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絶対忘れるながやめられない 23

前回のお話はこちら

2017.2.1
私事だが、BAYCAMP出演から5日経ったところで誕生日をむかえた。

深夜、酔った勢いで見るからにハイカロリーなやつを一人でたいらげたあと寝落ちして誕生日を迎えたことには触れないでおくとして、そのとき食べたセブンイレブンの台湾丼(正式名称は「にんにくが決め手!台湾丼(旨辛肉そぼろ)」)が本当においしかった記憶がある。酔ってたけど。この時以来店頭で見てない気がする。復活を切に望む。

台湾丼の話題だけで200字も使ってしまったが、その後のぜわすはどうなったのかという話である。

1月28日のベイキャン後からまたたくまにライブ出演オファーが多数舞い込んできたぜわすはステージでの評判が評判を呼び、すっかり多忙を極め早々に脱サラを検討しはじめるメンバーもいた…

……なんていうことはなく、

むしろそこからおよそ3ヶ月間"凪"だった。

おかしいな〜

めちゃめちゃ反応良かった気がするんだけどな〜

なんかもっとこう、劇的な変化みたいなの、あるもんじゃないのかな〜

イベンターの方々、遠慮しなくていいんですよ〜!

ぜわすはけっこういいライブしますよ〜!

高額なギャラなども不要ですよ〜!

料理って、楽しいんですよ〜!

………

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………


2017.2.7
ぜわすは凪だったが、メンバーのつーちゃんこと益若つばめとセルラがやっているユニット「DJ毛織物」での出演イベントは一本決まっていた。セルラのバイト先(2020年現在も月一出勤中)である東中野の「BARバレンタイン」でのDJイベント、つまりマスターにお声をかけていただいた感じであって、ベイキャン効果とかではない。とはいえ活動自体たまにしかない毛織物にオファーをいただけるのは嬉しかった。

2017.2.11
ぜわすが2013年に初ライブをやったこともある大学のサークルのOBライブ@高円寺SHOWBOATに宇多田ヒカルのコピーバンドで数年ぶりに出演。ベースを弾くのが久々すぎたせいか当日ガタがくるというトラブルがあった。

リハーサル後にあわてて駆け込んだ楽器修理屋さん。時間のない中で店主とおぼしき方がとても親切に対応してくれたおかげで本番は無事音が出た(が、翌年、急な閉店をした直後お客さんが預けた楽器を質に入れていた容疑で捕まっていた…)。

2017.2.17
DJ毛織物出演イベント当日。何をしたか覚えていないが、初心者のセルラがどんなむちゃくちゃやっても大体つーちゃんがうまいこと回収してくれるのでその日もむちゃくちゃにやったような気がする。

とりあえず線路にiPhoneを落とすというあまりないタイプの終電の逃し方をしていた(東中野の駅員さんに拾っていただきました、お手数をおかけしました)。

2017.2.28
ほぼぜわすが出てこないまま自分の話で1100字も書いてしまったところで大変申し上げにくいが、この日、個人的な大ニュースがあった(少しぜわすにも関わってくるところではあるので、今回はこの話を少しさせてほしい)。

一言でいうと、とんでもないオファーを受けてしまったのだ。

2017.3.15
そのとんでもないオファーの内容が解禁された。

なんだかすごい名前のグループのデビューライブがあるらしい。
ツイートされている画像の一部を見ると、何やら一方的によく名前を耳にするアイドルさんやバンドマンの方がたくさん出るようだ。

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どうやら単なるデビューイベントではないらしい。
それにしてもアイドルのデビューライブでMCバトルとは珍しい…

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!!?

そう、2017年4月3日に行われる「ちんぽやくざ」というアイドル(グループ名ゆえ逆に伏せ字にできないというトラップ)(以下ちんやく)のデビューライブの幕間に行われるMCバトルコーナーにセルラが出演することになっていたのだ。

なぜか。事の発端は「がんデモ」でぜわすを見出してくれたパーフェクトミュージックの張江さんからの

「4月に初心者のバンドマンやアイドル同士でのMCバトルをシェルターでやるのでセルラさん出てみませんか?」

というお誘いだった(のちに知ることになるのだが、このイベント、というか「ちんやく」の結成にはパーフェクトミュージックが関与していた)。

このお話をもらったときは大層ひるんだ。
ラップグループを何年もやっていながらセルラはMCバトル出場はおろか、フリースタイルをした経験すらほぼ皆無だったからである。

イベントの趣旨として「バトル初心者たちが(クラブではなく)下北沢のライブハウス・シェルターでバトルをする」というところがポイントだったようなのでむしろ「ラップをやってはいるけど初心者」的な立ち位置がちょうどよかったのかもしれないが、それにしてもこのメンツの中で明らかに無名である。

