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#67 直観力を磨く

~経験と直観を定量化するために分析と統計がある(P.ドラッカー)~

先日,某製造系上場企業関連会社の幹部教育の打合せで取締役の方と話していたところ「上級管理職に発想力が無い,突拍子もないことでもいいからアイデアを出すようなところが欲しい」とおっしゃっていました。まさしく,その前日に私が某所で「デザイン思考」を取り上げ,「突拍子もないことから新しい価値が生まれることもある」と言っていたのと符号が一致したので,少し驚いたくらいでした。

クリエイティブ・シンキングでは,オズボーンのチェックリスト,シックスハット,ランダムインプットなど,強制的に発想を変えるのに有効なメソッドがいくつも紹介されています。それはそれで使えるフレームワークですし,研修のワークショップなどでは有効なトレーニング・ツールともなり得ます。しかしこれは他のフレームワークと同様,型にはめれば答えが出るというもではなく,それとは別に日ごろの習慣により直観力を高めておくことが大切なのです。

私見ですが,直観力を磨くための日ごろの習慣とは「観照→内省→創造」というフローを実践することだと思います。具体的には,観照とは鑑賞でもあり,音楽や美術といったアートに触れる,あるいは自然の中で微細なものから大きなものまでを感じる,という中でインスピレーションを得るということです。
内省とは自分を見つめること,具体的には瞑想=メディテーションを習慣化して,自分自身と自分が得たインスピレーションを融和させる,あるいは熟成させる時間を持つということです。
そして,創造とは創作すること,何かしらアーティスティックな方法でそれらを表現することです。絵を描く,焼き物を作る,音楽を作る,詩を書く,何でもいいです,そこに自身のクリエイティビティオリジナリティが発揮されることが望まれます。

これは,インプット→ブラックボックス→アウトプット,という情報処理の「刺激反応モデル」と同じです。やはり何かしらクリエイティブな発想をしようと思うのであれば,何かしらクリエイティブなもののインプットは必要となるでしょう。また何か分からないからブラックボックスなのですが,分からないなりに瞑想のような「空」の体感は,創造のエネルギーを蓄えるのに必要なことかと考えます。

ちなみに筆者の創造,創作は「下手の歌詠み」です。街角の風景で気になったものを写メで撮るように,写生的に短歌を詠むようにしています。ところで,この「観照→内省→創造」あるいは「鑑賞→瞑想→創作」のフローは,それなりに意識しなければ実践はできませんし,またそのための時間確保も必要になります。時間確保のためには,非生産的あるいは非創造的な時間を削減することが必要で,そのためには,ネットサーフィンの時間を決める,スマホゲームなどを制限する,極端なことを言えばテレビを生活から排除する,というような工夫が必要となるでしょう。

「一億総白痴化」とは,1957年に社会評論家の大宅壮一がテレビによる文化レベル低下の危険性に警鐘を鳴らすために使った言葉で,当時の流行語にもなりました。まさに人々はコロナ禍で価値観を大きく転換せざるを得ない状況に立たされています,今こそ私たちが改めて襟を正して自身の習慣を見直す時なのかもしれません。

〔こありん先生チャンネル〕YouTube配信しています@(・●・)@

#経営 #コンサルタント #デザイン思考 #直観 #クリエイティビティ

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html