見出し画像

焼きイチヂクのマルサラワイン煮

先日noteに載せました、たまに出張シェフなんかもします という記事に出てくるデザートの作り方です。

これは私が若い頃師事していたイタリア料理のシェフが作っていたものをアレンジしたものです。

今回は、以前noteの記事に載せたものと少し作り方を変えましたが、大枠は同じです。

用意するもの

1)イチジク(お好きな個数)
2)水
3)マルサラワイン(ドライでもドルチェでも)
4)グラニュー糖(砂糖は好みのもので可)

以上です。

作り方

1)オーブンの天板に、イチジクを並べ、底から1cmぐらい水を入れる

2)180度のオーブンで、20分毎に焼き汁をかけつつ計90〜120分程度焼く。水が減った分、水を足しながら焼く

3)イチジクが、ボッテリとした感じにしっかり焼けたら、焼き汁と共に鍋に移し、ひたひたより少し上ぐらいのマルサラワインを注ぎ、好みの量のグラニュー糖とほんの僅かな塩を入れ、20分程度、煮汁をかけながら中火で煮る

4)イチヂクが煮汁を吸って膨らんだ感じになり、全体が馴染んだら煮汁のまま冷ます

5)イチジクの上から下に向かって、熟れた桃の皮を剥くような感じで手で皮を剥く

6)保存用の器に移し、冷蔵庫で丸一日以上馴染ませる

以上です。

画像1

まずは、丸のままのイチヂクの茎の部分を切り、皮のままオーブンの天板に並べ、水を1cmほど張り、180度のオーブンに入れます。

20分毎に様子を観て、その際に下に溜まった焼き汁をイチジクにかけます。途中で、上下をひっくり返します。

30〜40分ぐらいで、イチジクを蒸し焼きにした際に出る独特の良い香りがしてきます。焼き汁も、良い香りで美味しいものが出てきます。これが重要ですので大切に扱います。

あまり水が多いと香ばしさが出ないので、20分で天板の水の少ない部分がイチジクの焼き汁で少しキャラメル化するような感じで進めます。キャラメル化した部分は焼き汁で擦り落とし、焼き汁に混ぜます。キャラメル状にはしますが、絶対に焦がさないようにします。

画像2

上写真は、180度のオーブンで、焼き汁をかけながら焼く+キャラメル化した焼き汁をこそげつつ120分蒸し焼きにしてから鍋に移したものです。これぐらい、しっかりと焼きます。大事な美味しい焼き汁も一緒にします。

これはおしりの部分が上になっているので、なんだか焼きりんごみたいですね。

鍋の大きさは、丁度イチジクがひと並べでいっぱいになるぐらいの大きさが良いです。(これは21cmの雪平鍋)鍋が小さく、イチヂクが重なるのは良くありません。鍋が大きすぎるのも良くありません。

画像3

ここに、マルサラワインを、ひたひたよりも少し多めに注ぎます。グラニュー糖と、ひとつまみの塩を入れ、火にかけ、沸いたら中火〜中弱火ぐらいで20分程度煮ます。途中で味見をし、好みの甘さにします。

(マルサラワインのドライを使うか、ドルチェを使うかで砂糖の使用量が変わりますので、味見をして好みの甘さにして下さい)

画像7

上写真のような感じに、全体が膨らんでボッテリとし、煮汁が焼きイチヂクに入った感じになったら、火からおろして冷まします。

画像4

冷えてから皮を剥きます。イチヂクの上から、下に向かって熟れた桃の皮を手で剥く要領で剥きます。イチヂクのおしりの部分に皮が残りやすいので、最初におしりの部分を包丁で削ってから剥いても良いです。

上写真は、タッパーに、皮を剥いた焼きイチヂクと「焼き汁+マルサラワイン(ドルチェ)+グラニュー糖+極わずかの塩」の煮汁を入れた状態です。

焼きイチヂクの上にラップをピッタリと張り、全体に煮汁が回るようにしてからタッパーの蓋を閉め、冷蔵庫で1〜2日馴染ませます。

画像6

これで「焼きイチヂクのマルサラワイン煮」は出来上がりです。

上写真は、出来上がりを割ってみたものです。

これは、デザートとしても、料理の添え物としても使えます。

冷たいまま食べても美味しいですし、温めても良いです。

何かのタルトやケーキ類に添えても良いです。

料理の添え物として、例えば鴨や鹿の肉など、少し野趣のある肉と合わせても美味しいです。プロシュットなどの生ハムの柔らかい部位に添えても大変美味しいです。

ただ「仕上がった完成された菓子」ではなく「料理寄りの仕上がり」なので、チョコレートなどと合わせるのには弱いと思います。

画像5

上写真は冷やした「焼きイチヂクのマルサラワイン煮」に、自家製ミルクジェラートを添えたものです。ミルクジェラートはシンプルに「牛乳+37%生クリーム+グラニュー糖」のみで作ったものです。

イチヂクは、なんというか独特の魅力・・・色気のある風味・食感がありますので、大人の味わいですね。大変おいしゅうございました。

* * * * * * * * * * 

今回はコンポートのようには甘くせず仕上げ、焼きイチジクの味わいそのものを主体にしています。といってもこの手のものは、あまり甘みを控えても美味しくないのでそれなりに甘くします。保存性の事を考えても、あまり砂糖を控え過ぎないようにします。

今回、初めてマルサラワインで煮てみましたが、イチヂクを焼いた時に出る魅力的な香りを全く邪魔せず、大変良い結果になりました。煮汁の色味は渋めになりますが「焼きイチジク自体の味わいを余すことなく味わいたい」なら、マルサラワインをオススメいたします。ただ、イチヂク独自の土臭さ、青臭さは僅かに残りますので(それは魅力でもありますが)イチヂクが好きな人に向く方法かも知れません。

土臭さ、青臭さを抑える場合は、

使う酒を
*ポートワイン(ルビー)
*クレーム・ド・カシス


にすると、焼きイチヂクの風味を邪魔せず、土臭さと青臭さを抑えられます。酒そのものが持つ華やかでフルーティな香りも付き、煮汁もマゼンダ色のキレイなものになります。それぞれ酒が甘い分、使用する砂糖の量を調整して下さい。

ただし、デザートには良いですが、料理の添え物としては使いにくくなります。

* * * * * * * * * * 

作るのに少し手間がかかりますが、デザートとしても、料理の添え物としても使いやすく、そして「イチヂクがこんな風味になるのは知らなかった」と思っていただけるものだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?