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『円安と補助金で自壊する日本』:全文公開 第3章のまとめ

『円安と補助金で自壊する日本』 (ビジネス社)が9月26日に刊行されました。
これは、第3章のまとめ全文公開です。

第3 章のまとめ

1 円キャリー取引や為替先物取引の状況から推測すると、ヘッジファンドなど世界の投機筋は、円安がさらに進むと予測して投機取引を行っている。ここには自己増殖的要素があるので、きわめて危険だ。

2 日銀は世界の大勢に逆らって金利を抑え込んでいる。しかし、いずれ政策転換を余儀なくされるだろうと予測する海外のファンドが、日本国債を売り浴びせて、日銀に挑戦している。

3 海外ファンドの日本国債先物売りに対して、日銀は強引な手法で金利を抑え込もうとしているので、国債市場が深刻な歪みを抱えるに至った。

4 政府の言う「貯蓄から投資へ」を、多くの国民がいまの時点で実行すれば、円建て資産から外貨建て資産への大移動が起きる。それは悪夢のようなキャピタルフライトだ。多くの国民は、そうした経済ではなく、安定した経済を望んでいる。

5 日銀は、世界の大勢に反して金利を抑制し続けてきた結果、2種類の投機に挟撃されている。金利抑制を続けても、変更しても、投機筋に巨額の利益を与える結果になる。しかし、そのことより、円安がさらに進んで日本からの資本逃避が生じるほうがずっと深刻だ。

6「日銀が金融緩和を変更する」という予測は後退したようだ。ただし、これで日銀とファンドの戦いが決着したわけではない。


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