沈黙していた書物が、つぎつぎにしゃべり出した(Google Pixelを使う:その5)
下の写真で左ページにあるのは、フォロ・ロマーノの中央広場の現在の姿だ。右手にセプティミウス・セウェルスの凱旋門。
この写真は、さまざまなガイドブックにあるもので、さして珍しくない。
ところが、Roma Anticaという本には、この場所が古代ローマ時代にはどうだったのかを復元した図がある。これが、右の写真だ。これは貴重な図だ。
この本を、私は大分昔にローマだったかミラノだったかの書店で買った。ここには、古代ローマ時代のローマの都がどうだったかを事細かに再現した素晴らしい図版が沢山ある。
古代ローマの姿は、映画などでしばしば出てくるが、断片的だ。Roma Anticaでは、体系的にその姿を見ることができる。
実に魅力的な本なのだが、イタリア語なので、読むことができなかった。
図はときどき見ていたが、説明は分からなかった。いわば、沈黙の書だったのだ。
最近ではグーグル翻訳の性能が向上したので、スキャナで撮って、「テキスト化できれば、何でもできる(Google Pixelを使う:その3)」で述べた方法でテキスト化し、それをグーグル翻訳にかければ読める。しかし、とても面倒で、やる気になれなかった。
ところが、pixel3を用いれば、写真を撮るだけで、簡単に、シームレスで翻訳を見ることができる。
これまで沈黙していた本が急にしゃべり出したような気がする。
「外国語の本も簡単に読める(Google Pixelを使う:その2)」で、「書架の本に向かって『新世界にようこそ』と挨拶したい気持ちになった」と書いたが、それは、こうしたことがあったからだ。
しゃべり出したもう一つの書籍が、カロの本だ。
ジャック・カロ(Jacques Callot, 1592年 - 1635年)は、フランスの版画家で、1400もの細密なエッチングを制作した。
私は、「セント・アントニウスの誘惑」のリトグラフを2枚持っている。ただし、本物ではなく、リプロダクション(原作と左右が逆になっている)。
ワシントン大学で研究会があったとき、シアトルの町を散歩していてふらりと立ち寄ったギャラリーで見つけた。店の主人に「リトグラフを集めている」と話したら、「もう一枚あるよ。ついでに解説書もある」と買わされたのが、この本だ。
下の写真は、この本にある「セントアントニウスの誘惑」。
この本も、図版は楽しんだが、フランス語なので、ところどころがおぼろげに分かる程度。今回、pixel3に助けられて、どんどん読み進むことができるようになった。
私の書架には、これまで沈黙していた書物が沢山ある。
彼らがつぎつぎにしゃべり出した。こんな素晴らしいことはない!
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