音楽日記 8月号

8/1
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Deluxe Edition)』 ザ・ビートルズ 1967
初めてのコンセプトアルバム。正直英語の内容は半分も分からないからピンとはこないが、音楽的にはアラビアンだったりインドっぽかったりと聴いていて楽しかった!
特に最後の「A Day In The Life」の終盤のところはサイケ~な感じもして面白かった。
これがロック初期の音楽というのが驚きだ。なんて完成度なんだ!というかこのビートルズの影響下にあり模倣している節もあるのだから、ある程度完成度の高さを感じるのは当然なのか。もう60年経つがまだ褪せてないと思った。

8/3
『Mahler: Symphony No.1』 グスタフ・マーラー
第四楽章の壮大さ魅せられて聴いた。今の音楽にはないこの巨大さに心惹かれる。
確かに長いしよくわからない。しかし、聴取体験においてはそんなことは気にならない。ただ音に身を任せられる。鳥取の大仙の農場でただただ佇んでいたときのように。私も自然の一部なんだと噛み締めて。

8/4
『Heavy Weather』 ウェザー・リポート 1977
エレクロニックなジャズ。聴きやすいし、ジャズも楽しめる。
彼らもまたマイルスデイビスの影響下であり、メンバーもマイルスのバンドにいたことがあるという。
最後の「Havona」は壮大で、好きな感じだった。

8/4
『All 'N All』 アース・ウィンド&ファイア 1977
「September」が素敵すぎてこの方々のアルバムが聴きたくなった。ジョジョ四部の支倉未起隆のスタンド名でもある。
「Magic Mind」からの流れが最高!おしゃれな曲を作れる人は本当に尊敬する。「Brazilian Rhyme」なんか初めて聴く音楽で何度も聴きたくなる。民族風な雰囲気の中で、感情が流れ出ているかのような旋律はたまらない。

8/5
『andymori』 andymori 2009
1ヶ月前聴いたときは途中で聴くのを止めた。確か「ハッピーエンド」で止めた。なんで止めちゃったんだろうか。パンクに驚いていたのか。いや、パンクがどんなのか知っていたはずだ。ただ止めたかった。
今回聴くと、グッときた。「青い空」も「ハッピーエンド」も「FOLLOW ME」も、本当にボーカルの声が胸に届くようになっていた。この1ヶ月で何があったんだろうか。少しずつ生活での自分の意識がはっきりしてきた気がする。andymoriはきっと自分の意識に自覚的にならないと聴けない音楽なのかも。
「僕が白人だったら」は自分の西洋人コンプレックスに気づきだし、持て余していた自分に新しい視点をくれた。もう、白人になりたいという態度でもいいんだと。

8/6
『燦々』 カネコアヤノ 2019
フォークっぽいけどパンクっぽい。でも哀愁があり、ギュッときた。昨日のandymoriもカネコアヤノも私の個性的な友達が聴いていたため、気になっていた。彼女の嗜好するアーティストは、私個人的にすっと馴染むようなタイプではない。だから一端私自身の感性が広がるのを待たねばならないことが分かった。
このアルバムにより、曇りがちの晴れの気分になった。カネコアヤノさんはオコースティックギターのイメージがあるため、お昼の電気を付けていない部屋の中で、外を眺めている雰囲気もある。そんな彼女の恋や愛の歌を聴くとやはり心にギュッとくる。
コードについて全く分からないが、恐らくここまで心惹かれる理由はコードにあるのではないかと弱推する。

8/7
『We Three [RVG Remaster]』 Roy Haynes 1959
久しぶりのジャズ。前よりジャズに対して距離が近くなった気がする。難しいことを考えずにただ音から快を得ればいい。
私はこのお三方についてほとんど何も知らないが、バランスがいいことは分かる。違和感がない。息ピッタリ。
あとこれは私だけかもしれないが、ジャズに関しては初めはヘッドホンで聴かない方がいい。スピーカーで聴いた方がいい。なぜなら各パートの音の距離がヘッドホンだと少し離れているように感じてしまう。まずはコントラバスもドラムもピアノも他楽器全体の雰囲気を感じられたら、心地がいい。それはヘッドホンよりスピーカーがいい。私の音響環境だとね。

