
2024年にやったこと
2025年になってしまったけど、昨年の活動まとめ。自分のための備忘録。
2024年1月14日
渡邉理恵さん率いるアンサンブルDEHIOのコンサートで取り上げて頂く。
ドイツになかなか帰れないけど、こうやって作品を取り上げて頂く機会が年に一回でもあるのは嬉しい。曲だけでも里帰り。
Friedenkirche, Cologne, Germany
Geschmolzene Heimat (2018-2019)
Ensemble DEHIO (Fl: Evelin Degen, Cl: Kyusang Jeong, Va: Karin Nakayama)
2024年1月23日
(キャビキュリ)韓国人作曲家との交流コンサートで、旧作改訂版を日本初演。ドイツで初演してもらった時に聞けなかったので、私にとってもお初の演奏。日韓若手作曲家の交流を横目に、韓国人作曲家たちとのドイツ語の会話が懐かしかった。同志として帰国後もそれぞれの土地でがんばっている。みんな。


Tokyo,Tiara Koto
Cabinet of Curiosities 2024 Korea × Japan Project
https://note.com/yukikocomposer/n/n801496b01b42
"Die Fehlende Melodie (2021)"
Violoncello: Mano Shimojima
Clarinet: Ryuta Iwase
Saxphone: Noriaki Mori
https://soundcloud.com/yukikowatanabe/die-fehlende-melodie-2021-trio-sax-cl-vc
2024年3月27-28日
はじめ塾での音のワークショップ
家村佳代子さん、永岡大輔さんを介して前から話を聞いていた小田原のはじめ塾。このときは永岡大輔さんの球体の家をテーマにした映像に、音をつける。「一音を作る」をヒントに驚くべき想像力で身体を通した音がたくさん生まれた。はじめ塾の子どもたちのエネルギーがとにかくすごい。


2024年3月
毎年恒例のトンヨン音楽祭。毎年ここに来て、ユン・イサンについて学ぶを繰り返している。尹伊桑記念公園にある記念館に立ち寄って、彼が暮らしていた当時の書斎や本棚を眺める。日本語の書籍も多く、その中に湯浅譲二先生の著作を見つけ、この二人の関係性について、もはや想像するしかないけれども、日韓の作曲家が語り合ったであろう問題について考えたりする。









2024年5月5日
(やまびこラボ)2024年度初のやまびこラボ企画 in 茅野市民館。山の音楽を加藤綾子さんが演奏してくれる。やまびこラボが、自分にとっても(願わくは周りにとっても)いろんなことを試せる場として機能しているのは嬉しい。
2024年5月10日
(キャビキュリ)両国門天ホールキャビキュリ監修コンサート第一弾(チェロ✖️打楽器)。プログラミングしたのに諸事情でかけつけられず。北嶋さん、難波さん、ありがとうございました。

2024年6月22日
(キャビキュリ)両国門天ホールキャビキュリ監修コンサート第二弾 ヴァイオリン✖️ヴィオラ。松岡さん、河村さん、ありがとうございました!


2024年6月30日
愛知県立芸術大学の八坂公洋さんのリサイタルでBogen日本初演。長野から行くなら電車よりむしろ車かと思い、普段避けてきた高速に乗って愛知県芸まで。行きは前乗りで、多少余裕あり、帰りは大雨で、なかなか恐怖。でも東京に行くよりに心的に、山から山にいく感じで気が軽い。



2024年7月3日
(キャビキュリ)両国門天ホールキャビキュリ監修コンサート第三弾 トロンボーン✖️トロンボーン。村田さん、茂木さん、ありがとうございました! キャビキュリ通信も(12月は時間が足りず・・)、また来年度も更新していきます!


