『脳と気持ちの整理術』築山節・紹介

漫画家はひときわ心と体を壊しやすい職業です。今は日照時間が低いので特に鬱っぽくなりやすいですよね。今日は私の人生でおそらくもっとも役に立った本のご紹介。

アシスタント行くと、長くやってらっしゃる漫画家さんは体のメンテナンスがすごいです。座り仕事が続くので、便秘になりやすいから、便秘改善用メニューのある職場もあります。基本、自炊。若い頃、料理全然しなかったわたくし、アシスタント先ですごい苦労しました。いや、今でも全然料理上手くないんですけど。💦漫画家は毎日座りっぱなし、というものに加えて、最近デジタル作業が加わりました。

パソコンの画面一点を長期間見続けると前頭葉が機能低下するらしいんですよ。我々漫画家やパソコン関係のクリエイター、職業柄、脳の機能低下しやすい。症状見てもらうと多くのひとがドキッとするのではないでしょうか。

・やる気起きない

・段取り考えるのが面倒くさい

・物忘れがとにかく激しい

・思考がまとまらない

そのせいでできないことが増え、できないことが増えると鬱になりやすい。デジタル作業って、すごい脳のメンテナンス、大変なんです。

<対処法>

・ひとまず寝る時間と起きる時間をだいたい同じにすること。

・睡眠時間は7時間前後。

毎日1時間前後散歩

・食事は自炊が基本。規則正しく、間食は控える。

・農薬等、最近TPPなど貿易協定等で大幅規制緩和されているので気を付けて

・生活を多層的にする。※1

・手帳にスケジュールを書く。※2


※1の補足です。ワーキングマザーって、仕事と育児と家事の両立、大変だよね、って言われて、実際そうなのですが、デジタル仕事の場合はこの生活習慣が前頭葉の機能低下を防ぐ役目があるのです。個人差ありますけど。生活が多層化するからです。多層化、というのは、いろんなタスクを同時進行させていくことです。前頭葉が低下してるときは物事の段取りができなくなるので、休むとか温泉行くとか睡眠時間増やすとか、なんらかのケアをする習慣も大事です。

中年になると、家事子育て以外に介護が入ってきてとにかく生活が大変なのですが、脳の面から見ると悪いことではない。独身で家事が必要ないかたは、習い事したりサークル入ったり、積極的にこなさないといけない用事があるといいですよね。わんちゃんと散歩やドックランに行ったりとかも良いかもしれません。自分の都合だけではない生活習慣が、脳には良いのだそうです。育児や介護はこっちが振り回されっぱなしですからねー。

※2は、手帳にスケジュールを書く段階で、段取りをする、という形の前頭葉の訓練だから。前頭葉ってもちろん脳の部分なのですけど、筋肉みたいに使わないとどんどん衰えていくんだそうです。ひたすら段取りをして鍛えていくことで老化を防がないといけない。これがおそろしい話ですが、20代前半でも、筋肉は衰えないけど前頭葉は使わないと衰えるのだそうです。こわ!!!

10数年前、デジタルに移行し始めの頃、この本読んで衝撃を受け、ブログに書き、周囲にさんざん何度も勧めた挙句、買って送り付けて父親に無理やり読ませたりしました。まさに布教活動!みたいなかんじで勧めてます。ごめん。しかしほんと、私の人生で読んでて最も役に立った本。私はオーディオブックで買ったので、時々仕事しながら聞き返してます。私を昔から知ってるひとは「またこの本紹介してるな」って思われるくらいにひとさまに勧めてるんですけど💦

生活整えるようになっただけで、作品が安定しました。その前までは本当に読者さんに申し訳ないほどに不安定で不安定で。生活習慣が不安定で、感情が不安定だったんですよね。今考えると。ただ毎朝同じ時間に起きて夜寝るだけで、三食同じ時間に食べるだけで、ずいぶん違うのですが、若い頃はそれすらも出来なかった。散歩行ったりするのって最初は効果が見えにくいのですが、私はとにかく『作品が安定する』ためだけに毎日散歩をしているかんじです。

人間、ほんとに混乱してると、生活習慣をいきなり変えよう、体に良いことを全部やろうとするとできないから、ひとつだけからやってみて、と築山さんは言うけど、そういうのを教えてくれるひとって、大人になると全然いないので、そういう意味でも良書でした。良いアドバイスをしてくれる、成熟した、まっとうな大人が近くにいてくれるかんじ。脳外科のお医者さんなので、普段そうやって患者さんに言ってるんだろうな、という本です。




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