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それは日々の積み重ねではないかと・・・

前回に続けて、ちょっと笑える仕事関係のネタです。

日々、制作し、販売する家業を長年続けていると、面白い事が沢山あります。

例えば・・・

有名、無名に関わらず、いわゆる職人系の立ち位置で商売している人たちと、私が展示会で一緒になり、お店の方や営業の人たちと食事に・・・なんてなって、お酒が入ると

「なんだか、にへーさんは(←私のこと)業界人やお客さんからも“親方”とか言われて、なんかちょっと別物みたいな感じに扱われているのって、何なんですかねぇ?やっぱ作家ってヤツなんですかぁ?オレはそんな風に扱われてないぞ!オレは職人だからかぁ?なんでだぁ!にへーだってやってる事は同じようなもんだろ?カッコつけやがって!」

特に代々やっているところの跡取りの職人さんの場合は、なんでオマエみたいなどこの馬の骨とも分からんヤツが、サラブレッドであるオレよりも尊重されて、オレが下に扱われるのかが分からん!という感じで、私に対して尊大な態度を取る人もいます。

・・・まあ、そんな感じに絡まれる事が、困った事に割と頻繁にあるのですが・・・なんだか面白いでしょう?

もちろん、私自身は、私は作家だけど、君達は職人だからね、なんて下に観た態度を取る事はありません。周りの人たちの態度の違いに彼らは不満なのです。でもそこでお客さまや業者さんに絡むわけには行かないので、絡まれるのは私ですけどね。私は何もしていないのに。実にめんどうくさい(笑)

そもそも、私はどちらかというと製造業みたいな立ち位置だと自分では思っているのですが・・・便宜上、展示会の方式によっては染色作家とか、絵画展などだとアーティストという事になりますが、元々、創作性と職人技術は分離出来ないですしね。私はあまりそういう事を気にしないのです。人間は何か産み出しつつ生きそして死ぬのだよ。

そういう人たちは、普段「オレは職人だから。作家とかそういうのとオレは違うから!(技術も無いのに自称作家を名乗るチャラいヤツらとオレは違うから。オレはガチの職人だから!)」と主張しているから、誇り高き職人さんなのかと思っていたのですが、実際にはそうではない場合もあるようで・・・あ、私は独立した当初から技術的に下手と言われた事はないですけどね。(一応言っておく、笑)

しかも、ウチの女性スタッフがその場にいる時には、彼らは酔ってもそういう姿は見せないんですよね。一応、そういう事を言うのは恥ずかしいと思うのでしょうか・・・そういうの、ダサくないですかー?と思いますわー。

もちろん、一流の職人さんはそんな事を言いません。そのような尊重されている職人さんたちは、立ち居振る舞いや言葉遣いがエレガントで、語る言葉も自分の仕事だけの事だけでなく、周辺の文化も含めて語ります。ようするに教養があるのです。「そういう人たちは普段からやるべき事をやっているから尊重される」のです。作家とか職人とかそういう問題ではないのです。

今どき、言葉遣いが汚かったり、飲食の様子が汚なかったり、動きが猫背でセコセコしていたり、内輪ウケの話題に終始し、部下を罵倒し、怒鳴るような職人はお呼びじゃないのです。昔は「だからこそ職人らしいとされた人」が、現代では逆に疎ましがられてしまうのです。時代は変わりました。

何にしても・・・自分が社会から望むような扱いを受けていない・・・それは他人のせいではなく、自分の行動のせい、という単純な話ではないでしょうか。

「自分の今までのいろいろなふるまい、そして現状の自分のふるまいが結果になって表れているだけ」

なんですよ。

もちろん、その場によって自分の扱われ方は変わりますけどね。

私は業界の野良なので今まで散々酷い扱いをされて来ました。今でもそういう事が多々あります。私はそういう不満を言う職人さんたちよりもずっと酷い扱いをされて来ました。全く認定も無く、美大も行っていないし、修行もほぼない、所属もない、受賞歴もない、のですから。だからといってそれに染まって卑屈になる事がなかった、という事です。

