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またどうでもいい話

亡くなった親友はたいへん女性らしいひとだったと思う。

旧帝国大卒ですさまじく頭が良かった。数学の授業でノートをとったことがない、と言ってた。一度解いてしまえばもう覚えてしまうから、と言ってたな。大学時代の友人と若いうちに結婚して、霞が関省庁官僚の妻であった。ピアノが上手で歌が上手でゴスペルとハワイアンをセミプロで舞台で歌ってた。

彼女をとても女性らしいひと、と言うと、彼女を知る周囲の人たちに激しく否定されそうだ。本人も否定するだろうが、私は、その親友をとても女性的なひとだな、と思ってた。母の生き方を否定しながら、母の言う通りの上流階級のマダムになっていたので、なんだかんだ言ってお母さんのことが好きだったんだろうな。思いやり深く、目の前のひとをよく立てる。旦那さんも立てていたのだろう。子供のことが大事で自分は二の次であった。繊細でよく気が付き、料理上手で、家も美しく整頓されている。女性らしい、良いところがいっぱいあった。

とっつきは男らしい、潔い、豪快なかんじのひとだった。

私は真逆で、とっつきは女性らしいんだけど、中身はオッサンだ。ただ、擬態に年季が入っているので、とっつきは女性らしい。

歳をとると、擬態できても面倒になってくる。わりと年上相手にはまだ擬態して接しがちなんだけど(普通の主婦ぶる)、歳下にはどーいうかんじで接したらいいのかよくわからなくって戸惑っている。

子供の同級生のママの年齢が、自分よりもたいてい10歳ぐらい若く、へたすると15歳ぐらい下なので、同じスーパーで働いているパートのおばちゃんと大学生のバイト、みたいな関係性になっている。私はよく忘れ物をして、他のママ友に教えてもらって、助けてもらってるかんじだ。なんでも大雑把で、掃除も料理も適当で、しっかりしていない。若い子のほうがしっかりしてる。私は、みんな働きもんで偉いなあって思ってる。

これでも秘書課卒なんですけど。とっつきが擬態してて女性らしいぶん、中身はまったく違うからギャップが激しくてギョッとされる。なにをするにしても、ぞんざいだし大雑把だし。逆に髪をすごく短いベリーショートとかにしたほうが、女性としてのスペックを期待されなくっていいのかもしれない。


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