見出し画像

栗を食べる

工房構成員の甲斐凡子が「親方の栗の菓子を食わせろ」と言って、自分で国産栗を買って来たので栗の菓子をつくりました。

今年は、シンプルに「栗きんとん」です。

栗を、味噌汁ぐらいの濃度の塩を入れたお湯で40〜50分ほど茹で、そのまま室温ぐらいまで冷ましてから半分に切り、スプーンで中身を取り出します。この際「火が通った」程度ではなく「しっかり茹でる」事が大切です。

取り出した身を荒く潰してから、鍋に入れ、砂糖(砂糖の種類はお好みで)と水を入れて適度な固さにし、火にかけ、粘りが出ないようにサックリと混ぜつつ、味を馴染ませます。

岐阜の名物の栗きんとんのようなモソモソした感じも美味しいのですが、私はもう少し水分があるものが好きなので、口の中で丁度良くほどけるぐらいにします。

画像1

とりあえず、茶巾絞りにしてみました。

これは、上記のように、ただ栗を塩茹でし、中身を取り出し、砂糖で程よく甘くし、水で濃度を調整しただけのものですが、和栗特有の香りが強く、大変おいしゅうございました。5日ぐらい、冷蔵庫保存で全く劣化がありませんでした。

調理の流れのそれぞれのポイントを適切に丁寧にし、余計な事をしないのが一番美味しいですね。私はそういう料理が好みです。

画像2

こちらは「栗きんとん+自家製ミルクジェラート+自家製メレンゲ」です。

画像3

画像をUPにしてみました。

ミルクジェラートは「37%生クリーム+牛乳+砂糖」のみのシンプルなものです。

メレンゲは、あえて少し色をつけてキャラメルっぽい香りを添えてあります。

栗をそのまま食べるよりも栗らしい栗きんとんはもちっとして、ジェラートは口中で溶け、メレンゲはサクサクと・・・食感と香りのコントラストが楽しい味わいです。

こちらも大変おいしゅうございました。

* * * * * * * * * * 

これは数年前につくった「フォリア風モンブラン」

画像4

工房構成員の甲斐凡子に「親方スタイルのモンブランを食わせろやぁ」と言われて作ったものです。

中身はこんな感じ。

画像5

モンブランは、数年前から日本の洋菓子業界で流行っていますね。

いろいろなスタイルがありますが、じゃあ「オレ流」ではどうするか、といろいろ考えまして、このスタイルになりました。

栗のモンブランの構成要素で、自分の好みで外せないもののみで構築し、提供方法もオレ流で、となり「日本的でありながら、味わいは完全に洋菓子なもの」にする事にしました。

栗は、フランスの栗の缶詰を使い、クリーム、バター、砂糖などで味を調整しました。

湿らせた布巾に、上記の栗ペーストを広げ、自家製のサクサクメレンゲと、ホイップクリームとカスタードクリームを包み、茶巾絞りにしたものを、キャラメルビスケットを荒く砕き、溶かしバターでサックリ和えたものの上に乗せました。

構造的には、クリームなどで味を調整したフランス栗の濃厚な味わいと、食感を軽くするためのホイップクリーム、少し味にボディを出すためのカスタードクリーム、全体がモッタリしているのを打ち破るようなサクサクのメレンゲ、さらにキャラメルとシナモン風味のビスケットを砕いたザクザクした食感と濃厚な味わいで、風味と食感のコントラストを出し、退屈しない味わいに。

それを、日本的な茶巾絞りで提供、という風にしました。下に敷いた砕いたキャラメルビスケットが、なんとなく、栗の座の部分を連想します(栗鬼皮のザラザラの部分)

* * * * * * * * * * 

私は、何故か栗を料理にはあまり使いません。

鴨と栗を合わせたりすると、いかにも秋な感じがします。それは観念的には嬉しいですが、味の増幅は起こらないなあ、という事で・・・

栗ご飯も、栗を秋の新米と一緒に炊くと、せっかくの新米のツヤツヤ感が、栗のデンプンのザラザラで失われてしまうし、特に美味しいと思わないので作りません。栗ご飯ではなく「栗おこわ」なら個人的にはアリですが、私はあまり「米+炭水化物」で炊き込みご飯を作らないです。

栗とご飯を合わせるなら、ご飯は普通に炊き、そこに酒塩(酒に海水程度の塩を入れたもの)を振って僅かに塩味を付けたところに、僅かに甘く炊いた栗をサックリ混ぜる、という風に作ります。さつまいもでも同。

栗の天ぷら・・・少し厚めの衣にして、生の栗を剥き身にした物を(渋皮も剥く)じっくりと揚げて栗の香りと食感と味を引き出したものは好きです。

キリが無くなって来たのでこの辺で終わります。m(_ _)m


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?