そごうの正月広告をみて思ったこと

そごうのお正月広告をみた。
さ、ひっくり返そう。わたしは、私。

2019年に話題になった、「54字の物語」のように
回文で人をハッとさせる広告だ。

この広告に書かれたコピーをみて、私の心は勇気をもらった。そうだよね、と心が反応した気がした。

でも「そごう」が言うなよ感は感じた。なぜなら私はそごうに強さや勇ましいというブランドイメージを持っていないから。なぜ「そごう」という企業が言うのか?これでそごうにすぐ行こう!なんて思わないわ〜と思ったが。

でもでも、それでいいと思ったのだ。
そごういいね、と想う人が社員さん含め増えて、
通りかかった時そごうに久しぶりに行ってみるか!と想うお客さんが増えれば広告として成功ではないか?と思うのだ。

私が強く思うのは、同じ「広告コミュニケーション」でも、ブランディングと、マーケティングにきくものは全く違うということ。何を言うかどう言うかの前に、役割から既に違う。

私がお正月に一番楽しみなのは、お年玉をもらえる(ことを期待する)ことでも、おせちを食べることでもない。新聞広告を見ることだ。
可能な限り全紙の新聞広告を読み込む。
それはもう楽しくて、勇気が出て、企業の姿勢に自分も元気付けられる。書かれたコピーを読んで、ホロリと涙することだってある。
なぜ好きなのか。人の気持ちを動かすことを目的としたコミュニケーションだからだ。お正月の新聞広告は、「ブランディング」の役割がある。そこに、売らんかなの姿勢は見えない。ただ、動かすことをだけを目的にしたコミュニケーションとも捉えられる。

日々の仕事で、クライアントは広告会社の提案に費用対効果を求めてくる。説明責任として数値が欲しい、検証できるコミュニケーションがいいと、施策も人を動かすか?より報告しやすいか?で採用されることだってあると感じる。昨年、KPIの設定だけでそれはもう何度も頭を悩ませた。

このことに文句を言う筋合いはない。私たちは主に、クライアントさまの売り上げを最大化するために存在するのだから。

クライアントのインサイトに応じるために、社内ではツール開発が進む。
クリック率が上がるコピー生成ツール、気持ちのパターンでPDCA回せます、数値化できます、Cジョアgれrgkj・・・私はこれらに正直嫌悪感を抱いてしまう。(重要なツールだし、需要もあるのだから、ぜひこれからもいいツールが増えていってほしい!私は関わらないし関われないけど。)

話を戻すが、正月の新聞広告は、ブランディングの役割を担っていると思う。
ブランドとは、人の頭の中に蓄積されるものだ。思い出の小箱だと習ったこともある。(この蓄積を、数値化できないから、ブランディングの仕事はクライアントの意思、広告会社間との信頼関係がいかに大事かを実感する)

そごうの新聞広告は、ステークホルダーに「うち、元気ですよ」と伝えたかったのではないだろうか。決して来客数増加を目的とせず。
マーケティング<ブランディング 起点で。

私はそごうに元気付けられた。去年も炎上してたけど、今年もお正月、こうして新聞でそごうのコミュニケーションがみられて嬉しかった。
そして2020年、私自身も私は私と思って仕事をしようと思った。著名クリエイターに媚を売ったり、自分を大きく見せたりしないで、できることを増やせるように、世の中に意味があるコミュニケーションができるように、この業界を生きようと思った。

綺麗事のように聞こえるかもしれないけど、本気だ。
ちょっと私欲を出すとしたら、来年こそ、自分も企業のお正月新聞広告を担当したいなあ。






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