8/8
『盗作』 ヨルシカ 2020
 ヨルシカの2人のラジオを聴き飛んで聴いたアルバム。n-bunaさんが言っていた「ポップスは何にも似てないという唯一性を求めるのではなく、ただ自分が美しいと思えるものを作ればいい」という旨の事を言っており大変気に入った。
 「レプリカント」で神様も作品だという歌詞があった。これはいい発見だ。確かに私からしても神は人間が生み出したものであり、作者は誰かは特定できないが作品といっても間違いないだろう。
 ネット音楽って何か新しい感じがする。色んなジャンルがフュージョンされているからか。ポップスにしてはキラキラというよりギラギラしたものが多い気がする。よくわからない。私はロックあたりが音楽の原風景なのでネット音楽はまだ全然聴けていない。だからまだネット音楽の特徴の言語化は難しい。ネット音楽は音楽の常識から自由に組み合わされたものって感じかな。
(以下は戯れ言)
 音楽にはただメロディーのきれいさやノリの良さとか感覚的快と、精神を象徴する機能があるらしい。ただ、大衆音楽では快のみを重視し、精神性が求められていないことを嘆いている方がいた。私は憤った。そうやって大衆音楽とひとくくりにして全てを聞いていない癖に、ただ自分の聴いている音楽を称賛するためだけに、ある音楽ジャンルを貶める言説が本当に嫌だった。そしてその大衆音楽の精神性を確かに感じられない私自身にも悲しくなった。ああ、もう今までの大衆音楽の価値がかなりすり減ってしまったと思っていた。
 しかし、本日n-bunaさんの美しいものに対する素直な姿勢に惚れた。ただ美しい、聴いていて心地いい音楽でいい。
 てか精神性って何だよ。その国安洋さんの「音楽美学入門」でも、音楽が象徴する精神が何かを説明できていなかったし。精神が言語でありつつ、言語以外を排除する。その排除された言語以外を音楽は象徴するからいわば精神を象徴しているとあったと記憶している。つまり音楽の精神性は言語で語りきれないなんて結論になっており最低な結果になっていた。なんてカッコ悪いんだ。

8/8
『MatsuRhythm vol.1「Earth Beat」』 Gocoo + GoRo 2007
大衆音楽ではなく、和太鼓とブブゼラのようななんというか楽器か分からない民族楽器によるセッションアルバム。2015年のサカナクションのライブで共演していて、気になっていた。
(以下戯れ言)
音楽の語源は確認できるもので古事記が初めてらしい。その語源は「楽」である。もともと神にまつわる歳時でのささげもののようなものだったらしい。この方々の作品もそれに近い印象を受けた。日本の音楽の始原に届く点からも興味があった。
音に集中しているとただ流れる「今」というの存在に気づく。音楽の本質が何かわかった気がする。次々と流れてくる今をある意味可視化してくれるのが音楽だ。文学や美術では作品という外に意識が流れ出てしまう。しかし、音楽では音は私のなかで消えゆき私の中に入ってくる。意識も私の中のままだ。本当か?意識が「今」という外にある存在に向かっているから結局他の芸術と変わりないのでないか?というか、音楽を他の芸術より特別視しようとする意味はなんだ?なんで特別視しようとする?

