私の体験から生まれた、卵子凍結「コンシェルジュ」
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私の体験から生まれた、卵子凍結「コンシェルジュ」

「卵子凍結」は、気になるけれど、やはりまだわからないことが多すぎる。

どこで良いクリニックを見つけたらいいのか?どれくらいの金額がかかるの?将来の妊娠までの成功率は?リスクはどれくらいあるの?

聞きたいことはたくさんあるけれど、誰に聞いていいかわからないので、とりあえずグーグル検索。

だけど、本当に正しい情報なのか不安…。こんな人はとても多いのではないでしょうか。

そんな悩みを一挙に相談できる「卵子凍結コンシェルジュ」サービス、「Lilia(リリア)」がカナダとアメリカで2020年1月にスタートしました。

489ドル(約5万5000円)のコンサルティング料金を支払うと、卵子凍結に関する将来の可能性とリスク、科学的な根拠がある情報、クリニックの紹介や予約、精神的なサポートといったサービスを一括して受けることができます。

アメリカで卵子凍結・不妊治療の周りで多くのスタートアップが生まれている背景には、新しいサービスが欲しいという、女性たちの強い需要があるのです。

一気通貫のサービス

リリアのサービスはどうなっているのでしょうか。

まず初めに、自分がどんなことに悩んでいるのか、今卵子凍結がどれくらい喫緊な課題なのか、10項目ほどの質問に答えていきます。

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その後、個人のニーズにあったコンシェルジュが紹介される仕組みです。

リリアはクリニックではないので、卵子凍結を実際にはしませんが、ベストなクリニックを絞り込み、どこまでが保険でカバーされるのかなどを調べてくれます。

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また、このコンシェルジュサービスの他に、219ドル(約2万4000円)でAMH(アンチミューラリアンホルモン)の検査もしています。

AMHの検査は、卵巣予備能の指標になるホルモンを測るもので、卵巣に卵子がどれだけ残っているのかがわかります。つまり、現時点での妊娠のしやすさの目安がわかることになります。

29歳で卵子を凍結した

リリアは、カナダ、アメリカの両国でサービスを展開しています。

創業者は、アリッサ・アトキンスさん。まさに、彼女自らの卵子凍結の体験が、リリアの誕生に結びついています。

彼女は高校時代から付き合っていた恋人と10年間交際し、27歳で別れるという経験をしました。また、義理の母が36歳で早期に閉経し、こんな若くして閉経することがあるのだという事実にも直面しました。

「恋人との別れと、早期閉経という二つの出来事が、不妊について考えるきっかけになりました」(アリッサ・アトキンスさん)

2019年、新しく付き合った人がいましたが、その彼はアトキンスさんより4歳ほど年下でした。子どもを持つタイミングは明らかに一致しておらず、彼女はこう考えました。

「もし私が35歳までに子どもを持ちたいなら、デートするのに1年、恋をするのに2年は必要。そこから逆算すると、昨日までに適切な相手に出会っておく必要があったわ。だから、今の彼とはすぐ別れるしかない」(アリッサ・アトキンスさん)

彼女は、全てのシナリオを計画し始めましたが、本当にストレスがたまったと言います。

男性は子どもを作る能力が女性よりも長く、「生物学的な時間の期限」に焦ることはありません。アトキンスさんの彼氏にも焦りはありませんでした。しかし、彼女は限られた時間でどうにかしなくてはいけないという焦りが襲ってきました。

アトキンスさんは、まず自分にどれだけの時間が残されているのか、グーグルで情報を集めようとしました。ところが、たどり着いたのは体系だっていない文献ばかり。また、どれが信用できるものかもわからなかったのです。

何時間もリサーチに費やした結果、アトキンスさんは、どうやらAMH検査から卵巣予備能を知ることができること、そして将来の妊娠に備える「卵子凍結」という手段があることを知りました。そして、それは早ければ早いほど効果が高いということもわかったのです。

「卵子を凍結するのに最適な時期は、20代後半〜30代前半と言われています。なぜ誰もこのことを教えてくれなかったのだろう、と思いました。そして私は、医師に、『一ヵ月も待ちたくない、すぐに凍結したいんです』、と言いました」(アリッサ・アトキンスさん)

そしてアトキンスさんは29歳で卵子凍結に踏み切ったのです。

パワフルで自由になった

アトキンスさんは卵子凍結をした後、どう感じたのでしょうか。

「女性の『妊娠期限』を考える重荷から解放された後は、とてもパワフルで自由な気分になりました。将来、妊娠する100%の保証はありません。それでも、20代の早い段階で卵子を確保したので、将来子どもを授かる可能性がとても高くなったと思います」(アリッサ・アトキンスさん)

そして彼女は、多くの女性たちを集めて卵子凍結パーティーを開きました。その時に、これこそが未来だと確信したと言います。

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「女性は大学卒業と同時に卵子を凍結するようになると思います。卵子凍結を祝ってパーティーを開く、それこそが事実上の卒業祝いとなる日が来るはずです」(アリッサ・アトキンスさん)

卵子凍結をすれば、女性はその後に、やりたいことを何でもできるようになる。そして、世界はやりたいことを何でもできる女性を、もっと必要とするはずーー。

アトキンスさんのこの思いが、リリアを作るきっかけになりました。

「女性が最初の一歩を踏み出しやすいように、リリアがカーペットを敷いてあげようと思ったんです。目標は、女性が男性と同じようにキャリアや家族、ライフスタイルの選択肢を持てるようにすることなのです」(アリッサ・アトキンスさん)

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アトキンスさんは、アメリカの多くの女性たちは、学校で妊娠しないためにはどうしたらいいのかということは教えられてきたけれど、「妊娠するために」どうしたらいいのかを知る機会は驚くほどなかったと言います。

これは、日本でも同じ状況ではないでしょうか。

生活スタイルが変化し、女性がキャリアを築き、晩婚化が進む現代。「妊娠するために」どうしたらいいのか、そのことを考える人たちがアメリカ、日本でも増えているのです。

アメリカでは、日本よりも卵子凍結についてオープンに話す風潮が広がっており、将来への投資という考え方をするミレニアル世代の女性が増えているように思います。

取り戻せないかもしれない「時間」を今買っておく、まさに自分への投資という側面があるのです。


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NewsPicksシリコンバレー支局長。テクノロジー、ビジネス、カルチャーを中心に米国から情報を発信します。米国の生殖医療、その周りに育つスタートアップに高い関心があり、最前線の取材をしています。