
やまびこ音楽室ワークショップ「みんなで作る音ワークショップ」
2024年11月16日ワークショップ無事終了しました!
やまびこラボではこれまで、日常の音に焦点を当てた音のワークショップを定期的に行ってきましたが、今回は「山」をテーマに、みんなで音を作るワークショップを開催しました。
「楽譜」は、いわば音楽の地図です。その形やフォームは、時代や作曲家の発想、社会背景に応じて大きく変化してきました。かつては絵画と融合したもの、五線以上や逆に少ない線で書かれたもの、図形や色彩を取り入れた楽譜からいまや動く楽譜や仕掛けが施されたものなど、非常に多様な表現が存在しています。現在私たちが一般的に目にする五線譜は、活版印刷技術の発展とともに定着したように思われていますが、それ以前や現代においても楽譜の形態は一つに収まらず、変化し続けています。それは単に作曲家の意図を伝える手段としての進化に留まらず、楽譜自体が作曲家の想像力を刺激し、新たな音楽を生み出すきっかけにもなっているように思います。作曲家のイメージが楽譜を変え、新たな楽譜の形がまた音楽自体を変えるという、相互作用が存在しています。
私自身も作曲の際、音のイメージやアイデアから形を作り出すこともあれば、無意識に描いた線から新たな音を導き出すこともあります。落書きのように書かれた線や形の中には、深層心理が表れる瞬間があり、それを音や形にすることで、新たな音楽を粘土をこねるように生み出されていく、こういったプロセスには無限の可能性があると感じています。

今回のワークショップでは、山の稜線をテーマに、参加者の皆さんにその形をトレースしてもらい、それを基に即興で音をつける試みを行いました。山の稜線は決して単調ではなく、その日の天気や写真の撮り方によっても全く異なる表情を見せる日常の風景で、私はこれ自体が楽譜のようなものだなと思っています。
「森」がドイツ音楽で重要なテーマであるように、「山」も普遍的な音楽的テーマを感じるもので、例えば音楽を演奏する際、「ここが山の頂点だから盛り上げよう」とか、「ここで静かに降りていこう」といった比喩を使うことがありますが、逆に山の稜線から音を連想したり、線をなぞるうちに身の回りの風景がすべて音に聞こえてくる感覚を得ることもあって、音と日常が感覚の中で結びついていくことで、音楽が鳴っていないとしても、音が存在するような日常を感じることができます。
山も音にしたり、川や太陽や月も楽譜になるとしたら、次回は・・・空もやってみたい! 特に信州で冬の星座を見ながらみんなで音を奏でることができたら面白そうだなと思っていて、ジョン・ケージがやっていることをReenactmentするような夜のワークショップもそのうち開きたいと思っています。
ワークショップにご参加頂いたみなさま、ご協力いただいた出居番丸西のみなさま、一緒の空間を作ってくださっていた対話アートの作品を作ってくださったアーティストのみなさまも、ありがとうございました!どんどん身近なものを音に変換していきますので、またご協力ください~!
次回は、恒例となった「こども(と大人)のためのさっきょくワークショップ」の第四弾です。年末の12月27・28日二日間あり、二日間ともに同じ内容ですので、どちらか空いていましたらぜひご参加ください~。今回は、やまびこラボ松本真結子さんのファシリテートを中心に、信州にゆかりのある若手音楽家の方をコラボレーターにお招きし、お送りします。
生活がもっと音で溢れたらいいという、私のわがままな希望で進めているやまびこラボですが、協力してくださる音楽家や周りの方に支えて頂き、少しずつ活動を行うことが出来ています。ありがとうございます!
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