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#41 社長の背中

~背中を見せるだけでは人は育たないけれど,見せる背中がないのも困りもの~

社員教育において,「技は盗んで覚えろ」みたいな前時代的な価値観が通用しない世の中であることは言わずもがな,です。そうかといって,何から何まで会社が手厚くすればよいというものでもなく,当然に本人による自己研鑽も必要です。最近はIT技術の伸展により,誰でも様々な知識に容易にアクセスできるようになったので,独学で様々なスキルを身に着ける人も増えているようです。

(先日,筆者が中小企業診断士の実務補習教官を務めた際の実習生に,2か月の独学でストレート合格したAI人材がいて,ビックリしました,世の中は変わってきています)

それでも精神面や心構えに関することについては,「親父の背中を見て育った」というような言葉はまだ健在で,実際に親や上司や社長の後ろ姿から仕事や人生を学ぶことは多いような気がします。もっとも今回のテーマである「社長の背中」というと,当の本人である経営者は,日ごろの資金繰りやなんやで自分の背中のことなど気にしている余裕はないのかもしれません。

しかしながらやはり,社長の背中が尾羽打ち枯らした感じだと,取引先だけでなく社員もなんとなく不安になってしまうものです。実は社員は社長のことをよく見ており,社長の背中どころか社長の懐具合や下半身事情などもうすうす感じている,と思っておかなければなりません。見栄を張る必要はありませんが,社長は日々の仕事を凡事徹底で淡々とこなし,いざというときには逡巡なく意思決定する,という態度を,背中で示しておく必要があります。

ところで中国の伝統的な考え方では,名君主はその存在すら民衆に感じさせず,民衆に「俺たちが頑張ってるからこの国はもっている」と思わせるのが最良,とされています。そいいう考え方からすると,ダメな経営者は能力がなくて社員の信頼を勝ち得ない,良い経営者はバリバリと働き社員を牽引して一体感を醸成する,そして上の上の経営者は,社員たちが「この会社は俺たちがいないと回らない」と思って自主的自律的に活動する場を作る,ということになります。

コワモテで強制的パワーを使い周囲をコントロールしていたとしても最後は瓦解する,というのは,歴史の上でもネロや煬帝のような暴君の末路が物語るところです。そうではなくて,社員から愛される経営者は,どこかしら愛嬌があり,憎めないところがあります。なんだか仕事してるのかしてないのかわからない,でも人間的魅力があるので憎めない,自分たちがなんとかしてやらなきゃどうしようもない,と思わせるのが,名経営者ということでしょうか。

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#ビジネス #経営 #エッセイ #コンサルタント #社長の背中







正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html