見出し画像

「仕事が合わない」を繰り返すときに試したいこと〜印象とキャリアと3の魔法〜

お互いの正しさのぶつかり合いは大きなストレス

「仕事を、手取り足取り教えてくださいなんて、甘い!」

年齢の近い仕事仲間でお茶した時、
こんな話になりました。

手取り足取り、一から十まで丁寧に教えてくれるのは最初だけで、
その後は、起こったこと一つ一つを自分で考えて、
教えてもらったことを応用しながら、
先輩のやり方を真似したり、自分で資料を購入して勉強したりして、
必死でついていったもの。

今は昔、の思い出話です。

(もちろん、環境によります)


キャリアの相談の中では、
「パワハラ」という言葉を聞くことがあります。

もちろん、耳を疑うような酷い状況のお話もありますが、
一般的な「指導」(例えば、遅刻しないように、など)
にあたるようなお話もあり、

出来事の捉え方の差を感じたりすることもしばしばです。


パワハラか?指導か?

それを判じるには、その道の専門家の力が必要だと思いますので
ここでは触れませんが、

そこまででなくても、

日常的に、お互いの正しさがぶつかり合いこじれて
大きなストレスを抱える
ような状況は、

できれば回避したいものです。


もし、

こうした状況を回避するとしたら、どんな方法があるでしょう?



合わないなら離れる、という選択肢と、別の新しい選択肢

一つは、

合わないなら離れる、という選択肢です。

転職、という方法もありますし、
異動、という方法もあります。

我慢して、体を壊してしまうより、
よほどよい選択だと、私は思っています。

ただ。

この選択には、一つ落とし穴があります。

それは、
同じことを繰り返す可能性がある、ということ。


感情のままに離れても、
離れたその先で、また同じようなことに巻き込まれてしまって、

解決にならない場合って、結構多いんです。


そこで、ひとつ、新しい選択肢をご紹介。


それは、

「理解する」です。


何を理解するかというと、

自分のことや相手のこと、
環境(会社の風土やルールなど)のこと、などです。


…と、こう言うと、まるで

「すべてを受け入れろ」と言われているように
感じるかもしれませんが、

違います。


まずは、「理解する」だけ

知るだけ。

「受け入れる」かどうかは、その後選べばいいのです。



「理解する」とは、それぞれの型を知ること

仕事に限りませんが、

出来事の受け止め方や考え方は、人によって違います。

キャリア相談の現場にいて思うのは、

100人いれば、100通りの捉え方があり、
似たような捉え方をしていても、
その後に起こる結果は、それぞれ違う形をとるということです。


この捉え方のことを、
心理の専門用語では「認知」と呼んだりしますが、

これは、

持って生まれた特性や、育ってきた環境、
小さい頃に親や先生から言われたことや、
過去の成功体験などの様々な要因が絡み合って、

そののようなものがつくられていきます。


冒頭の

「仕事を、手取り足取り教えてくださいなんて、甘い!」

は、仕事というものをどう認知しているか、
そのがわかりやすくあらわれている一例ですね。


周りが、同じような型を持った人ばかりなら、
そう大きな問題にはなりません。

なぜなら、捉え方に大きなズレがなく、
自分はこれでいいんだという安心感があるからでしょう。


しかし、例えばここに、

「仕事というのは、手取り足取り一から十まで全部教えるべきもの」

という違う型を持った人がやってきたとしたら、どうでしょう?


状況がガラリと変わります。

自分はこれでいいんだ、という安心感が
お互いに揺らぐんです。

安心の環境が脅かされるんですね。

そしてそれが、

自分の存在を脅かすほどの脅威だと感じれば、
そこに、不安と怖さが生まれ、

大きく感情を揺さぶられたり、怒りが湧いてきたり、
逆に、自分に自信を無くしてしまったりします。


「理解する」ことをおすすめするのは、

この不安や怖さによって、
感情的で衝動的な行動をひきおこさないように

そして、

自分の信頼に傷をつけたり、自己嫌悪に陥ったりしないように
したいからです。


でも、どうやって「理解」すればいいんでしょう?


