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仕事の話ふたたび

今日はどうでもいい話をしてる。どうでもいい話がしたいのだ。

私の死んだ親友に、「最近仕事どう?」って訊かれるたんびに、「なんかたいしてよくないけどなぜか仕事は来る」と答えてて、今もそんなかんじで忙しい。たいしてよくもないんだけど、なぜか仕事は来る星回りの人間だ。

父はよく、私に漫画の仕事があるってだけで驚愕している。いまだ女がパートではなく、同じ仕事を専門としてずっと続けているだけで、驚愕クラスなんだろうと思う。親友もそういう認識だったのかもな。そういう年代だったからな、我々。ずっと同じ仕事で、スペシャリストで働いてる女性が珍しいから、珍しがられるんだけど、まったく期待もされてないから気楽でいいんだ。

すごくつらいときもあるけど、つらいなりに生きられて良かったな。いままで。政治や社会の酷さにすごく滅入ったり落ち込んだり怒ったりすることも多いが、そのたびに、勉強せねば、と思う。

とにもかくにも、勉強をせねば。

堕ちないためだ。他に理由なんかない。努力はひとを裏切ることがあるのは知っているが、それでも、いろんな意味で堕ちないために勉強せねばならぬ。

子供は良くも悪しくもあんまり貪欲さが無い子だ。私がおかしいのかと思って、貪欲でないままにしている。好きなことを好きにやらせてるほうだと思う。私の恐怖や焦燥を受け継がせたほうがいけないのではないかと思って。

少女漫画に関わって30年を軽く超える。プロとして25年だ。キャリアだけは長く、業界に知り合いもずいぶん増えた。漫画は恋に似た酩酊感がある。この歳になってもそうだ。いい漫画に出会うと眩暈がするし、胸が熱くなる。

そのたびに、あーまいったな。これほど世の中に絶望しててもなお、たかが創作に胸が熱くなるのか、みたいな気分になる。


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