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ひよ子とわたし ~幼い記憶~

「今日はどこ行くの?」


小学生だったわたしは父が出かけるところに遭遇するたびに、そうきいた。

父は団体職員で、毎日違う場所に仕事に出かけていた。

東京、千葉、静岡、たまに福岡、広島、札幌...


色んなとこに行く父は、いつもおみやげを買って帰ってきてくれる。


「はい、今日のおみやげ」


そう言って、わたしや母に手わたしてくれる。

父が買ってくるおみやげは決まって、おかしかご飯のおかず。

くいしんぼうのわたしは、父の帰りがいつも待ちどおしかった。


あるとき、いつものようにおみやげを買ってきてくれた父がこう言った。

「ゆきみ、これ好きだろう」


おみやげはどれも好きだけど、どれだっけ?

どれのことだろう?

中を見るまでぜんぜん分からなかった。


黄色い紙袋から出てきたのは「名菓ひよ子」と書かれた箱。

包装紙を勢いよくビリビリと破って箱を開ける。

中には包装紙に包まれて、おとなしくちょこんと座ったひよ子たち。


「あっ!ひよ子!これ大好き!」


今思えばひよ子好きはこの頃からだったのだろう。

見た目はかわいいし、味は甘くておいしいし、大好き!

スナック菓子や駄菓子も好きだけど、ひよ子は特別感もあって別格だった。



そんな大好きなひよ子だが、ひよ子関連で当時問題がひとつ。

名前をちゃんとおぼえていなかったのだ。


ひよ子と並んでよく父が買ってきていたお土産に「こっこ」というお菓子がある。

こっこは静岡のお土産だ。

見た目は黄色くて丸い小さい蒸しケーキのようなお菓子だ。

中に白いクリームが入っている。


一方、先に出ていたひよ子は福岡と東京のお土産だ。

最大の特徴はお菓子の形が「ひよこ」だということ。


わたしの頭の中で「ひよ子」と「こっこ」は「ひよこ・にわとり系のお菓子」として一緒に括られていた。

ひよ子と言われてこっこを思い浮かべ、こっこと言われてひよ子を思い浮かべることはよくあった。


行き先とおみやげをしっかり結びつけて覚えていれば問題なかったのだが、当時のわたしはそんなに賢くなかった。

できるのは父からのおみやげを素直に全力で喜び、食べることだけ。


朝、父はこう言った。

「今日は静岡に行ってくるよ。こっこを買ってくるからね」

それを聞いたわたしは、「こっこ楽しみ!」と喜んだ。

頭に「ひよ子」を思い浮かべながら。


夜、「こっこ」を受け取ったわたしは放心した。

ひよこの形じゃなかった...。

まぁ、こっこもおいしいんだけどさ。

わたしはひよこの形が好きなんだよなぁ...。

そう思いながらこっこをほおばった。



※今はちゃんと区別つきますよ!なんたって「ひよ子」の大ファンですから!

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直訳で「花の魔女」。お花のアクセサリーを作ってます。身につけた人にしあわせの魔法がかかりますように。目標はヒヤシンスのアクセサリーを作ること!好きなものはゲームと「ひよ子」。
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