相手環境のことを「理解」するには、
その相手や、
その環境を知っている人と話し合う
ことが一番です。


もし、

合わないと感じている人や場について話すのは、
なかなか難しいとなれば、

まずは

自分を「理解する」ことからはじめていきます。



カチン!ときたら、自分を「理解する」絶好の機会

いろんな方法がありますが、
一番わかりやすいのは、

イラっときたり、むかっときたり、
逆にむちゃくちゃ嬉しくなったり、といった
感情が大きく動いた時に、

「今、私に何が起きた?」

と立ち止まって考えてみることです。


お互いの捉え方が合わない状況には、

ものすごく深刻に思える状況と、
笑って済ませられる状況があります。

例えば、

上司や先輩と考え方が合わないと思っても、

「それって、ジェネレーションギャップだよねー、
 あははー」

と、それほど大きく感情が動かないこと、ありますよね。


なぜ、そこまで大きく感情が動かないかといえば、
そこに、自分を脅かすものはないから。

言い換えれば、

まあ許容の範囲だし、どっちでもいい

ということです。


でも、もし、

カチン!ときたら。


チャンスです!

「なんだなんだ?私に今、何が起きた?」

と、ちょっと振り返ってみます。

その時ぜひ使ってみたいのが、
「3つの視点」のうちの、「事実」「現実」「想像」です。


これ、実際にやると、
「うそーん…」と思うようなことが見つかったりします。



自分本位な思いに顔から火が出るかもしれないけれど

例えば、私の話になりますが…。


会社員時代、突然、

「あなた、異動ね」

と言われて、カチンときたことがありました。

仕事がようやく楽しくなってきた頃でしたから、
ものすごくショックで、涙が出るくらいイヤだったんです。


あの時、私の中には、こんな思いが渦巻いていました。

・私は、このチームにはいらない存在ってこと?
・こんなに頑張っているのに、認めてくれないの?
・それとも、嫌がらせ?
などなど…。

(さらっと書いていますが、本心は、穴があったら入りたいです…)


これを「事実」「現実」「想像」に分けてみると、
こうなります。

事実:異動が決まった。
現実:これはショックな出来事だ
想像:私はこのチームにはいらない?認められていない?嫌がらせ?

…この想像。
異動という「事実」から、よくぞここまで飛躍したものです(苦笑)


でも、気づきたいのはこれ!
この「想像」の部分です。

これが感情を大きく揺さぶるきっかけで、
感情的にぶつかり合う根本の一つ
なんですね。


なぜここまで飛躍できたかをさらに追いかけてみると、

そこには、

認めて欲しい、必要とされたい

なんて思いがありました。(ほんと、顔から火が出る…)


なんて自分本位な!けしからん!


って、思うでしょ?


でも、問題はそこじゃないんです。



何を思ってもいい。問題はそれをどう「表現」するか

いいんです。自分本位でも。

そもそも、

こういう承認欲求は、誰もが持っていますし、
人間の基本的欲求でもあります。

それ自体は自然なことです。


問題は、

その自分本位さに気づかずに、
すぐに感情的になって喧嘩するような行動に出てしまう
こと。

その表現が問題なんですね。


同じことにを繰り返してしまうのは、
同じ型にしたがって、同じことをしているから


自分の型を知っていれば、

トレーニングによって、それを違う型に作り直すこともできますし、
自分がカチンとくる瞬間に気づけるようにもなります。

そうすれば、
表現を変えることもできるかもしれません。

同じことを繰り返さないよう、対策がとれるんです。


さて。

私のこの話、実は後日談があります。

ずいぶん後になって知ったのですが、
あの時のあの異動は、私の「想像」とは真逆の理由だったとのこと。

私は、異動を告げられたあの時、
ただただぐっとこらえる、という表現を選びました。

まだ若く、初めての異動でもあったので
受け入れる以外の選択肢を持っていなかったんですね。

そして、その異動先は、
毎日が発見と驚きの連続で、とても楽しく、
会社員として務めた23年間の中で、最も充実した時間になったんです。

結果オーライ(笑)
感情的にならなかった自分を、今でも褒めてます。


合わない、は、確かにあります。

合わない時にどうするか、その選択肢もたくさんあります。
どれを選ぶかも、もちろん自由です。

もし、

これまでの選択で、好ましい結果が得られていないとしたら、
「自分を理解する」ことを選んでみる価値があるかも、と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?