手紙は上手く書けないし、香水は使いきれない


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本だけはどんなジャンルも無限に買ってもらえる家だった。

人生で初めて読んだ恋愛小説は"ラストノート"だった。

ぶ厚い時代小説に挟まれていた、本屋で発掘した一冊。淡い水色にしんしんと降る雪の表紙に惹かれたんだったと思う。たぶん。

ストーリーは、スタンダードな恋愛小説。彼と、久々に再会した幼馴染み。彼のことを忘れられない元カノと、その元カノを一途に想う会社の後輩男子。的な、大人のもどかしい〜〜感じの話。小学生にはちょっと難しかった。

でも、手放せないのだ。帰るたびにそっと出してぱらっと読んで、また戻す。かれこれ10年近くカラーボックスの1段目に住んでいる住人の一人。

ストーリーに心が強く動かされたとかそういうのじゃない。けれど、この小説で知った言葉がたくさんあった。

タイトルでもあるラストノートは、香水が香る順番だそうだ。最初がトップノート、次にミドルノート、そして最後がラストノート。最後に淡く香る思い出、みたいな意図があったのかしら。作者さんではないから妄想だけど。それから、元カノが終盤彼に手紙を送ってくる時、フミコウというのが入っているシーンがある。フミコウは漢字で書くと文香、手紙に同封する匂い袋みたいな物。そしてこの元カノの名前も文香、なのだ。自分の名前を最後に書くように香りを添えるとかお洒落上級者にも程がある。読みながらめちゃくちゃ憧れて、文房具屋で買った思い出が蘇った。

本はたくさん読んだけど、初めてはやっぱり特別で。ラストノートも文香も、私はあの小説で知ったという思い出は何十年経ってもきっと変わらない。読書ってそういうものだ。本当は1人分しか歩めない人生を何十倍も何百倍もふくらませて、心の糧になっていく。だから本を読むのが好きなんだ。

結果何が言いたいって、読書は最高の娯楽だってことです。おーわーりっ。

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