【ReConstruction】 #3 シン・ゴジラとシン・ウルトラマン
前回から日を置いたが、第3回目のReCounstruction(再構成)はシン・ゴジラ。
シン・ゴジラ音楽集
今だから正直にいうと、実はシン・ゴジラはサントラ先行で鑑賞した。
元々そこまでエヴァ狂いでもなかったが、ゴジラは幼少期から馴染みがあった。
だから映画館で観ようかどうしようかとやきもきしながら悩んでいる時に、この記事を書くことになった。
基本的に元の記事で書いたことに尽きる。
鑑賞した後でもこのサントラで感じた感動は変わらないし、むしろ映画を観たからこそ楽曲の意味がより明確になって解釈に奥行きが生まれた。
この音楽集(あえてサントラとは言わない)の最大の魅力は、歴史的なるゴジラの音楽と鷺巣詩郎の紡ぐ新しい音楽が共存しているところだ。
既存楽曲をアレンジする方法はリメイクモノやオマージュではよく使われているが、ここでは楽曲のアレンジは為されていない。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」ではBear McCrearyが「ゴジラのテーマ」編曲を据え素晴らしい映画に仕立てていたが、これとは異なる趣を感じさせてくれるのである。
第3形態への進化シーンでの生々しい「ゴジラ上陸」、第4形態の「ゴジラ復活す」「ゴジラ登場」はほんの少しの懐かしさが胡椒の如きスパイス味を出していながら恐怖をしっかりと演出していた。
一方で新曲である「Who will know(24_bigslow)/悲劇」で彩られた総辞職ビームシーンでは昭和の映画ではなかなか描けない解像度の高い絶望感を出していた。
エンドロールは歴代の要所要所の名曲がメドレーとなっているのもファン心をくすぐるし、昭和期だけにとどまらず平成の「ゴジラVSメカゴジラ」の楽曲で締めるのも個人的にはグッときた。
既存曲がそのまま在りながら、新曲と演出的にも意味合い的にも役割を分担している構成が非常に素晴らしかった本作であるが、同じような期待を再び抱いてしまう。
そう、2022年5月公開『シン・ウルトラマン』である。
シン・ウルトラマン音楽集
※以下ネタバレ含むかもなので未鑑賞者は要注意
本盤もシン・ゴジラ同様、当時のウルトラマンを彩った宮内國郎の音楽がしっかり詰まっていた。
さらにもっと言えば現在のオケで新たに演奏する楽曲も含まれより音響的な色彩が鮮やかになった。
映画の冒頭で度肝を抜かれた「ウルトラQ テーマ III (M-2T2)」にはじまり、前半は主に宮内國郎楽曲をそのままで構成される。
ザラブの登場シーンは昔の「あぁ宇宙人(外星人だが)って得体しれなくて怖いよなぁ」と思っていた心を取り戻した。
一方で「遊星から来た兄弟 勝利 (M5)」「侵略者を撃て 空中戦 (A2)」は新録され古さを感じさせない迫力が味わえる。
もはやウルトラマン劇伴ベストとでも形容できそうな選曲でその観点でも聴いておきたい。
後半は新曲で構成される。
「おや、シン・ゴジラかな」とクスッとなる「Early Morning from London」、冒頭が印象的なメフィラス戦楽曲「An Out of Body State」、ゼットン戦の絶望を湛えた「Original Sin」など耳にも残りシーンも蘇らせてくれる素晴らしい楽曲群。
エヴァンゲリオンから迸るオーケストラ&合唱のキリスト教観的な使い方も遺憾無く発揮された最終曲「Is Humanity to die?」は最高だ。
これぞ天体制圧用最終兵器に下される審判を謳う「Tuba Mirum」であり、後半の行進曲は絶望と希望が綺麗に混ざった行進曲である。
決戦のあの長くも短い熱量のシーンに添えるのに素晴らしい仕事だ。
と、まぁシン・ゴジラもシン・ウルトラマンも僕の心に深く刺さった傑作だったのだ。