「読書の連鎖過程」を作る
小説などで、ある著者の本を読んで面白いと思い、その人の著作を次々に読んでいくということがしばしばあります。このように、関連のある本を次々に読んでいくという方法は、読みたい本を探し出す方法として有効です。
例えば、私は、シュテファン・ツヴァイクの『ジョセフ・フーシェ』(みすず書房。以下同)を読んで面白いと思い、次に『人類の星の時間』、そして、『マゼラン』、そして『メリー・スチュアート』と、つぎつぎに読み進みました。
これは、小説を選ぶ場合にとくに有効な方法です。小説に関する嗜好は、著者で決まる側面が強いからです。また、小説の面白さは、著者の力量によって大きく左右されるのですが、この方法で選べば、おおよその水準は確保できます。例えば、SFは出来・不出来のバラツキがきわめて大きく、大部分が駄作です。しかし、面白いと思った著者の作品を読み進めば、あまり大きな失望はありません。
以上は、「著者」に関して「縦につなげてゆく」方法です。それとともに、テーマに関連して「横につなげる」こともあります。例えば、メリー・スチュアートを読めばエリザベス女王にも興味を持つことになるでしょう。そこで、それに関連した本を読んでいくことになります。
歴史や経済、あるいは科学などについての読書では、この方法で読む本が広がっていくことが多いでしょう。
あることについて知識を持てば、それに関連することへの興味が増します。したがって、興味が次々に広がっていきます。いわば、好奇心が自己増殖していくわけです。私は、好奇心こそが人類の進歩をもたらしてきたものであり、そして、好奇心の自己増殖過程を意識して作ることは可能であると思っています。上で述べたのは、その方法を読書に当てはめたものです。
ここで述べた「読書の連鎖過程」を作る最初のきっかけとしては、様々なものがあります。学校の教科書であることも多いし、友人との会話であることもあります。映画がきっかけになることもあります。新聞等にある読書案内がきっかけになることもあります。ただ、問題は、取り上げられている書籍が新刊書だけだということです。
「空想図書館プロジェクト」で取り上げている本は、新刊書でなく、いつまでも価値が減じない本です。実際の図書館にあるのもそうした本ですが、電子書籍が普及して絶版がなくなれば、そうした本を読むのがさらに簡単になるでしょう。そうなれば、新刊書以外の本についての書評も多く行われるようになるでしょう。私は、そうした書評が今後増えることを期待しています。
いずれにせよ、最初のきっかけを、できるだけ若い時代に、できるだけ多く作ることが重要です。
それがあなたの人生を豊かにしてくれるでしょう。
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目次(その1)総論、歴史読み物
目次(その2)小説・随筆・詩集
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