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モノクロなのに旅に出たくなる雑誌「旅行人」

ステイホームを忠実に守り、断捨離にいそしむGW最終日。みんな同じこと考えているのか、マンションのごみ置き場のカートの中身がパンパンで
入れるスペースナッシング。結局、雑草をむしって、すっきりしたはずの庭にゴミ袋5つ放置してしまっている。

洋服や雑誌、取材時の資料などはボンボン捨てられるが、雑誌整理になった途端手が止まった。古い雑誌は捨てればいいのに、写真がキレイだとかこのコラムが気に入っているとか理由をつけ、保管し続けていた。そんなこんなで、雑誌保管段ボールがだいぶ多くなり、気づけば前前回の引っ越しから
一度も開封していない段ボールがあることに気付き、ご開封してみた。

発行年度2000年初頭のものがどっさり。
パラパラめくると、今はいっぱしのおかあちゃんになっているあんな人や
こんな人が広告に出ていて、時代を感じる。情報も古いし、なにせ20年間一度も開いていないんだからこの先見るわけないなと、順調に、雑誌を積み上げていったとき、1冊の薄い雑誌がひょっこりはんしてきた。

こ、これは!!!!
私の旅行バイブル雑誌「旅行人」ではないか!

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旅行人との出会いは、ニュージーランドで出会ったワーホリ女子から紹介されたことだった。
「これ読んで、バックパッカーになりたい!って思ったの。」

という雑誌の特集記事は
旅する女たち、連れていかれる旅よりも自分でいく旅が面白い

なんだ、このドストレートなタイトルは!と鼻で笑いながら、読んでいくと
百戦錬磨の女性パッカーたちが、アフリカだの中東などを一人で行っている
体験記がわんざか載っていた。
旅して生きてるぜ!がビンビン伝わってくる文章もまた魅力。

ニュージーランドでのワークビザが切れたら、アメリカあたりを初一人旅チャレンジしようとは思っていたけれど、さすがにインドやアフリカ一人旅は危ないよなとしり込みしていたのに、パッカー心に火が付いた!

旅行人との出会いがなければ、世界なんちゃって一周一人旅なんてやらなかっただろうし、旅の途中で一人女性パッカーに遭遇するたびに、意味も分からず勇気づけられ、南アフリカまで一人で行く始末。

そんなこんなで、一人旅を終え、無事に帰国したあともせっせと読みつづけた旅行人。なぜこの号の雑誌だけ残っていたんだろうとパラパラめくってみた。

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あ~、この感じ、懐かしい。
ざら紙にみっちりびっちり書かれた文字、寂しさをかもしだすモノクロ写真、記事の四隅には地球の歩き方にあるような読者の体験談が50文字くらいで書かれて、一番下には各国の旅行情報と余すことなく書かれている。カラーの美しい写真がない旅行雑誌なんて、今じゃとんとお目にかかれない。

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取り上げる内容も、ダホメー王国の王宮跡、ジブチ、マラウイとか、そこどこですか?のオンパレード。このスーパーマップのマリ共和国 ジェンネも旅行人で知った。

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旅の小説座談会では、旅情誘う小説の紹介かと思いきや、日本人作家が小説の中で描いた海外は、事実か否かを熱く語っていて
「カイロからベイルートにすい~っといっちゃうけど、ビザどうしたんだよ!」
と小説の内容がほぼ書かれていない(笑)

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世界の変なもの写真大会はインスタのハシリともいえそうなラインナップ。
まあ映えってはないけれども。
写真にもご丁寧に解説つけているあたりがニクイ。

コラム「ナイロビのうわさ」では、夜中中走り回るナイトランナーがいるとかいないとかを単なるうわさなのに1ページにみっちり語っていたり、ガイドブックでは絶対に読めないコラムのオンパレード。

今は、SNSで世界を旅するパッカーたちが気軽に海外で出会った面白ネタを発信できるけれども、この時代はこんな雑誌でもなければ、これほどまでに面白い旅話に触れ合えることがなかったのだ。

たった60P、さらに情報が古すぎて、次の旅には全く役に立たない記事ばかりだったけれども、あまりに面白すぎて1日かけて読破してしまった。

旅行人のおかげで、日本に帰国して働き始めても、旅行熱がふつふつ湧いてきて、南米行くならあそこもここもと計画を練っていると1か月の壮大なスケジュールになり、そのたびに会社をやめて旅行三昧。
一番最初に写真をのせた田中さんのエジプトのコラムを読み、すでにピラミッドを見たことがあるにも関わらず、3つのピラミッドが見渡せる丘でサンドイッチを食べたい!と思ってしまい、もう一度行ってしまったり、ほんとにこの雑誌は私を旅に駆り出してくれた。

ところで、なぜこの号だけ取っておいたのか?
巻頭特集の
「テレビで旅にでる?」
で「世界遺産」「世界の車窓から」「地球に好奇心」などの旅番組の裏側を知る製作者インタビューが載っていたからか?
もしくは、いつかマリ共和国に行きたいと思っていたからか?

ともやもやしながら最後のページをめくって答えが見つかった!
チュニジア南部タタウィン郊外のこの写真!

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読者から投稿された小さい写真なのに、目を奪われ、どうしてもこの異世界が見たいと思って、取っておいたのだ。

投稿者さんのコメントで
チュニジアはチュニスや近郊のカルタゴ遺跡、砂漠に行く人が多いですが
ちょっと足をのばしてクサールもいいんですよ!

と書いてあり、
「わたし、この投稿をみて行きました!」
と返信したいと思っていたのだ。

で、本当に行ったときの写真がこちら。

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モノクロでも異世界感たっぷりだったけれども、色が入ると惑星感が半端ない!と思って調べたら、あのSFの傑作、スターウォーズのロケ地だったのだ。タタウィンという地名も、ルークとアナキン・スカイウォーカーの故郷タトウィン星とニアミスで出ていた。この投稿がなければタタウィンなんて知らなかったし、スターウォーズのロケ地がチュニジアだったってことも知らなった。

今更だけれども、やっぱり読者さんにお礼せねば、投稿しよう!と思ったものの、旅行人は2012年12月で23年の歴史に幕を下ろしていた。2017年に一度復活版が販売なっているものの、そこからは発行なし。がっくし。

ということで、noteでお礼を

チュニジアへいざなってくれたあなたへ。
素敵な投稿写真とコメントのおかげで、チュニジアの知られざる魅力に触れ、さらにスターウォーズの世界を満喫できました!ありがとうございました!

今は、美しい写真にドローン映像、さらにはVRなど、行かなくても世界の素晴らしい景色を家に居ながらにして体験できるけれども、やはり行ってみて味わえる感動、出会いは必ずあると断言できる。
旅行ライターのはしくれとして、ここ行ってみたい!文章読んでいるだけで行った気分になった!と思ってもらえるような文章を書き続けたいと旅行人を読んで改めて思ったのであった。

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