2024年7月6日
ピアニストの川村恵里佳さんにMemory and Stain for living room with small piano (2019)を再演して頂く。一回こっきりの曲が多い中で、この曲は各地で再演されて嬉しい。ピアニストの個性が出やすい曲なのでいつか自分でも弾いてみたい。
https://note.com/phidias_trio/n/n34c324a707b9%0A
2024年8月20日
(信州)初の満月会
"Music for Sunset"
https://note.com/yukikocomposer/n/ncd29b0a13318
誰かが決めた時間じゃなくて、もう一度自然の時間感覚を取り戻したいというので、夕日が落ちるときにみんなで演奏する曲というのを書いてみた。音楽がコンサートホールやライブハウスで聞かれるためだけじゃなくて、日常の何気ない時間を感じるためにかかれるとしたらシリーズ。散歩のために聞く曲とか、トイレに入るときに聞く曲とか、カレーを食べるときに聞く曲とか、いろんなバリエーションやりたい。

2024年9月15日
(信州)ダンスの講習会に、トークゲストとして参加。これがとっても面白かった。ダンスを深め、楽しむ人たちとの会話の中で、音楽で培ってきた言葉が伝わることがわかった時に、むしろ私がやりたいのはこういうことなんだなと思った。もう全然音だけじゃないし、「音楽」の枠組みを越えていこうとすることで、誰かと手をつなぐことができる。長野県の筑北村の草湯温泉冠着荘もすごく良かった。いつかここで音楽の講習会もやりたい。
ダンスでいこう!! 2024 in 信州 山あいの振付キャンプ ー創りたいが創るに変わるー
2024年10月18日
桐朋でのアンサンブル・ホリゾンテのワークショップ。
一昨年から授業を持っている桐朋学園大学で、ワークショップを開催。ドイツのデトモルトから、現代音楽アンサンブルをお招きし、拙作や近藤譲先生、そして学生さんの作品試演をする。40を目の前に教職につきはじめたわたしは、新米教師ではあるが、日本、オーストリア、ドイツを含めるとかなり長い間学生の立場でいたこともあり、自称プロ学生だ。それで、こういうワークショップはかなりの数参加してきて、いつか日本でもやってみたいことの一つだった。普段教えている調布校ではなくて、学生時代に大事な時間を過ごした仙川校(姿かたちは全く違うけど)で、学生さんたちと音楽について語り合えるのはとにかく至福。
10月18日にアンサンブルホリゾンテのみなさんにワークショップとミニコンサートにお越しいただきました!
— 桐朋学園 作曲科 公式 (@toho_cao_O) October 20, 2024
作曲科の学生作品を公開合わせしていただき、とても勉強になりました! pic.twitter.com/3VOxvasFi6

21.Oct.2024 Tokyo, Goethe Institut Tokyo
"Geschmolzene Heimat (2018-2019)"
Ensemble Horizonte (Fl: Dante Montoya, Cl: Azusa Katayama, Va: Maria Pache(Viola)


2024年10月24日
(キャビキュリ)長年準備してきた「どーげんをプロデュース」@トーキョーコンサーツラボ。
道元さんは、以前からアンサンブル・ノマドで作品を演奏していただき、その時も映画のことを教えて頂いたり、とても尊敬している音楽家の内の一人。道元さんからおすすめしてもらった(渡辺さんの音楽と共通するところがあると)小田香さんの「セノーテ」は、どうして私の趣味がわかるんだろうと思ったけど、それ以来注目したい映画監督さんになった。
道元さんのために書いた「一音のためのコンポジション」は、一つの音を聞くために書かれた作品で、ドビュッシーの牧神の最初のCシャープの音を色んな別の角度から眺めるような構造になっているんだけど、セノーテの流れるような時間感覚からの影響もあるかもしれない。
"Komposition für einen einzelnen Ton for Solo Flute, Video and Mobilephones"
Dogen Kinowaki (Fl)

2024年10月末
公演と公演の合間を縫って、弾丸バンコクへ。今年一番の収穫かもしれない。バンコクでの体験は、エジプトを訪れたときの衝撃にも近い。人が暖かく、時間が流れる感覚が違う。リサーチの一環として訪れたmoradokmai theaterでの時間は忘れることが出来ない。朝5時から始まる儀式的な子どもたちのトレーニング。暗いところから段々と明るさをまとった舞台には、まどろむような音楽と空間がある。日々自然の中で舞台芸術を学ぶ子どもたちの身体性から学ぶことが山ほどあり、こちらは継続してリサーチをしていきたい。












