建設機械メーカー世界3位|中国XCMG超大型クレーンの特許
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建設機械メーカー世界3位|中国XCMG超大型クレーンの特許

  前回の記事で第22回中国特許賞について紹介しました。今回の記事では、同賞にランクインしていた企業のうち徐州市で唯一の金賞受賞企業である徐州重型机械有限公司に注目し、該当の風力発電設備に使用される技術に関する特許と、同社のグループ企業である徐工集团工程机械股份有限公司(XCMG)の知財活動や最新情報について紹介したいと思います。

クレーン1

(画像引用元)http://news.cmol.com/2021/0720/89008.html

1.  徐州重型机械有限公司

  徐州重型机械有限公司(以下「徐工机械」は、徐工集团工程机械股份有限公司(XCMG)と工集团进出口公司による共同出資で設立された国営企業です。江蘇省徐州市を拠点に1943年に創業し、XCMGグループの中核となっています。なおXCMGは2021年5月に、英国の出版社KHL Groupが発表した世界の建設機械メーカーのトップ50社ランキング「Yellow Table 2021」で、年間売上高151億ドルで第3位という歴史的な地位を獲得しました。これは中国メーカーの中で最高順位です。

  徐工机械は現時点で136件の特許を取得しています。省レベルの科学技術進歩賞は15件獲得しており、そのうち「大型移動式クレーンの研究開発と産業化」プロジェクトは中国機械工業の科学技術進歩賞の第1位、江蘇省の科学技術進歩賞の第2位を獲得し、QAY25オールテレーンクレーンは中国機械工業の科学技術進歩賞の第1位を獲得しています。

2.  徐工机械と中国特許金賞

  徐工机械は、第14回中国特許賞(2012年)において「複合型自動着脱式カウンターウエイト装置(组合式自拆装平衡重装置)」という特許での金賞を受賞しました。それから10年後の第22回中国特許賞で「風力発電用ブーム反転方法およびクレーン(风电臂翻转方法及起重机)」という特許で再び金賞を受賞しました。

  過去10年間、中国の風力発電産業は急速な発展を遂げ、風力発電の総設備容量は世界トップレベルに達しています。風力発電所の建設サイクルの中で、風力発電設備用ジブの取り外しと移送にかかる時間が40%以上を占めており、オールテレーンクレーンの施工効率向上を制限する主な要因となっています。

  この課題を解決したのが、「風力発電設備用ブーム旋回方法およびクレーン」という技術です。風力発電用ブームの完全な状態で提供され、取り外しと取り付けの必要がなく、車両に搭載したまま移送できます。風力発電設備の建設コストを25%削減し、各風力発電所の工程を平均3か月早く送電を開始でき、経済的利益を生み出すことができました。

3.  特許「風力発電設備用ジブ旋回方法およびクレーン」

実際に該当の特許を読んでみたいと思います。

発明の名称:风电臂翻转方法及起重机
出願番号:201611092558.2(2016.12.02)
登録番号:CN106395645B(2018.10.02)
出願人:徐州重型机械有限公司
発明者:单增海、赵瑞学、陈志灿、贾体锋、王守伟、张正得、于敬利、张平海
Google Patent:https://patents.google.com/patent/CN106395645B/zh?oq=CN106395645B

  この発明の背景として次のような技術的課題が存在しました:
  現在、中国国内の超大型クレーンは、風力発電設備設置や保守作業で吊り上げを行うために利用されています。こうしたクレーンに対する要件は、広範囲な可動域などの総合性能の優位性にあるのではなく、吊り上げ高さが大きい場所での吊り上げ重量に対する要件に集中しています。従来の方法では、次のような問題があります。超大型トンクレーンは主にファンを設置するために使用されます。設置作業では、1つのファンの設置が完了すると、クレーンは次の作業場所に移動して別のファンを設置します。クレーンには、主ブームとその前端に設けられた風力発電設備用ジブがあります。風力発電設備用ジブは自重が大きく、アームの長さが長く、クレーン車両の重心が偏るため、移動前に前方の風力発電設備用ジブを取り外し、次のファンの吊り上げ場所に到着してから再度組み立てることがあります。その際、フックの取り付け/取り外しや鋼製ワイヤーロープ設置なども必要となるため、作業全体において時間と労力がかかります。また、取り外しの際には吊り上げ装置や運搬車が必要となり、移動のためのコストがかさむことになります。