私に絡む職人さんたちは、ちゃんと「〇〇認定技術者」とか「伝統工芸士」などの認定を受けているのですから、素晴らしいじゃないですか。私よりもずっと社会での地位が高いです。・・・だから何も無い私に絡むのでしょうけども。笑

そもそも、酔っ払ってそういうクダを巻く時点で、もう周りは引いているわけで・・・益々尊重されなくなりますし・・・結局、その不満は自分が撒いた種が発芽しちゃって、その芽に文句を言っているという事なんですけどね。

本当に普段の心がけが大切で、普段の言葉遣いや、現代だと、SNSなどのネット上の言葉遣いなども大切ですし、その内容も大切です・・・

例えば、ネット上に何かの問題点への勇気を持った指摘ではなく、他人を貶す事や非文化的な事を汚い言葉遣いで書き続けたりすると、どんなに本人と直接会った時に腰が低く丁寧だとしても・・・また、実際に会った時の会話が、業界のゴシップネタや、ワイドショー的な話題や、下ネタばかりだったら「オレはこう見えても腕は良いし、経験も知識もあるし、代々やっているから資産もあるし、仕事はちゃんとしているんだぞ」と本人は思っていても・・・尊重されないのは仕方がないのです。

だから逆にSNSが向いていないな、と思ったらSNSはスタッフに任せるか、個人の意見の表明はせず、仕事の情報だけ発信するようにした方が良い・・・のですが、しかし、向いてない人は、自分が向いていない事が判断出来ないから向いていないわけで、どんどん自分の立場を悪い方へ追いやって行きます。

かといって、私がSNSやネットでの活動が得意なわけではないのですが、しかし私はネット時代になってから20年以上、特別読む人が多いわけでもないけども自分が日々学習し実行している、自分が信じる文化や創作のこと、そしてその実証としての作品と、その画像・・・を積み重ね、形にし続けています。

ネット上に書く記事の言葉遣いも気軽だけども乱暴にはならないようにして、書く内容がむづかしいものであっても、極力、平易な言葉で専門用語を使わず書ききるようにしています。

・・・もちろん、別にネットをやらなくても日常の自分の態度、仕事への姿勢、語る内容がキチンとしていれば良いわけです。それだけです。

私は、売り場に立っている時も、悪い意味での職人独自の「知ったかぶった態度・思わせぶりな態度・経験豊富ぶった態度・同業者同士/詳しい人同士の楽屋ウケ的な話題」は避けます。

現代の作り手独自の視点で、現代の使い手の方々に分かりやすく解説する事に常に努力していてますし、そのようなシュミレーションは常にしています。だから、トークショーなどを企画されても、原稿を用意する事が無いぐらいです。質問形式にしていただき、その質問をあらかじめ把握していれば、一時間は楽にお話出来ます(逆に止まらない、笑)

元々、こちらのサイトやSNSを読んで下さっている方々が私の作品を観にいらしたり、逆に作品が気に入って、それから私の意見を読んでいただける場合もありますから、元々お客さまとの双方向でのやり取りがあるわけですね。そういう仕組をつくってあるわけです。

私が上記のような事を四半世紀(サイトを持つようになってからは20年)毎日して得たものを、それをしていない人が同じ扱いをしろ、と主張するのは違うのではないかな、という感想を私は持ってしまいますね・・・

私がもし、その手の職人さんがやっている仕事に中途半端な知識でケチをつけたら「アイツは酷く傲慢なヤツだ!」と気分を害するでしょう。彼らはそれだけの努力をしたし実績もあるからです。まして酔にまかせてそんな発言をしたら、私を情けないヤツだと思うでしょう。そんな事、私はしませんが・・・

しかし、彼らは、私にそれをするわけです。

私が、独立してから長年、毎日毎日積み重ねた努力や実行や結果を観る事なく、観たとしても理解しようとせず「なんでアイツごときがオレよりも丁寧な扱いを受けるんだ、おかしい!」と言うわけですからね。

それはないだろ〜、と私の方は思いますが。

で、彼らは自らカッコ悪い事をしているのに、こちらを「カッコつけやがって!(ムカつく!いつか化けの皮を剥がしてやる!)」という風に絡んで来るんですよねえ。(この記事の話題にあるように)

変な人たちだなあと思うのです。

面白いですよね。


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