8/10
『Travelling Without Moving (Remastered)』 ジャミロクワイ 1996
ジャミロクワイ三枚目のメジャーアルバム。イカしたクールなアシッドジャズだったり、民族楽器が取り入れられていたり、バラードだったりと多色なアルバムだった。
ジャズってずるい。おしゃれな感じが必ず感じられるのはずるいなぁって思った。EDMやロックは正直当たり外れが多い。しかし、ジャズはほとんどもうただただおしゃれで聴いていられるのはずるい。

8/12
『Rachmaninov Variations』 セルゲイ・ラフマニノフ
「パガニーニの主題による狂詩曲」のみ聴体験。一分にも満たない短いトラックが二十数曲ある作品。
18作目が最も有名であろう。ラフマニノフが悪魔に魂を売った代わりに超絶技巧を手に入れたと噂されていたパガニーニに思いを馳せて作ったとされる。必死に悪魔に魂を売ることで得られる狂気と超絶技巧を表現しようとしているのが伺える。
感覚的快にとらわれすぎないように聴くとはどういうことかを知りたくてクラシックを聴いている。

8/12
『Legalize It』 Peter Tosh 1976
ボブマーリーの『Exodus』以来2枚目のレゲエ。ウッタンウッタンというリズムが気持ちがいい。このリズムであればどんなメロディーでも聴き応えのあるものになる説を推したい。以前の関ジャムで音楽のジャンルはリズムで決まると言っていたが、その意味がだんだん分かってきた。
私にとってレゲエやボサノバは未知のジャンルだ。正直「皆同じに聞こえる」。しかし、これは当たり前である。初めて触れた芸術ジャンルは、関わった時間が少ないのだから自分の中で消化されていない。もちろんそれぞれの作品の分類や違いに気づいていることもほぼないだろう。
ここで言えることはよくある「○○の音楽は皆同じに聞こえる」という批評の妥当性に欠けてしまっているケースが多いことだ。そう判断した理由が十分に批評できるようになる程の数を聴いていないかもしれないのだ。確かに人によっては「私は本当に○○の音楽は三年間聞き続けた。しかし本当に全て同じようでありコピペの繰り返しだ」ということもあるだろう。だが、批評している人がみんながみんなそうではないのではないだろうか。私はコピペだと批評する人の中にその音楽を十分に聴いている人をあまり見たことがない気がする(これは本当に感覚的なものであり、正直データなんてものはない。だからそこまで強く主張できない)。そのことから、私がそのような批評を聞いたときに一番に気にすべきことは、その批評の人は対象の音楽にどれだけ触れたことがあるかどうかを聞き出すことだ。

8/13
『Out of the Blue』 エレクトリック・ライト・オーケストラ 1977
70年代に世界的ヒットを連発したバンド、ELO。ロックとシンフォニアを融合させたそのサウンドに大変興味があった。
このアルバムで私の音楽における嗜好が分かった。ウォールオブサウンドと言われるその音の厚みが厚い方が好きなんだ。次から次へとドラムやギダーの迫力ある音が迫りきて、かつストリングスで優雅さも忘れない。おいしいところ取りである。

8/14
『Radio-Activity (2009 Remaster)』 クラフトワーク 1975
テクノが面白い。もともとEDMが好きで、EDMこそが私の洋楽の入り口だった。そのEDMの始原であるテクノに興味を持つのは当然の帰結である。電子音楽は私を虜にする。
クラフトワークは今のテクノと違い、幻想的であり、情緒を大切にしているように感じる。電子音楽だからといって無機質さはないのだ。「Ohm Sweet Ohm」がいい例だ。この曲が最も好きである。
電子音楽は西洋文化における西洋音楽の一つの最終着地点であろう。それは西洋が産んだ科学技術が産んだ音楽が電子音楽だからだ。今だからこそ味わえるこの科学の音、人類の英知を感じさせてくれる音楽なのだ。そのような音楽を21世紀に生きる私が聴かずに死んだら、天国で20世紀前半で亡くなった方々にもったいないと言われてしまう。現代を生きる私は幸福である。

8/15
『Please Please Me (Remastered)』 ザ・ビートルズ 1963
私はビートルズに関して、『1』の超有名なシングル曲と『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Deluxe Edition)』しか聴いたことがなく、ここでいざ永遠に音楽シーンを変えてしまったバンドの作品を少しずつ振り返ろうと考えた。
デビュー曲が「Love Me Do」とは恐れ入った。ビートルズは簡単な英語歌詞であるから、歌詞を読みながら聴いても楽しめる。そういうところでもお気に入りである。

