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経済最前線

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#財政検証

ネガティブな印象で在職老齢年金の見直しを阻止

在職老齢年金制度について、政府は廃止の検討を「骨太の方針」に盛り込んでいる。 廃止した場合の影響について、2019年財政検証は、「オプション試算B②」で試算している。 それによると、制度を完全に廃止すると、将来世代の給付水準が0.3~0.4ポイント低下する。 この試算には、おかしな点が2つある。 第1は、廃止の財源の調達方法だ。 財政検証では、年金全体の給付水準を切り下げることで調達するとしているのだが、廃止の財源をこのような方法で調達することが決まっているわけではない。

年金財政が維持できないため、70歳支給開始が不可避になる

公的年金の財政検証が発表された。 多くの人は、所得代替率が今後低下していくことを問題視している。確かにそれは大問題だ。ただし、「保険料を引き上げず、所得代替率を引き下げることにより年金財政を維持する」という基本方針は、既に15年前に決めたことだ。 本当の問題は、その決めたことをさえ実現できないことである。 財政検証は、現実にはありえないほどの楽観的な経済前提に基づいている。現実的な前提をおけば、このとおりにはならない。 とくに問題なのは、 (1)物価上昇率が想定ほど高くはな

年金支給開始年齢の70歳引き上げは不可避

 公表の遅れていた「2019年財政検証」が来週公表される予定と報道された。  問題は、「100年安心年金」(100年間にわたって年金財政を維持する)が実現可能かどうかだ。  2014年財政検証によれば、被用者年金の被保険者数は、2015年から2040年の間に20.8%減少する。これは、年率で言えば、0.93%の減少になる。  他方で、老 齢 厚 生 年 金受給者(老齢相当)は、2015年の1760万人から2040年の1990万人まで、13%増加する。これは、年率で言えば、0

アイディア農場プロジェクト:日本経済(その3)

このページは通読用のものではありません。 ここにあるのは、思考の断片、アイディアの種です。 毎日ひとつを取り上げて読み、それに対して考えを巡らせてください。 そこから、新しいアイディアが芽を吹き、成長することを期待します。 :::::::::::::::::::::::::::::: 医療費の自己負担はどの程度まで上げられるか? 様々な公的書類が紙なので、紙を紛失したり行方不明にしたりすることがないように注意しなければならない。このIT時代に、誠に不便なことだ。 デジタ

人口、労働、賃金、社会保障などについての統計データをどう調べればよいか?

◆人口 ・人口の長期時系列データ  人口というのは最も基本的な統計データだが、検索エンジンで「人口」と検索しても、どこを見たらよいか分からないだろう。  e-Statには人口の統計があるらしいと分かるが、長期の人口統計がどこにあるか、分からない。探し出しても、いくつかの期間に分かれていて、使いにくい。  私が探した限りでは、『日本統計年鑑』にあるこのデータ集が最も使いやすい。ただし、昔は長期に連続した表だったが、いまでは1920年で2つの表に分かれてしまっていて、やや使いにく