生理ナプキンの新星、オーガストの魅力
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生理ナプキンの新星、オーガストの魅力

ナプキンやタンポン、生理用品を巡る動きは、米国ではここ5年ほど加速しています。オーガニックのコットンを使ったナプキンや、プラスチックを減らして、エコに配慮したものなどさまざまな商品が出ています。

今回は、その中で最新の企業「オーガスト(August)」についてレポートしま す。

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もはやニッチではない市場

生理用品などのスタートアップは、フェムテック企業として語られることが多くあります。

フェムテックとは、女性(Female)とテクノロジー(Technology)を合わせた言葉で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する商品のことを言います。

フェムテックを語る上で、象徴的な出来事が2019年2月にありました。世界的な消費財ブランドのP&Gが「This is L.(ディズ・イズ・エル)」という生理用品ブランドを1億ドル(当時の為替で110億円)で買収したのです。

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2013年に設立されたディズ・イズ・エルは、オーガニックコットンを100%使ったサブスクリプション型の生理用品を販売するスタートアップです。

この企業を大手のP&Gが買収したというニュースは、それまで、ともすればニッチな市場として見られていたフェムテック業界が、これから大きな産業になることを印象付ける出来事でした。

その後、2014年には、有害な化学物質を使わないオーガニックコットンを使った生理用品のサブスク、LOLA(ロラ)やCORA(コラ)といった企業が続々と生まれました。

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そして2021年、この領域で新たに商品をローンチしたのが「August(オーガスト)」です。この企業を創業するのは、20代前半の若者たち。立ち上がったばかりですが、同じく若い世代の消費者から強い支持を受けています。

なぜ今この企業がおもしろいのか、理由は主に3つあります。

一つは、オーガニックコットンを100%使った生理用品のサブスクであること。二つ目は、これまでの「生理用品」の概念を打ち破るデザインであること。そして、三つ目は、創業者たちが生理に対して、並々ならぬパッションを持ち、生理をタブー視する社会の通念を変えようとしていることです。

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オーガストもサブスク型

オーガストのホームページを見ると、お菓子のようなカラフルな箱に入ったタンポンやナプキンがずらり。ドラッグストアの棚に並んでいる、当たり障りのないパッケージの生理用品とは一線を画しています。

ナプキンや、タンポンもサイズ(容量)が大、中、小に別れていて、自分のサイクルにあった商品を選ぶことが可能です。

価格も米国では手頃で、例えば16枚のナプキンで価格は9ドル(約1000円)。好きな商品を、好きな個数で箱詰めするお好みボックスも12ドル50セント(約1400円)。一月分だけ買うこともできますが、商品が自動的に毎月届く「サブスク」で購入することもできます。

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また、サステナビリティー(環境の持続可能性)という観点も重要視していて、プラスチックは使われていません。さらに、生理用品のコットンの生産で強制労働が行われていないか、生産工程にきちんとした安全のガイドラインがあるのかという点も、第三者機関を入れて調査しています。

衝撃的な広告

ホームページに載っている広告写真を見ると、最初は驚いてしまうかもしれません。というのも、女性がナプキンを替える瞬間の写真や、ナプキンをつけた女性の写真が堂々と掲載されているからです。

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ナプキンの広告では、血液を意味する青い液体がコットンに吸収されていく様子が映し出され、吸収性の良さを示すCMをよく見るでしょう。しかし、オーガストは女性たちが抱えているありのままの現実を写し出そうとしています。

生理は血液で、青い液体なんかじゃない。そして、まさにこのことが、社会の中で生理が「タブー視」されている証拠だとオーガストは訴えています。

創業者は22歳と23歳

オーガスとを創業したのは、名門ハーバード大学とプリンストン大学を卒業した日系アメリカ人のナディア・オカモトと、ニック・ジェインの二人組です。

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「生理について母と最初に話したのは、この会社を立ち上げた時で、母はとても驚いていました」(ニック・ジェイン)

ジェインは、生理の話は、他の多くの少年たちと同じように、不愉快で避けたい話題だと思ってきたと言います。ところがある会合で、多くの女性が生理用品を買えずに、安全でない止血方法を取っていることや、生理用品に「タンポン税」という税金が課される州があることを知りました。

この会合で、生理にまつわる問題を熱心に説いていたのがオカモトです。

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「ホームレスの女性たちと話をして、彼女たちがトイレットペーパーや靴下、スーパーの袋、段ボールなどを使って手当をしていると聞いたんです」(ナディア・オカモト)

オカモトは、ホームレスの女性がシェルターで生理用品が欲しいと言えないことに気がつきました。生理がタブー視されるあまり、彼女たちがナプキンを欲しいと思っても、声をあげることができなかったのです。

そこで、オカモトは生理の貧困をなくすべく、わずか16歳の時に生理という意味の「ピリオド(PERIOD)」というNPO団体を設立しました。団体を通じてタンポンなどを無料で配布する活動を始め、一時は1000以上のボランティア支部ができるまでに拡大しました。

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タブーの文化を変えたい

オカモトがNPO団体の「ピリオド」の事務局を退いて2020年に始めたオーガスト。その目的は、単に生理用品を販売することではありません。

このビジネスを通じで生理をリアルに語り、「タブー(恥)の文化」を変えることにあると言います。

そのため、オーガストは生理についてオープンに語れる場所も作ろうとしています。ウェブサイトで医学的に検証された生理に関するコンテンツを無料で提供したり、個人的なQ&Aに専門家が回答してくれるチャネルも作っているのです。

これまでの既存の概念やタブーを打ち破ると言う意味でも、オーガストは若い世代の共感を呼んでいます。こういったメッセージ性の強い商品、そしてサブスク、環境を意識したビジネスがどこまで成長するのか、非常に興味深いです。

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NewsPicksシリコンバレー支局長。テクノロジー、ビジネス、カルチャーを中心に米国から情報を発信します。米国の生殖医療、その周りに育つスタートアップに高い関心があり、最前線の取材をしています。