8/16
『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars (2012 Remaster)』 デヴィッド・ボウイ 1972
本当に名盤だった。感動的な曲ばかりだ。音楽が生きている。演奏でも歌に負けず、しっかりと生きている。デヴィッドボウイ恐るべし。これが72年か。ロックの成長ぶりには驚かされる。「Moonage Daydream」が一番好きだ。
最近70年代の洋ロックに惹かれているな。ELO、chicago、クラフトワークなと。本当に当時のロックが多様化して、今の音楽の原形ができているのが伝わる。たまらない。

8/16
『1』 ドレスコーズ 2014
友人がおすすめしてくれた一枚。元々その友人におすすめされた「Lily」を気に入ったことを伝えたことからこのアルバムの話になった。
このドレスコーズのボーカルさん1人の心の内が色んな音楽を通して吐露されているような作品だった。今の邦楽音楽シーンの歌詞では物語世界を作り、その世界の主人公に共感したり、その物語を通して作詞者に想いを馳せたりする印象があると思った。もしかしたらこの流れは日本の文化かもしれない。
このアルバムのように人の心情を直接観ることができるのは少し貴重な気がした。

8/17
『With The Beatles (Remastered)』 ザ・ビートルズ 1963
そこまでいい!とはならなかった。初期よりもリボルバーとかの方が好きなのかもしれない。まだきいていないから何ともいえない。
シンプル。やはりビートルズといえど初期は凡庸。というより、これはこれで当時は斬新で、そこから皆がこぞって真似して現代ではもう磨耗しきっているからかもしれない。

8/19
『A Hard Day's Night (Remastered)』 ザ・ビートルズ 1964
ビートルズ三枚目。これはいい。やけに明るすぎず、曲調が同じならないようにしている意図を感じた。「If I Fell」もいい。「I'm Happy Just To Dance With You」なんて素朴な恋の歌で、ちょうどいい温度感だ。

8/20
『Beatles For Sale (Remastered)』 ザ・ビートルズ 1964
ビートルズ四枚目。より内容が詩的になっているし、少し失恋のような描写が増えた印象を受ける。詩的だと思ったのは「Mr. Moonlight」の月光が私に彼女を連れてきたというところ。ビートルズのいいところ、というより60年以前の英語詞は読みとりやすくてこれはこれで面白い。英語に本当に触れるコトができる。

8/22
『SUPERMAN』 水曜日のカンパネラ 2017
作曲者のケンモチヒデフミはすごい。本当に色んな音楽を聴いてきたんだと分かる。ワールド感もある。これはすごい。名盤だ。はいお気に入り。
水カンは子どもと聴くともっとさらに楽しそう。踊りたい。
私と電子音楽の親和性は高い。もっとも好きなジャンルは何かと聞かれたら、場合によってはロックを超える。この単純な繰り返しの中に色んな工夫がちりばめられたり、ドロップの良さを存分に味わえたりして本当に聴いていて楽しい。まじでいい。電子音楽。

8/26
『Hunky Dory (2015 Remaster)』 デヴィッド・ボウイ 1971
デヴィッドボウイは本当に幅が広い。今はまだグラムロックのころのアルバムしか聴いていないが、今後、クラウトロックへの接近が楽しみだ。
ジャズやカウボーイっぽいカントリーなど、本当に面白い。刺激になる。70年代のアルバムは比較的ピッタリはまるわ。損しない。

8/31
『大人』 東京事変 2005
浮雲さんのギターを聴きたくて聴いてみた。本当にメンバー全員レベルが高い。自由にかっこよく弾いているのに全体のバランスが崩れていないのがすごい。曲調自体もユニークで椎名さんが色んな音楽を聴いてきたことも感じられる。なるほど、これは名盤と言いたくなる。

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