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古民家ゲストハウスのはじめかた 2.小さな古民家宿の特徴

宿をやりたいっていう想いをはせながら、どうリノベーションしようかな、どんなコンセプトにしようかな、どんなものを置こうかな。ワクワクしながらビジョンを膨らませていく作業はとても大切です。

そして、いざ物件が決まって、改修が始まると、どうしても日々の目の前の改修に重きを置きがちになります。開業にはお金も時間もマンパワーも必要です。業者さんに払うお金、日々出ていくお金のことなど、その資金繰りも考えないといけません。

ただ、当たり前のことなのですが、目的は開業することではなくて、宿を事業として継続していくことです。私たちが経験したことを踏まえて、今回は小さな古民家をゲストハウスだからこその特徴を書いていきます。それぞれ長所でもあり短所でもある部分です。

1.空間的制約とプライバシー

古民家の大きさによって決まる

ゲストハウスということであれば、ドミトリールームや個室などいくつかの客室作りたいと考えます。私も間取図を見たり、改修前の室内をうろうろとしながら、建物内のレイアウトを考えていました。
ただ、考えたところで現状の部屋数や面積によって、必然的にできることは限られてきます。うちの場合は結果的に元々あった2つの部屋を客室としたので、和室(12畳)と洋室(6畳)の2部屋になりました。

また、ここでは詳しく書きませんが、この建物の面積というのは建築基準法によって制約があります。「面積が100㎡未満であれば…」みたいな話を聞いたことがあるかもしれません。これまでは、この建築基準法や別の旅館業法(衛生設備の数量等)の制約によって、現実的に小さな宿しかできなかったのですが、ここ1~2年で建築基準法の用途変更に関するところや旅館業法が改正されたため、法令順守をしたうえで、これまでよりも大きな古民家でも宿を開業できるようになりました。

また、古民家なので、お客さんのプライバシーと音というのはどうしてもお客さんに理解を求める必要があるところです。部屋と部屋を仕切るのは襖や障子・ガラス戸であり、プライベート空間は守れますが、話し声や物音は伝わります。もちろん、防音などはありません。また、普通の旅館のように廊下や通路などを確保することも難しい場合もあります。

草地家では、これらのプライベートと音のことなどについては、予約時のご案内メールにて連絡しています。

それでも2組のお客さんがいた場合などは、それぞれが気を使うことになることもあるため、我々も工夫が必要だなと感じております。

2.日々の中での特徴

これまで数カ月の経験で気が付いたことなど、日々の中での特徴について書いていきます。

・日常業務(掃除・準備等)に割く時間が短い
延べ面積が小さく、ベッド数も少ないため、日常掃除、ごみの片付け、ベッドメイクなどに割く時間が短い。最初は時間が掛かっていましたが、最近は2人いれば、掃除・準備・片付けを2時間弱でできるので、それ以外の空いた時間は別の作業に使うことできます。

・コミュニケーションと距離感
小さい宿なので、お客さんとの距離が近く、コミュニケーションをとりやすいです。ただ、お客さんがコミュニケーションを求めている人なのか、そうでないのかということを察して、お互いが適度な距離感になるように心がけています。

・貸切需要に対応
ゲストハウスというか、もはや古民家一棟貸しですが、ファミリーや大人数のグループには好評です。そして、ファミリー層などはとてもきれいに使って頂けています。ただ、この貸切は気を付けないと稀に貸切だからということで、わいわい夜中まで楽しんだ結果、ちょっと残念なことになっている場合もあります。

・赤の他人同士が出会う場
私たちの場合ですが、1つの建物の中に2部屋(洋室・和室)あり、それぞれの部屋で別々のお客さんに予約していただくことがほとんどです。(予約時にゲストさんにはその旨を伝えていますが)見ず知らずの赤の他人同士が1つ屋根の下で出会い、寝食をする場となります。トイレやキッチン、洗面なども共用になります。それぞれが気を使い過ぎてしまう場にならないように心がけています。

3.経営面における特徴

ここは別の機会に詳しく書きたいので今回はざっくりとした特徴だけを書きます。

売上の特徴
宿だけで考えた場合、1日当たりの売上の上限がほぼ決まっているということ。これが一番大きな特徴です。一人当たりの宿泊費、個室料金、ハイシーズン料金、食費などもありますが、ここはしっかりと考えたいところです。

必要経費の特徴
宿泊業の特徴として、一定の固定費(光熱水費、通信費、家賃等)が必要になりますが、仕入れなどの変動費はほぼ発生しないため、事業単体で考えた場合の利益率はとても高いです。固定費は毎月一定額かかかるものの、変動費はあまりないです。リネンを変動費として考えた場合は、もちろん繁忙期には変動費は上がります。

ただ、小さい宿のメリットとしては、この光熱水費が思っていた以上に上がらないということがわかりました。

大きな施設であれば、冷暖房や給湯費など、必要な光熱水費はどうしても高くなってしまいます。夏を越えた実感として小さいということであまり高くなることはなかったです。今年の8月で電気代は20,000円くらいです。というのも、基本的には、夜も外食・温泉に行くお客さんが多いため、滞在時間が少ないためであると考えられます。

ただ、冬は空間を温めないといけないため、どうしても暖房費がかかってしまいます。どうにか薪ストーブの導入などで抑えたいと考え中です。

4.おわりに

以上が私が運営しながら気が付いた小さな古民家ゲストハウスの特徴です。ほかにもまだまだあるとは思いますが、また気が付いたことがあれば書いていきますね。

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