  こうした課題を解決するために「風力発電設備用ジブ旋回方法およびクレーン」が発明されました。この方法の動作を図とともに以下に説明します。

クレーン動作①

  クレーン車両部分に主ブームが設けられており、主ブームは風力発電設備用ジブに回転可能に連結されています。枢動部分に旋回ピンが設けられています。

クレーン動作②

  吊り上げ鋼性ロープを使って風力発電設備用ジブを第1の位置まで牽引します。そして緩衝部材を風力発電設備用ジブに接触させます。

クレーン動作③

  吊り上げ鋼性ロープを使って風力発電設備用ジブを第2の位置まで牽引し、吊り上げ鋼性ロープによる牽引を解除します。このときに、風力発電設備用ジブの自重を利用して風力発電設備用ジブをさらに移動するときに、緩衝部材により衝撃が生じるのを防ぎます。緩衝部材には、ばねや油圧シリンダを利用できます。

クレーン動作④

  風力発電設備用ジブが収納位置まで旋回されると次の移動に備えます。

4.  徐工机械の発明によるXCMGでの経済効果

  XCMGはこの技術を使用して世界最強の吊り上げ能力を持つXCA1600オールテレーンクレーン製品を開発しました。そして、風力発電設備の建設高さを110mから140mに伸ばし、車両クレーンによる風力発電設備建設の世界記録を達成しました。また、この技術により2020年だけで、風力発電設備設置コストを54億元節約し、送電開始時期を早めることで49億元の経済的利益を生み出しました。1,600トンの超大型クレーンを風力発電設備建設に大量に投入することで世界の新エネルギー建設の急成長に貢献し、世界の「カーボンニュートラル」の目標達成に向けた取り組みを行っています。

クレーン2

5.  XCMGの知財活動

  XCMGは企業の自主的なイノベーション能力を向上させ、知的財産権により強力な企業を構築するという全体目標を重視し、業界で率先して知的財産権による企業の強化戦略と特許品質向上の特別プロジェクトを実施しています。

  XCMGは「風力発電設備用ジブ旋回方法およびクレーン」の特許を中心に、9つの関連特許を出願しており、さらにこれらの特許を米国やカナダなどの国でも出願しています。特に「風力発電設備用ジブ旋回方法およびクレーン」の米国出願は登録となっており、超大型クレーンの海外での技術蓄積と技術サポートに取り組んでいます。また、技術プラットフォームの研究開発を通じて、製品の高度な技術水準を確保し、メカニズムの最適化、プロセスの再構築、情報技術データの管理と応用を研究開発管理に完全に組み込み、科学技術プロジェクト管理に知的財産管理の全プロセスを統合した知的財産管理システムを形成しています。

  現在までに、XCMGは1,700件以上の特許出願、530件以上の重要なコア技術を持ち、そのうち30%以上が国際水準に達するレベルであり、80件以上の国際出願を展開しています。

6.  XCMGの2021年第1四半期決算

  XCMGは4月28日、2021年第1四半期決算を発表し、売上高と利益の両方で過去最高を記録しました:

*営業売上高は38億8,000万ドルで前年同期比80.40%増
*営業活動によるキャッシュフローは前年同期比1502.97%増
*上場企業の株主に帰属する純利益は2億6,818万ドルに達し、前年同期比で182.44%増加し、四半期ベースで過去最高を記録
*売掛債権は前年同期比46.26%減

  XCMGの第1四半期における画期的な成果は以下のとおりです:

*一帯一路構想(BRI)諸国への400台を超える建設機械設備の納入
*世界最大のクローラークレーンXGC88000は、盛虹製油所プロジェクトの建設現場に2,600トンのタワー設備を設置することに成功後、再び新しい吊り上げ記録を樹立
*カスタマイズされたGR2605グレーダーのリオティントへの納入
*Hanyunインダストリアル・インターネットプラットフォームが、産業用インターネットの新しいインフラプロジェクトのトップ3に選出
*主要なデジタル製品であるXCMG-Global Service System(X-GSS)の発売

  こうした取り組み以外にも、XCMGは全体的な競争力をさらに強化するため、鉱山機械企業(国内ブランドの中で最高国内市場シェア)、掘削機企業、タワークレーン企業(国内市場シェア上位2位)、コンクリート機械企業(国内市場シェア上位3位)と統合して上場するという計画を発表しています。

https://kyodonewsprwire.jp/release/202105215196

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石川県白山市。株式会社IPOMOEA(イポメア)代表。特許翻訳サービス、特許調査サービス(特許調査会社と連携)を提供しています。https://ipomoea.biz/