2024年11月5日
(キャビキュリ)今年最大の二大イベント!キャビキュリフェス第一弾として、古巣ケルンからhand werkを招聘。新作を演奏してもらう。これは、8月に松本の薄川で行った満月会で演奏したものと実は同じ構造で、そこにアンサンブルが加わった形。自分としては、こういったワークショップ形式で作られるような作品、特に不特定多数の人たちが関わって鳴らされるような形の音楽と、所謂コンサートピースとして書かれる作品が別個のものじゃなく、同一のものとして創造することができるようになったことに、ちょっと自分の成長を感じたりした。日々と創造の中に段差が少なくなってきたのは、信州に帰って自然の中で創作しているからなのかもしれない(欧州で作曲しているときは、限られた熟練した技術を持った演奏家のために、技術的な作品をもっと書いていた気がするんだよな)。
Cabinet of Curiosities 2024 New European Ensemble 01
"Unbenannte Zeit"
Performance: hand werk


2024年11月16日
(やまびこラボ)やまびこ音楽室で、ワークショップとライブ@出居番丸西と電線の鳥。ワークショップでは普段自分がやっていることを子供さんとやる。ワークショップだからって特別に子供用のことをするんじゃなくて、自分が本気でやっていることを子供にシェアする。これがやまびこラボでやりたいことでもあり、最近考えている「作曲行為はプロダクトじゃなくて、リサーチである」ということを、実際行動としても示しているつもり。
ライブでは、「水辺を歩く」という映像スコア作品を加藤綾子さんが初演してくれる。これは、身近な川に行ってひたすら水の人を歩く動作を材料にした曲で、子どもたちと一緒に薄川に行った時に作った作品。
以前から人間の歩行に興味があって、足が出るというのは一歩一歩死んで生き返るようなもので、あるいは一歩を踏み出すことが一つの生死のようなものなのだなと思い、それがわたしの思う一つ一つの音の粒の感じ方とも似ていて、いつか歩行の曲を書いてみたいと思っていた。少し特殊なようにも思うけど、私は一音一音を可能な限り先に進むためのものじゃなく、その場限りのものとして演奏したり聞きたいというのがあって、日々の歩行は、たいていどこか行き先はあるものだけど、歩行の本質はそこにはなく、足が振り上がり落ちる、という動作が繰り返されることにあると思っている(結果的にどこかに辿り着くわけだけど、これは副産物だ)。なので歩行はわたしの音楽観をその意味で代弁しているような運動性で、いわゆるこれまでに作られた既存の時間構造を意識的に持たないようにしているのは、それが私じゃない誰かの言葉を知らない内に取り込んでしまうようで、どこか自分の身体じゃないものを接種するような気持ち悪さがあるからだけど、歩くというシンプルな構造から人のもつ時間感覚をもう一度取りだしたいと思っている。長くなってしまったが、とにかく「歩く身体性」は、長いこと興味のあるキーワードである。
この曲では弾く音の材料は指定されていて、それを弾くタイミングは映像内の歩行の速さに合わせることになっている。いろんなバリエーションが考えられて、歩行の映像だけ入れ替えて演奏していくことも可能で、今後は複数人の歩行を採取して、それをリズム化したり、ライブのダンスと組み合わせたりしてみたい。


2024年11月17日
マツモトアートセンターで美術家の横山昌伸さんのイベントに参加。とにかく干物をたくさんいただく。今年後半は、マツモトアートセンターの北澤さんにとてもお世話になった。マツモトアートセンターは美術予備校だけど、それだけの範疇に留まらず、松本市のアートシーンにとって重要な場所だ。横山さんとその後も「木」について盛り上がり、自分の「木」愛を再確認している。
2024年12月3-5日
(キャビキュリ)2024年最大のキャビキュリイベント。スウェーデンよりCurious Chamber Playersを招き、トークとコンサートを行った。2024年の後期はとにかくここに向けて走ってきた。Curious Chamber Playersは私の欧州修行生活の中でもとても重要なアンサンブルで、彼らとの出会いで音楽観も音楽家として生きる人生観も大きく変わった。大好きなアンサンブルの一つであり、こういう本当に質の良いものを日本で紹介できる機会を頂けて、ありがたいことだと思う。
Cabinet of Curiosities 2024 New European Ensemble 02
detail: https://note.com/yukikocomposer/n/n468704045e28?sub_rt=share_pb





