走っている。ブランコも滑り台もない質素な公園である。 少年達がその後を追いかける。少女は凧をあげていた。ふわりふわり。風に乗って気持ち よさそうに凧が泳ぐ。少女と少年達の光景はまるで鬼を追いかけている鬼ごっこのようだ。 少女のスカートもひらりひらりと風になびく。そんな光景を遠くから見ている別の少女が いた。五才の遥である。  姉の光はいつも集団の中心であったが、遥はそこに交じることなく自分の時間を過ごし ていた。自分の時間は、自分だけの

            衡平な選択③

            【覚醒】  チョコレートが溶ける温度までお湯を温める。沸騰したお湯を使ってはいけないとどこ かのウェブサイトで読んだ。確か五十度強の温度だ。湯煎でチョコレートが少しずつ溶け てくる。  遥の小玉はあれから出ていない。あれは白昼夢だったのではないかと、思いを巡らす。 チョコレートがどろどろ溶けていく。遥の心は既に何かをされてしまったのか被害妄想が 膨らんでいく。チョコレートの焦げた香りが漂う。どうやら熱を加えすぎたようだ。ハー ト形の型に流し込んで形状を整えていく。  明

            衡平な選択②

            【邂逅】  口から小玉。そして智也とのデート、正確にはしていないが。その日からすぐにGoo gleで手がかりを探し始めたが、既に一週間が経過した。国立図書館でも医学書を斜め 読みしたが、そもそも専門知識のない遥にはうんともすんとも分からない。こんなこと誰 にも― 親にも友達にも相談できない。いや、したくない。私自身が何か人でないものに変 わりつつあるのではないかという、疎外感と恐怖感をないまぜにした混沌から遥は抜け出 すことができない。そんな遥がとあるインターネット掲示板に

            衡平な選択①

            【現象】  カツーン。    明瞭な音が車内に響き渡った。佐藤遥は特段、それを不快なものとも思わなかったが、 本能的に恐怖を覚えた。   カツーン、カツーン。   音は響き渡る。それが自分の口から零れ落ちたものだと気づくには幾分の時間もかから なかった。小さくて球状の物体(以下、「小玉」)。しかし、歪な形をしたそれが遥の口から 零れ落ちていた。周囲の視線が身体に突き刺さる。次の停車駅に到着する時間までがもど かしい。止まれ、止まれ。いよいよ電車が停車すると、遥は一目散