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(日々)三次元の仕事/カオマンガイ/「違う」のは恐い/洗濯物とオフィス/タコのおじさん/Sunny

日常的で些細で、暮らしの匂いがするけど、仕事とか人間関係とか時事ニュースのような直接的に役に立つことからは遠い(けど、実はへんに頭で考えるときよりも、つながっていたりする)。
旅してるときの日記ってそういうかんじだなぁと思います。
しばらく旅はできそうもないし、普段の日常でも、そういう日記を書いてみようかなと思いました。

2020/5/25 三次元の仕事
アパートの共有スペースをメンテナンスしてくださるおばあさんがいる。
小柄で腰が曲がっていて、いつも紫の柄がついた服を着ている気がする。挨拶とお礼をすると、少しだけ会釈をされる。声は聞いたことがない。
自粛解除の報を受けてか、今日の朝、久しぶりにゆっくりとした剪定鋏の音が聞こえた。昼間には窓辺をほうきの音が通り過ぎる。
今日は在宅勤務でzoom会議が4つあって、ひたすら正面を向いた人間と、スクリーンの文字を見ていた。
夕方に玄関を出てみる。植え込みは規則正しい長方形になり、落葉はきれいに3つのポリ袋にまとめられ、モップをかけるおばあさんの姿が見えた。三次元の仕事だ、と思った。

2020/5/26 カオマンガイ
実は、すごく好きだったのかもしれない。ふとした瞬間に、そう気づくものがある。幼なじみへの恋心に気づく、少女漫画の主人公のように。
「カオマンガイ、私実はすごく好きかもしれないです」。職場の先輩と行ったランチで、ふいにそう言っていた。その後、外食でメニューにあれば、必ず頼んでいる自分に気づくことになる。
最近は炊飯器で自作することも覚えて、今朝は昨日残ったカオマンガイ味のごはんから1日がはじまった。やっぱりすごく好き、と思った。

2020/5/27 「違う」のは恐い
尊敬する人が、自分と違う意見を言うと、不安になる。
どうでもいい人が、自分と違う見解を主張しているのを見ると、不快になる。
仲間だと思っていた人が、自分と違う主張を支持していると、怒りと悲しみが湧いてくる。反応的に。
「違う」のは、恐い。多様性大事!と、心から思っていても。恐いものは恐い。
でも、多様性の話って、「恐いって思うのが、前近代的でばか」みたいな論調になりがちだ。
私はその価値観とは違うから、今日もそういうツイートを見て、悲しくなってしまった。

2020/5/28 洗濯物とオフィス
夕方、急に強い雨が降った。慌てて洗濯物をとりこむ。ぎりぎり無事! 嬉しい。
これができるのが、在宅勤務になって、最も嬉しいことのひとつかもしれない。オフィスではこうはいかない。
「うわぁ、雨すごい」と窓際の席の人の声で、窓の外に目を向ける。絶望的な気持ちで、「洗濯物干してきちゃいましたよ…」とこぼす。
「それはどんまいですねー」「私もやっちゃいました…」という声が返ってくる。なんか書いていら、久々にちょっと出社したくなったな。

2020/5/29 タコのおじさん
近所のやきとん屋さんの店主は、いつも赤いTシャツを着ていて、タコみたいな頭と口をしている。
少しだるそうにオーダーを聞いて、「はいよー」と言ってやきとんをだす。はじめはぶっきらぼうでこわいような気がしていたけれど、別に不機嫌なわけではないらしい。たまに常連さんと話して、シニカルな笑みを浮かべている。
自粛でしばらく行っていないけれど、タコのおじさんは元気にしているだろうか。「はいよー。はらみ、たん、かしら1本ずつ」久しぶりに聞いたら、とてもうれしくなってしまうかもしれない。

2020/5/30 Sunny
映画『Sunny 強い気持ち強い愛』をアマプラで見た。90年代サブカルチャーと、箸が転げてもおかしい年頃な女子高生たちとの描写が、リアルで懐かしくていい映画だった。
この「箸が転げても」という表現、ほかの国でもあるのかなとググったら、英語では「帽子を落としてもおかしい年頃」という表現があるらしい。人種や文化が違っても、10代後半って、そんな時期なのかな。
映画のなかの大人の年齢に近くなった身として、若い人たちの友達とくだらないことで笑う時間が、守られる世界にできるといいなぁと思う。

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