2024年12月12日
土橋庸人さんのソロCDに収録してもらう新作を録音。これは来年リリース予定。CD録音が初演というので録音だからこそできる作品をと思い、土橋さんが演奏できて準備できる限りの異なる撥弦楽器をそろえてもらい、ユートピアだけど、それらをごちゃ混ぜにしたような音色を作ってみたいと思った。録音では同じテクスチャーを異なる楽器で弾いてもらったものを多重録音して重ねてもらう。ライブならエレキ四重奏とかでもできて、面白く聞けると思う。



2024年12月22日
マツモトアートセンターで、対話アートの最終イベントに参加。欧州にいた時に、それまでかなり多くイベントオーガナイズのやってきた反動で、とにかく作曲だけをやろうと思って、演奏からは離れていたんだけど、最近になってやっぱり自分自身がパフォーマーであることが大事というか、演奏するのが楽しいとなって、少しずつ自分が演奏する機会を増やしている。12日のトークのあとのパフォーマンスでも、何をやっても良いということだったので、やりたいことをやらせてもらった。こういう場が信州にあることが、本当に嬉しい。
art cafe vol.156 ふりかえるふりかえりふりかえれ
クロストーク 塚田裕×渡辺裕紀子×Atsushi Kobayashi
(Artist Talk and Performance)
2024年12月18日
(キャビキュリ)今年最後のキャビキュリ企画。大好きな作曲家の山田麗子さんをお呼びし、アカデミーを開催。アカデミーも自分としてはずっとやりたかったことの一つで、今までも小さなものは開催してきているけど、今後も機会を見つけてやっていきたい。わたし自身、武生や秋吉台で、とても大きなものを得てきたので、そういう機会をなんとか若い人たちにも作っていきたい。
CABICURI Academy vol.00 ゲスト:山田麗子さん

2024年12月27日・28日
(やまびこラボ)こども(と大人)のためのさっきょくワークショップ第四回@あがたの森。第四回目となり、リピーターの子どもたちも増えてきた。今回は、信州ゆかりの若手演奏家の方々をコラボレーターに、パワーアップ。楽器が多いだけじゃなく、演奏家それぞれ培ってきたものがあって、それらが子どもに反映される。これが循環していけば、地方においても多様な音楽が身近にある未来が作れるんじゃないかと思った。




2024年12月30日
(さっきょく塾)今年初で最後のさっきょく塾。カナダより福田先生が一時帰国するというので、読書会を開催。テーマが、「音楽と障がい」というので、自分としても今一番興味があるところで、英語の文献をみんなで読む機会を作れたことに感謝。
自分の備忘録のために、その中で取り上げた本をまとめておく。
https://academic.oup.com/edited-volume/34496
https://academic.oup.com/edited-volume/34496/chapter-abstract/292712317?redirectedFrom=fulltext

新曲としては5作。今年はなんだかずっと作曲しているような気がしていたのは、作曲以外の時間もずっとワークショップやトークで色んな人と創作について共有していたのもある。曲を書く頻度は欧州にいる時よりは減ったけど、話す機会は年々増えている。
2025年も、とにかく健康に気をつけてやりたいと思ったことを、そのタイミングでやれるようにしたい。
木の話
最後に、今年出会った横山昌伸さんの展示を見て再熱している、長年やりたいと思っている「木」の曲の話。わたしは音楽における時間に興味を持っていて、単に前に進んでいく時間じゃないものを探している。それで「木」のもっている時間というのを一度音楽に置き換えたいと思って、それ以来気になった「木」の写真を撮り続けている。もう少し時間はかかりそうだけど、数年のうちに「木」の曲を書きたい。希望をこめて、とにかく忘れないうちにやりたいことは言っておくのが良いということで。


























2025年も木のように生きていきたいところ。みなさま、よろしくお願いします。
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