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関電幹部はなぜ森山助役と個別にあったのか?

 関西電力の金品受領問題についての新聞記事を読んでいると、誰もが、あるところで頭が混乱してしまうのではないだろうか?

 「あるところ」とは、「多額の金品の受け取りを断ろうとすると、森山元助役が激怒した。関電側としては地元との関係をこじらしてしまうと、原発関連の案件で支障が生じる。それはどうしても避けたいので、金品を受け取ってしまった」というところだ。

 金品を持ってくるのは、「表向きのルートでは通らない無理難題を認めてもらいたいから」というのが普通の場合だ。
 「森山氏が地元の吉田工業への工事発注を頼みに来て、多額の金品を渡した」というところまでは、通常の案件だからよく理解できる(もちろん、ことの良し悪しとは別である)。

 ところで、関電は地元あるいは森山氏に対して一方的に優位な立場にいるわけではなく、弱い立場の側面もある。それは原発関連の施設建設とか、再稼働を認めてもらいたいことだ。
 このように、双方が相手に認めてもらいたものを持っている。
 これがこの問題を複雑にしている。
 それはその通りだ。

 さて、金品の受け取りを拒否すると、森山氏は激怒した。ここで立場が逆転するわけである。
 つまり、森山氏は、発注を要請する立場から、地元の立場になる。つまり、関西電力に対して強い立場に変身するわけだ。

 ここで注意すべきは、激怒した森山氏は、自分の強い立場を利用して関電から金品を要求したのではなく、あくまでも、自分が持参した金品の受け取りを要求したということである。

 つまり、双方が相手に認めて欲しい要求を持っていることは事実なのであるが、差し引きでいえば、森山氏が関電に認めてもらいたい要求(吉田工業への発注)の方が大きいのである。

 関電はネットで強い立場にいるわけだから、状況をコントロールできるはずだ。少なくとも、交渉の進め方を設定できるはずである。

 相手が強い立場にいる側面もあるのだから、それへの対応が必要だ。 そのため、関電側としては、1人で会うのでなく、複数の人間で会うべきだ。
少なくとも、「金品を受け取ったら参加者からすぐに漏洩してしまう」程度の人数で会うべきだ
 つまり、個人で会っているのでなく、組織として会っていることを示すべきだ。

 公式の正々堂々の交渉でなくてもよい。秘密裏の条件交渉であってもよい。
 ただし、こうすることにより、個人への金品の受け渡しはなしの、関電と地元との間の交渉になリ、客観的な損得関係としての取引が成立するだろう。

 私がこの事件でもっと分からないのは、「なぜ、関電幹部は個別に(あるいはごく少数の人間で)会っているのか?」ということだ。

 問題があると分かっている人と個別に会うのは、普通は、「条件次第では金品をもらって個人ベースの闇取引に応じてもよい」と考えている場合である。

 関電の場合にそうであったと断定することは、もちろんできないない 。しかし、「そうであったのではないか?」と勘ぐられても、やむを得ないだろう。

 問題の根源は関電が組織としての交渉プロセスを放棄し、重要事項の決定を個人の恣意的な決定に任せてしまったことにあるのではないだろうか?

 それとも、このような考えは、現実の難しさを知らない世間知らずの甘い考えだろうか?




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