志賀さんの言うとおり「なんでいるの?」状態だったのである。

どアウェーで、しかも勝ち目がなさそうな状態でなぜオファーを受けたのか。
それは

おもしろそうだったから

正直話をもらった瞬間に冷や汗をかいて胃が痛くなるくらいにはプレッシャーだったのだが、それ以上にその気持ちが勝ってしまった。そもそも人生でこんなよくわかんないイベントに誘われることなんてあんまりないだろう。

しかも「がんデモ」で自分たちを選んでくれた張江さんからのオファーだ。無下にすることはできない。ズタボロにされるパターンや、何の爪痕も残せず終わるパターンが容易に想像できたが、ワンチャンぜわすの宣伝になるかもしれないじゃないか。そう思って、非常にドキドキしながらも「出ます」と返事をしたのを覚えている。

さてそのイベントのメインとなるのが「ちんやく」のデビューライブだったということは解禁まで知らなかったのだが、その名前のインパクトにより、「ちんやく」デビューを報じた「音楽ナタリー」のニュースは大変に話題になった(その週のナタリーの記事でダントツのアクセスを稼いだとか稼いでないだとか)。

ベイキャン出演決定の際「絶対忘れるな」というグループ名がさりげなく掲載された音楽ナタリーで、まさか次に自分の個人名が「ちんやく」のニュースとともに掲載されることになるとは思わなかった。

そんな感じ」の一部に…。

2017.3.30
本番まで意外と時間がない。

とりあえず何からしたらいいのかわからずに韻を踏む練習をしていた様子。

また、渋谷のHMV&BOOKSでこんな本を買った。

バトル業界に全くといっていいほど明るくないわたしでも知っている数少ないバトルMC・「晋平太」さんが出している初心者向けの本だ。

ストリートで実践をせず教科書で学ぼうとしている時点ですでにディスられる要素満載という感じだが、頭でっかちタイプゆえ本から入りがちなのは許してほしい。

とはいえもちろん全く練習しないわけにもいかない。

というわけでぜわすのメンバー、志賀ラミーさんに練習に付き合ってもらった。志賀さんもバトル経験なんて皆無なのだが、「頭がよくラップがうまい身近な人」ということで練習相手をお願いしたら快く引き受けてくれた。あと、「校庭カメラガール」のファンだったためMCバトルで出場する姉妹グループ「校庭カメラギャル」のpataco &patacoちゃんのこともすこし教えてくれた。仕事帰り、高円寺の道端で志賀さんと罵り合ったのをよく覚えている。審判もいないし周りの目を気にして音楽もすごく音量控えめで流していたので、端から見たら単に喧嘩しているように見えたかもしれない。

ちなみに高円寺駅前のロータリーで時折サイファー(輪になって順々にフリースタイルをする遊び)が行われているらしいという情報を伝え聞いたが、いきなり知らない人たちのサイファーにとびこんでいけるようなマインドを持ち合わせてたらそもそもぜわすなんてやってないのだ。

それから当時「カナリアMIMIC」というグループをやっていたHYDRO氏にも「助けてくれ」とLINEをした。HYDROくんはぜわすで何度か共演した時からライブ中やそれ以外の時間でもしょっちゅうかっこいいフリースタイルをやっていたのだ。今思うとはじめてフリースタイルしている人を生で見たのはHYDROが初めてだったかもしれない。というわけで実力は折り紙付きだった彼に助けを求めると、面倒見の良い彼はすぐに一緒にスタジオに入ってくれた。

貫地谷翠れんさんがベイキャンオーディション出演直前に志賀さんが出られることが決まって「今更来られても…」という名言を放った高円寺のMUGICという今はもうないスタジオで、同じくカナリアMIMICのPINKOちゃん(同じくラップうまい)も来てくれて臨んだ、人生初めてのバトルのためのスタジオ。友達とはいえ、かっこよくて場数も踏んでいるラッパーさんたちとスタジオに入るのにとにかく緊張していたので、紛らわすためにハイネケンを飲んで、わけもわからず手探り状態でバトルをした。二人のフリースタイルやバトルも見た。難しかったけど、うまい人とやるのは面白かったし、HYDROくんは色々アドバイスをくれつつ「セルラ強いよ、いける気がする。優勝目指そうぜ」とモチベを上げるコーチ的な役割も担ってくれて、大変助かった。バトルにおいて「ここまで練習したから大丈夫」みたいな考え方は存在しないが、周りの協力を得ながらなるべくできる限りのことはやった。

2017.4.3
そんなこんなで迎えた「ちんやく」デビューライブの日。

そもそも「ちんやく」とはなんなのか。
どんなライブやバトルが繰り広げられるのか。

右も左もわからず緊張が一回りしてもはや何も考えられないくらいの状態で仕事後に下北沢に降り立ったセルラを待ち受けていたものは。

つづく。


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