ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険ネメアーの獅子退治ーDNAの保護機能

成長したヘラクレス。

兄王エウリュステウスに仕える事になり、兄王から十二の課題を与えられる。

1.ネメアーの獅子退治

ネメアーの獅子は、母はエキドナ、父はその子オルトロスともテューポーンともいわれる。

ヘーラクレースの最初の難行はこのネメアーの獅子を殺して毛皮を持ち帰る事だった。

獅子は刃物を通さない強靭な皮を持っており、矢を撃っても傷一つつかなかった。

ヘーラクレースは棍棒で殴って悶絶させ、洞窟へと追い込んだ。そこで洞窟の入り口を大岩で塞いで逃げられないようにし、三日間の格闘の末に絞め殺した。

さて、ネメアーの獅子が象徴するものを、母エキドナと父テュポーン(オルトロス)と獅子の毛皮から探っていく。

母エキドナはポセイドンとメデューサの間に生まれたクリューサオールを父にもつ。メデューサはエストロゲン、クリューサオールはカルシトニン。つまり、血中カルシウム濃度を低下させる役割をもつ。

エキドナは、細胞膜のカルシウムイオンチャネルと関わる。イオンチャネルは物質を通しにくい生体膜の中にあって、特定のイオンだけを運ぶタンパク質の一種。イオンポンプがエネルギーを使って濃度の薄い側から濃い側に汲み上げるのに対して、チャネルは濃い側から薄い側に流すゲートの役割をする。

父テュポーンはトランスポーターに該当。

父テュポーンは大地母神ガイアとタルタロスとの間の子で、ゼウスに対するガイアの怒りから生まれたとされる。台風の語源ともされるが、おそらくテュポーンの本質は、輸送。故に生体内トランスポーター(ABC輸送体)に相当する。

ABC輸送体

ATPのエネルギーを用いて物質の輸送を行う膜輸送体の一群である。構造的特徴を共有する非常に大きなタンパク質スーパーファミリーをなし、現生のすべての生物に存在する。

エキドナとテュポーン、イオンチャネルとトランスポーターは細胞膜の内外で様々なイオンの出入りを調整する。

こうして生まれたのが地獄の番犬ケルベロス、ゲーリュオンの牧犬オルトロス、ヒュドラーなどの怪物達。

エキドナは息子オルトロスとの間にネメアーの獅子を生む。犬は、嗅覚を象徴する番犬(ゲート)。つまり芳香族アミノ酸(AAA)。

芳香族アミノ酸はトリプトファンやフェニルアラニン、チロシンなど。セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の材料になる。

地獄の番犬ケルベロスの唾からトリカブトが生まれたが、トリカブトはアルカロイドでありアミン(ドーパミンやセロトニン)と近似。

オルトロスは芳香族アミノ酸由来タンパク質によるゲート機能。受容体。

エキドナとオルトロスからネメアーの獅子とスピンクスが生まれる。獅子は、獰猛の象徴であり、厳しい通過規制を意味する。

リン酸脂質二重層。イオンポンプを有し、構造内部の塩濃度やphを調節する。脂溶性物質は通過できるが、それ以外の通過は、様々な仕組みにより規制される。

この脂質二重層にはグリセロール由来のものと、スフィンゴミエリン由来のものがある。

ネメアーの獅子は、グリセロール由来の脂質二重層。その毛皮は、油膜により全てをはじく。

核膜の脂質二重層となり、DNAを保護する役割をもつようになった。




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